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「エール」出演中!二階堂ふみの女優魂を感じる映画7本

 NHK連続テレビ小説「エール」で、作曲家を志す主人公・古山裕一(窪田正孝)を支えながら、自らも歌手を夢見る妻・古山音をエネルギッシュに演じている女優の二階堂ふみ。窪田との愛にあふれた絶妙な掛け合いや、力あるものに決して屈しない眼光と肝っ玉、さらには吹き替えなしで挑んだプロ顔負けの歌唱シーンなど、ヒロイン・音を通して魅せる多彩な表現力は、これまでハードな役に全身全霊を注いできたキャリアのなかで育まれたものと言えるだろう。鬼才と呼ばれる監督たちを高次元でうならせてきた二階堂の魅力をもっと深く知るために、圧巻の演技が胸に突き刺さる彼女の映画7作品を振り返る。※多少のネタバレあり(坂田正樹)

【写真】美少女!二階堂ふみ、真っ黒な少女時代

『リバーズ・エッジ』(2018)

 岡崎京子の同名コミックを『GO』『パレード』などの行定勲監督が実写映画化した青春ドラマ。1990年代を舞台に、都市に生きる若者たちが抱える不安や欲望を鮮烈に映し出す。ゲイでいじめられっ子の山田(吉沢亮)、摂食障害のモデル・こずえ(SUMIRE)、家庭崩壊に悩む観音崎(上杉柊平)、さらには山田を偏愛するカンナ(森川葵)など……環境や価値観の違うさまざまなキャラクターが存在するなか、二階堂演じる女子高生・ハルナは、中庸であるがゆえに誰とでも分け隔てなく友好関係を結ぶ。ところが、あっちを立てればこっちが立たず、優柔不断にやり過ごすなか、知らず知らずのうちに誰かを傷付け、裏切ってしまうことも。生きていることに息苦しさを感じる10代の危うさ……受けの演技に徹した二階堂は、不安定な若者たちの苦悩や閉塞感を見事にあぶり出してみせた。

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『私の男』(2013)

 直木賞作家・桜庭一樹の同名ベストセラー小説を、『武曲 MUKOKU』『海炭市叙景』などの熊切和嘉監督が映画化した愛憎劇。流氷に閉ざされた北海道の小さな港町を主舞台に、地震によって孤児となった少女・花(二階堂)と、彼女を引き取ることになった男・淳悟(浅野忠信)の“禁断の関係”をえぐり出す。淳悟を父親以上の存在として意識し、肉体の成長とともにインモラルな愛に目覚めていく花。血の雨が降り注ぐなか、淳悟と愛を交わす衝撃のシーンは賛否両論を巻き起こしたが、浅野の容赦なきアプローチに臆することなく受けて立った二階堂の女優魂には度肝を抜かれる。純愛と狂気、その狭間で揺れ動く思春期の危うい心情を見事に捉えた二階堂は、この作品によって女優として新たな領域へと踏み出した。

『この国の空』(2015)

 芥川賞作家・高井有一の同名小説を『身も心も』の荒井晴彦監督が映画化した恋愛ドラマ。終戦間近の東京を舞台に、19歳のヒロイン・里子(二階堂)が、妻子を疎開させ一人で暮らす隣人・市毛(長谷川博己)の身の回りの世話を焼くうちに、女性として目覚めていくさまを描く。戦争という緊張状態のなかで、反動的に恋愛を欲する少女の複雑な心情を、平成生まれの二階堂は、なぜこんなにも狂おしく、深遠に演じることができるのか。市毛の使い古した枕の臭いを愛おしそうに嗅ぐシーン一つとってみても、里子の抑えきれない気持ちがこぼれ落ち、一気にハートを鷲掴みされる。さらに二階堂自らが提案したというセリフ回しも要チェック。高峰秀子原節子といった往年の名女優を彷彿(ほうふつ)させる言葉遣いやリズム感が不思議な世界観を醸し出している。

『SCOOP!』(2016)

