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行定勲監督『窮鼠はチーズの夢を見る』原作者を前に映像化への葛藤明かす

行定勲監督
行定勲監督

 大倉忠義関ジャニ∞)と成田凌が共演する映画『窮鼠はチーズの夢を見る』の夏休み限定イベントが27日、都内で行われ、本作のメガホンを取った行定勲監督と原作者の水城せとなが出席した。

【写真】監督・行定勲&原作者・水城せとなが登壇!

 水城の伝説的人気を誇るコミック「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」を映画化した本作は、大倉演じる主人公・大伴恭一が、恭一への想いを募らせ葛藤する後輩・今ヶ瀬渉(成田)から告白を受け、翻弄(ほんろう)されていくさまを描くラブストーリー。

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 行定監督はこの日、水城を前に「漫画を映画化するのに懐疑的なところがあった」と本作の映像化にあたって、映画人として葛藤があったことを告白。「そもそも漫画は完成されたもの。それを映画化するのは容易じゃない。そもそも漫画と映画は似ているようで全然違う。漫画は一人の作家の脳のなかで生まれる。そこからして違う、プレッシャーだなって思った」と制作過程を回顧した。

 「これをどんな風に描くべきか」と悩んだ末、「能動的に観客がなるよう脚本づくりをしたし演出もした」とも語り、「抑えて抑えて空白を作るなかに観客のみなさんがそこに考えを持って参加してもらって、となるよう引き算の作業でした。原作を読んでから脚本を作ったりするのに2年くらいかかりました。恋愛劇ってこんなに深いものなんだと思わされた」と苦心の末の作品であったことを明かす。

 行定監督はまた、「こんなに伝説の傑作と言われていることを知らなくて作った。漫画に疎くて」とも述べ、「でも、知らなかったからよかったこともある。知っていたらファンに打ち勝てるものにならないだろうって。気づいたのは完成していろんな人に観てもらうとき。恐ろしくなりました」と完成後も思いを巡らせていたそうだ。

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原作者・水城せとな&監督・行定勲

 水城は、そんな行定監督の様子に興味津々で「映像化の話は割とちょこちょこいただくんです。わたしは漫画を描くときは最初、企画をいただいて、そこから映像を思い浮かべる。そこにその人(登場人物像)がいて、それ(そのイメージ)を紙に下ろす作業。最初は映画を観ているような感じから始まるんです。映像の話をいただくときは、なるべく見ていたものに近い空気感を持ったものを選ぶ」と映像化の企画を受けるときの基準を紹介。その上で、「行定監督から話をいただいたとき、仮の原稿を読ませてもらって、近い空間があるなと思った。だからこれは進めてもらっていいですってと言ったんです」と当時の心境を振り返る。

 読者が作品に抱くイメージと、映像化後のギャップについても水城は「読者は、(作品を読み)自分にしか聞こえない声で登場人物の声を聞いている。脳内でイメージができあがる。それとまったく同じものは絶対に作れない。でも、どんなメディアやメディアミックスが作られても読者のなかの窮鼠の世界イメージが否定されるわけでもない。読者の思い描く世界と違ったからといって、そこは多様性の世界。こういう世界もできあがったんだなって思って楽しんでほしい」と呼びかけていた。(取材・文:名鹿祥史)

『窮鼠はチーズの夢を見る』は9月11日よりTOHOシネマズ日比谷ほかで公開

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