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なぜ中村倫也にハマる人が続出するのか?

沼女が大量発生中 (2018年撮影)
沼女が大量発生中 (2018年撮影)

 所属事務所のYouTubeチャンネルで動画シリーズ「中村さんちの自宅から」をアップし、世の人々を癒やしまくった俳優・中村倫也。エプロン姿で料理をしたり、ちょっとハネた横髪、甘い声で語りかける優しい口調など、そのすべてがプライベート感満載で「中村倫也の彼女になった気分に浸れる」「彼氏感ハンパない」「結婚したい」と想像をめぐらす熱いコメントも多数見受けられた。役者としての七変化ぶりにも定評があり、いつも「本当の彼は一体、どんな人なんだ?」と思わせてくれる中村だが、これだけハマる人が続出するのは、彼に「妄想をかきたてる魅力」があるからではないだろうか。

ひげ、メガネ…中村倫也【画像】

 中村は、1986年12月24日生まれの33歳。2005年に俳優デビューし、映画『七人の弔』(2005年公開)、『沈まぬ太陽』(2009年公開)など出演作を重ねながら、舞台にも積極的に参加。2014年に舞台初主演を務めた「ヒストリーボーイズ」では、第22回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞している。トーク番組などでも明かしているように、20代は仕事がなく苦労した時期も。積み重ねた努力と経験が花開き、いまや映画、ドラマにと引っ張りだこの人気俳優となった。

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■「彼氏だったら……」と妄想させてくれる“ゆるふわ男子”

 俳優としてノリに乗っている中で、外出自粛期間に続々とアップされたのが「中村さんちの自宅から」だ。ファンから寄せられるたくさんの質問にも丁寧かつ、正直に答えている中村。その優しさ、包容力に胸を打たれた人も多いはず。料理動画で見せた手際の良さ、きれいに片付けられたキッチンも好感度大。一方、こしょうをばらまいてしまったりするドジっ子ぶり、Tシャツ作りなど夢中になってDIYにいそしむ姿は少年のようなかわいさもあり、彼の私生活を間近で見つめているような気分になれる動画は、まさに“彼氏感”たっぷり。癒やしのオーラで視聴者をくぎ付けにした。

 中村というと、この癒やし系のオーラを思い起こすが、それがピタリと合致して彼の知名度を全国区に広げる転機となったのが、2018年のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」で演じた“ゆるふわイケメン”のマアくんこと朝井正人役だ。鈴愛(永野芽郁)と律(佐藤健)の恋と成長を描いた同ドラマ。マアくんは律の友人で、鈴愛から想いを寄せられるという役どころ。飼い猫をちょこんと肩に乗せた姿も愛らしく、鈴愛と律を温かく見守るマアくんは大人気を博した。

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 ドラマ「凪のお暇」(2019年放送)で演じたゴンも、主人公の凪(黒木華)だけではなく、世の女性たちをとりこにした役柄。仕事も恋も捨て、“人生リセット生活”を始めた凪の隣人で、誰にでもオープンマインドのゴン。自分だけがゴンにとっての「特別」かと思いきや、誰にでも優しく“メンヘラ製造機”ともいわれるゴンを好きになった女性はもう大変。中村は持ち前の包容力でゴンを見事に演じ切り、視聴者が「自分の彼氏だったらツライ。でも惹かれてしまう気持ちもわかる!」と妄想できるような立体的な人物としてキャラクターを作り上げていた。

■どこかミステリアス! もっと知りたくなる魅力にハマる

 マアくんもゴンも、共通するのは「どこかつかみどころがない」という点だ。中村本人にも、そういった匂いを感じる。所属事務所、トップコートの渡辺万由美社長がNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演した際には、中村について「こびない、ブレない。低温動物みたい。表に、本音や心の中が出ない。そこがすごくいい」と評していた。また映画『屍人荘の殺人』(2019年公開)の舞台あいさつで、旧知の仲である先輩俳優の池田鉄洋が「(中村は)最初は“ツン”できて、のちに“デレ”になる。おじさんキラー」と中村のツンデレぶりを証言していたのも印象深く、心の奥底が見えにくいからこそ「もっと知ってみたい」とハマってしまうような魅力が彼にはある。

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 放送中のドラマ「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系)で演じる明智は、そのミステリアスな魅力が弾けたような役どころと言えそう。明智はひょうひょうとしていて、周囲を振り回しながらも、いつの間にかみんなを惹きつけてしまうようなカリスマ性のある男。助手扱いをされている苺(小芝風花)も彼に魅了されていくが、第6話は、苺が切ない思いを明智にぶつける場面が大きな見せ場となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、このシーンの撮影も危ぶまれたが、「密」を避けた特殊な方法で撮影が実現。荻野哲弘プロデューサーによると、この場面は中村のアイデアに背中を押されて完成したシーンなのだという。荻野プロデューサーは「中村さんの真摯な言葉に、スタッフ一同胸を打たれた」とも明かしており、中村のミステリアスな魅力だけでなく、役者としての気概も示した1作となった。

■役者としての七変化

 振り幅の大きい役柄を演じ切る役者力も、「本当の彼は一体、どんな人なんだ?」と人々の妄想をかきたてる。映画『星ガ丘ワンダーランド』(2016年公開)では、柔らかな笑顔の裏側に、幼少期に自分を捨てた母親に複雑な感情を抱く青年・温人の葛藤を体現。貫井徳郎のミステリー小説を映画化した『愚行録』(2017年公開)では、登場シーンは少ないものの、人間の悪意が顔をのぞかせる瞬間を見事に表現していた。

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 また、狂犬のようなヤバいヤツを存在感たっぷりに演じて圧巻だったのが、『孤狼の血』(2018年公開)。役所広司をはじめ松坂桃李石橋蓮司音尾琢真ら実力派が男の生きざまを見せつけるような熱い芝居をする中、中村は気性の荒い若手ヤクザに扮し、観客に衝撃を与えた。そして同じ年に放送されたドラマ「ホリデイラブ」のモラハラ夫役もインパクト大。メガネの奥に鋭い眼光を放ち、妻(松本まりか)の浮気を知るや、怒鳴りつけ、張り倒すドSな夫。目を見開いて激昂する姿は、見ているこちらも胸がギューンとなるほど恐ろしい。これがマアくんやゴンと同じ人には見えない……。

 次々と新境地を切り開いている中村だが、4年ぶりの主演映画『水曜日が消えた』(6月19日公開)では、キャラクターが異なる“7人の僕”を演じ分けているというから、彼の七変化ぶりを堪能するにはぴったりの作品となりそう。「妄想をかきたてられる」ということは、それだけ中村が目の離せない存在であるということ。これからもどんな顔を見せてくれるのか、楽しみで仕方がない。(成田おり枝)

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