 『バクマン。』『モテキ』などの大根仁監督がメガホンを取った社会派サスペンス。中年パパラッチ・都城静にふんした福山雅治が一大スクープを狙い、禁じ手連発でスキャンダルを追いかける。二階堂演じる等身大の新人記者・行川野火が、静のムチャブリに振り回される姿がとにかく面白い! アイドルのキス現場を撮り逃がしたり、打ち上げ花火でSPを攻撃したり、現場に合わせてド派手な衣装を着せられたり……もはや福山のおもちゃと化した二階堂のドタバタぶりが物語を盛り上げ、「エール」で魅せるコメディエンヌの一面をさく裂させる。ただし、面白おかしくもてあそばれるだけで終わらせないのが二階堂。2時間の尺のなかで、少しずつ記者としてのたくましさを身に付けながら、静に思いを寄せる乙女心もしっかりと紡いでいるところが只者じゃない。

『ヒミズ』(2011)

 古谷実の同名人気コミックを『冷たい熱帯魚』『愛のむきだし』などの園子温監督が実写映画化した衝撃作。親の愛を受けない中学の同級生、祐一(染谷将太)と景子(二階堂)が、ある事件をきっかけに人生を狂わしていくさまを苛烈に描く。引っ叩かれようが、罵られようが、しつこくつきまとい、耳障りなキーキー声を発しながら一方的な愛を押しつける景子。最初は不快でしかなかったが、だんだん彼女が健気に思えてくるのは、根底に祐一と同じ孤独を抱えているから。ヤケを起こしている彼の心のSOSを本能的にキャッチし、持てる愛を全て絞り出そうとするその姿には、凄味すら感じてしまう。ガチで殴られ、池に突き飛ばされ、あられもない格好で土手をコロコロと急降下……生傷を作りながらの大熱演、まさに“二階堂ふみ、ここにあり”を映画界に示した記念碑的作品だ。

『地獄でなぜ悪い』(2013)

 『ヒミズ』に続き園子温監督と再びタッグを組んだ異色のバイオレンスコメディー。ヤクザの親分・武藤大三(國村隼)が、服役中の妻・しずえ(友近)の「娘のミツコを女優にしたい」という夢を叶えるために、自らがプロデューサーとなって映画製作に奔走する。二階堂演じるミツコは、濃い目のメイクにソバージュヘア、いきなり「脇役はまっぴら!」と言い放つ生粋の女王様気質。ところが、本番に強いミツコ様、目力全開でガン飛ばし、血の海を華麗に滑り込みながら、激しい殺陣も完璧にやってのける。その痛快すぎる暴れっぷりは、『キル・ビル』のユマ・サーマンにも匹敵する存在感! 國村をはじめ、堤真一、長谷川博己、星野源といったツワモノたちにも物怖じしない二階堂のカリスマ性に拍手を送りたい。劇中歌“全力歯ギシリLet's GO!”も最高!

『翔んで埼玉』(2019)

 「パタリロ!」の作者でもある魔夜峰央の同名人気コミックを、『テルマエ・ロマエ』シリーズなどの武内英樹監督が実写映画化したコメディー。埼玉県民が東京都民から虐げられている架空の世界を舞台に、東京都知事の息子・壇ノ浦百美(二階堂)と埼玉県出身の転校生・麻実麗(GACKT)が県境を超えた愛で奇跡を起こす。金髪のソバージュヘアで、なんと男子役に挑んだ二階堂。「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!」という名ゼリフ(?)を吐き捨てながら強めキャラで登場するも、GACKT演じる麻実麗に唇を奪われた瞬間、乙女キャラに大変身。所沢、春日部に拒否反応を示そうとも、サイタマラリアで高熱に苦しめられようとも、愛の力で乗り越えるその健気な姿は、涙(&笑い)なしでは観られない。二階堂のツンデレな魅力がいっぱい詰まった本作、しばし肩の力を抜いて、彼女の芸達者ぶりを存分に味わってみてはいかがだろう。

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