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『MOTHER』大抜てきの16歳・奥平大兼とは?長澤まさみと母子役で鮮烈デビュー

映画『MOTHER マザー』の奥平大兼
映画『MOTHER マザー』の奥平大兼 - (C) 2020「MOTHER」製作委員会

 実際に起きた祖父母殺害事件から着想を得て、社会の底辺で生きる母親と息子を取り巻く過酷な現実を描いた映画『MOTHER マザー』(公開中)。長澤まさみ演じる自堕落な生活を送る秋子の息子・周平役を務めたのは、本作でスクリーンデビューを飾った16歳の奥平大兼(おくだいら だいけん)だ。演技未経験でありながら、初めてのオーディションで大役に抜てきされた奥平に注目したい。

注目の新人!奥平大兼【写真】

 息子に異常に執着するシングルマザーの秋子(長澤)と、彼女以外に頼れる存在がいない息子の周平(奥平)という、社会から孤立していった母子のいびつな関係を描いた本作。周平は秋子の歪んだ愛情しか知らずに育ち、17歳になった時に凄惨な事件を引き起こしてしまう。

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 「この作品の明暗は周平役で決まると考えていました」と佐藤順子プロデューサーは語っており、その難役に挑んだのが本作でスクリーンデビューを果たした新星・奥平だ。奥平は、東京都出身、2003年生まれの16歳。友人との帰り道、渋谷で事務所にスカウトされたことをきっかけに俳優への道を進むことになった。本作へは初のオーディションを経て出演に至った。

『MOTHER マザー』
映画『MOTHER マザー』より - (C) 2020「MOTHER」製作委員会

 奥平について、佐藤プロデューサーは「初めてオーディションでお会いした時、彼しかいないと確信しました」と述懐。オーディションでは、周平と同じ年頃の数多くの役者と向き合ったがイメージに合う者がおらず、最後に飛び込みで「演技経験はない新人ですが」と言われて会ったのが奥平だっという。演技は未経験だったが、「とても深く脚本と役柄を理解しており、その感性にすごく驚かされた」と絶賛。「現場でも撮影を重ねるごとに良くなり多くの奇跡的なシーンを撮影することができたと思いますし、まるで奥平大兼の役者としての成長をドキュメントで観ているようでした」と明かす。

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 また、本作のメガホンを取った大森立嗣監督(『日日是好日』『タロウのバカ』など)は、「頭で考えてできるような役ではないから、撮影が進む中で自分が感じることを大事にしてほしいと、とにかくずっと言い続けていました」と語る。そのうえで「彼が偉かったのは、演技の中で嘘をつかないことをやり通せたこと」と続け、「素直だからこそ、嘘をつくのは嫌だという感覚が本人の中にあって、嘘をつかないためには自分がそこでどういう気持ちにならなければいけないのかという作業を、撮影中の彼は常にしていたと思います」と振り返った。

 制作陣の期待を一身に受けながら、素直な感受性で大役を見事に務めた奥平。痛々しくて繊細な、揺れる少年の心を表現した姿には、今後のさらなる活躍を期待せずにいられない。その行く末も注目される。(編集部・小山美咲)

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