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岡田健史、衝撃の連続だった綾野剛との出会い

 綾野剛北川景子が刑事役に挑む映画『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』(11月13日より全国公開)で、二人の捜査を全力でサポートする新米刑事・沢田圭を演じている俳優の岡田健史。ドラマ「MIU404」でも共演を果たした綾野から「作品への大きな愛を感じた」という岡田が、撮影時のエピソードとともに、俳優への思い、自身の成長、そして将来の目標を熱く語った。

【写真】岡田健史と綾野剛の共演シーン

 本作は「さよならドビュッシー」などで知られる“どんでん返しの帝王”中山七里の小説を、『神様のカルテ』などの深川栄洋監督が映画化したクライム・サスペンス。破天荒な直感型の敏腕刑事・犬養隼人(綾野)と、犬養と長年コンビを組んでいる冷静沈着な女刑事・高千穂明日香(北川)が、“安楽死”を手口にする猟奇的な連続殺人犯“ドクター・デス”に立ち向かう。

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初日からいきなり…

岡田健史

 完成した作品に関しては「自分のあら探しや反省ばかりで、まだ客観視できていない」と語る岡田。ただ、綾野と北川との共演については「これまでたくさんの現場で鍛錬を積み重ねてきたお二人と、同じ舞台でお芝居させていただいたこと自体に感動している」と目を輝かせる。特に綾野とは、男同士、短くも濃密な時間を過ごしたようで、「衝撃の連続だった」と振り返る。ちなみに「MIU404」より先に撮影しており、本作が綾野との初共演となる。

 「初日からいきなり『健史!』って呼ばれ、まず距離の縮め方に驚きましたね。昼食の時も『ちょっと待ってて』と言って出て行ったきり、なかなか戻って来ない日があって。しばらくして、汗だくで帰ってきた剛さんに『どこ行ってたんですか?』と聞くと、『ドライ(リハーサル)がしっくり来なかったから、10回くらい納得できるまでやってきた』とサラッと言うんですよ」。

 その背中に「作品への大きな愛」を感じた岡田は、「この人から何かを吸収したい」と言う思いが募り、嫌われるのを覚悟でとにかく質問攻めにしたという。ところが、煙たがられるどころか、1聞くと100返ってくるその熱量に「もう圧倒されましたね」と目を丸くする岡田。「例えば、過去の作品で『なぜ、あの表現に行き着いたのか』と質問すると、そこに至る背景や仕組み、役に対する思いまで、事細かに教えてくれるんです。なんというか、いろんなものが180度変わるくらい学ぶことが多かった。今となっては、本作に携わることができて本当によかったと、感謝の気持ちでいっぱいです」。

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なぜ芝居に快感を覚えたのか?を探す旅

岡田健史

 綾野に食らいつきながら、本作を撮り終えた岡田は、運命に導かれるように「MIU404」でも刑事役で再共演を果たす。「同じ刑事役といってもキャラクターが全く違いますからね。本作の時とはまた違う剛さんと出会い、いろんなことを学んだという感じですが、しいて言えば、自分の芝居が本当に『ヘタクソ』だなと、振り返られたことが成長かなと思っています」。綾野に対する思いはポジティブだが、いざ、自分のことになると、評価が厳しい岡田。自分が納得しないと前に進めない真っ直ぐな性格は、俳優になるまでの道のりからも見て取れる。

 現事務所から中学1年生の時にスカウトを受け、実に決断するまでに5年の歳月を費やした。当初、「全く興味がない」と断り続けていた岡田だが、その熱意の“ジャブ”が徐々に効いてきたのは、高校3年生の時。「当時は、小学校2年から11年間、野球一筋でやってきたので、大学でも野球部に入って、将来は野球関連の仕事に就きたいと思っていました。ところが、野球部の活動を終えて、受験勉強の期間に入っていた時、舞台の助っ人を探していた演劇部から誘いを受けたんです」。

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 ここから運命が動き始める。「それまで、とにかく野球しかやって来なかったので、『違う世界を見てみるのもいいかな』という思いがどこかにあったんでしょうね。受験と並行してやれる範囲だったら、という条件で、軽い気持ちで申し出を受けたんですが、演劇部の県大会に参加した時、ふと、変なところで快感を覚えたんです。それが、公演を終えたあと、幕の下りた舞台にキャストが並び、審査員から講評をいただく時だったんですが……なぜか、心地いいものを感じて、『俺、役者やりたい!』って思ったんですよね」。

岡田健史

 何事も筋を通し、納得するまで突き詰める岡田の人生の転換期が、「なぜか」というところが実に興味深い。「いまだに言語化できていないんですが、その瞬間、感情が大きく動いたのは確か。だから、俳優の道に進むことを選んだのは、『あの時、なぜ快感を覚えたのか?』という答えを探すためなのかもしれません」と笑顔を見せる。並行して大学にも合格し、1か月だけ通ったそうだが、そこから「本当に役者になりたいのか」ということをとことん自問自答した岡田は、その決意を両親に打ち明ける。

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 「野球一筋だったこともありますが、振り返ると、僕の人生の中で、自分で進路を決断したことって、これが初めてかもしれません。勇気を振り絞って思いを告げた時は、ものすごくぶつかり合いましたが、最終的には『お前の人生だ、自分で決めろ』と納得してくれて。その時は、理解のある両親の元に生まれてよかったなと心から思いました」。

 不器用なくらい真っ直ぐで正直者。だからこそ、彼の言葉一つ一つに嘘がない。「僕の携わった作品、役、芝居を観て、明日も頑張ろうって思ってもらえるような役者になりたい」。そう語る岡田の力強くもさわやかな目は、しっかりと未来を見据えていた。(取材・文:坂田正樹)

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