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『名探偵コナン』赤井秀一を演じて20年、声優・池田秀一が語る初登場から現在地<インタビュー>

映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』より
映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』より - (C) 2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 アニメ「名探偵コナン」でFBI捜査官・赤井秀一役を務める声優の池田秀一。劇場版最新作『名探偵コナン 緋色の弾丸』(4月16日公開)に赤井がキーパーソンとして登場することは大きな話題を呼んでいる。その公開にあわせ、池田が20年以上寄り添ってきた赤井というキャラクターとの向き合い方について語った。

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 赤井の劇場版への登場は、2016年公開の『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』以来。今作に赤井が登場することが池田の耳に届いたのは、前作の上映後告知用の収録の際だという。「最初は劇場版で流れる予告を録ると聞きました」と振り返る。

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 劇場版『名探偵コナン』は、劇場上映のエンドクレジット後、翌年の映画のヒントになる告知が流れるのが恒例だ。前作『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』(2019年)のエンディング後には、赤井の声と共に狙撃の名手である彼の代名詞ともいうべきライフルの銃声がしたことで、ファンを大いにざわつかせた。

 「その時に『届け、遥か彼方へ』というセリフを録り、『次回は赤井が活躍しますよ』という話がありましたが、赤井一家集結とか、具体的なことは全然知りませんでした。ただ、あの一言で、何かやりそうだなという匂いはしましたけどね」

映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』
映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』より - (C) 2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 実際に台本を受け取った時の感想を聞くと、「赤井家総動員。まさに、『まさかここまでとはな』という感じでした」と赤井の名セリフを交えて語る。

 池田の言葉通り、今作では赤井に加え、その家族が物語の鍵を握るメインキャラクターとして集結。日本で開催される「WSG-ワールド・スポーツ・ゲームス-」と、その開会式にあわせて開発された「真空超電導リニア」を巻き込んだ未曾有の大事件に、コナン、FBI、そしていまだ謎多き赤井一家の面々が絡んでいく。

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赤井秀一役は手探り感が面白い

映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』
映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』より - (C) 2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 そんな赤井のアニメ初登場は2000年。もう20年以上も前のことだ。当初は、怪しげな雰囲気をまとう正体不明のキャラクターだった。池田自身も、エピソードごとのゲストキャラクターと捉えていたが、「でも犯人じゃないし、あまりよくわからなかったけど、怪しげなやつですし……」と引っかかる部分はあったそう。「これからまた出てくるという話も聞かなかったような気がします」

 それが、いまやコナンの本筋である黒ずくめの組織との戦いに関わる重要人物であることが明確になっている。赤井はFBIに所属する捜査官で、黒ずくめの組織に潜入していた過去を持つ。黒ずくめの組織を追うコナンとは共同作戦を張る間柄だ。

 「僕のイメージとしては、『コナン』の事件を日々解決していくという話からすると、赤井というキャラクターは“傍流”って感じがしていたから、こんなに(赤井に関する)話が膨らむとは思っていませんでした。申し訳ないけど原作も読んでいなかったので、最初は黒ずくめの組織という存在も知らなかったんです。だから、そことつながっていくというのは想像していませんでしたが、だんだん『コナン』という作品の軸にはもう一つのお話があると途中で気づき始めたんです」

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 次々と明らかになってきた赤井の事実については「僕も知らない間に妹とか、お母さんが出てきて『ええ!』という驚きがありました」と衝撃を受けつつも、変化への対応は「成り行きに任せてきました」と語る池田。

 キャラクターについて未知な部分が多かった時代も、むしろその状況を楽しめていたそう。「謎がどこまで続くのか、自分自身がその謎を楽しみながらやっていました。謎のまましばらく演じていましたけど、今もまだ謎の部分もある。その手探り感が僕自身も面白いです」と笑顔で話す。

 「今回の映画でも意味深なシーンがあり、今後の展開が楽しみですよ。青山先生(原作者の青山剛昌)の中ではもう出来上がっているんだろうけれど、教えてくれないし……(笑)」

 実際、青山とは赤井について細かい話をしたことはないのだとか。「たまにお会いして、『どんどん活躍しますから』と言われ、『ひとつよろしく』というやり取りをする感じです。『なるべくセリフは少なく、長いセリフはやめて』と冗談めいて話をしたりはしますが、赤井をこういう風にやってほしいというお話はしませんね」

登場から20年、赤井秀一の現在地

 赤井の初登場から20年以上。ストーリーが進むにつれて、赤井という人物の位置づけは池田の抱くイメージの中でも変わってきている。

 「20年演じてきましたが、5~6年前まではどこか他人というか……コナンを中心に博士や子供たちとかっていう出来上がった“コナンファミリー”があって、その中で赤井はなんというか外様という感じがしていました。たまに出てきて“ちょっと違う”感じの立場、立ち位置でいいとしばらく思っていました。例えば、テレビシリーズも黒ずくめの組織の話になると、味わいや臭いもちょっと違うじゃないですか。普段、日々の事件を解決したりする楽しさというのと一味違う。だから、それはそれでいいんだなと受け止めていたのですが、赤井に関して色々わかってくるにつれて、なんとなくそのコナンファミリーの一員になれたのかなという気がしてきたんですね」

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 「でも、コナンファミリーとはまだ一線を引いておかないといけないな、という気がするんです」と付け足した。一方で、赤井とコナンの関係は、劇中の会話を通じて「最近、2人の距離が近づいてきた」とも感じているそう。今回の劇場版でも、赤井とコナンの会話シーンは胆になる。「FBIの面々とは仕事を通しての会話。それと比べて、コナンとの会話は事務的ではない部分もあるんですよ。今回もそうです。そういうのを大事にしたいなって思いますね」とこだわりを明かす。

 声優としては、20年以上務める赤井役、そして『機動戦士ガンダム』シリーズのシャア・アズナブル役など、長きに渡り一つのキャラクターを演じることがある。変わらぬ魅力を伝えるために必要なことを聞くと、「特別にはないんです」と始める。

 「僕は横着ですから、スタッフの方に身を任せています。今回の劇場版も、監督をはじめスタッフの人たちが完璧に演出してくれていますから、僕はそこに身を委ねる。意識してそうやってきたわけじゃないけれども……」と話す池田は、『名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)』(2014)での赤井の登場を例に挙げる。公開当時、公には赤井は殉職したことになっており、大学院生の沖矢昴(CV:置鮎龍太郎)に変装していた赤井が変声機のスイッチを切り「了解」と地声でつぶやくという演出で、その生存が明らかに。大反響を呼んだ名シーンだ。

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 「あの『了解』というセリフも別に僕は計算なんかしないけど、出来上がったのを観ると『いいじゃん』って。自分が演じてはいますけど、そういう風に作っていただいているってことですね。そういう意味で、自分の立場はラッキーですよね」と茶目っ気たっぷりに笑う。

 また、『緋色の弾丸』の告知の一環として、劇場版恒例のオープニング映像の赤井バージョンが公開されたことも話題になった。池田にアフレコの感想について聞くと、実は狙いを知らなかったという意外な答えが。

 「どこかで見たことあるなと思いながらやらせていただいて、終わってから気が付いたんです。そうか、あの映像かと。それだったら、もう少しこうやっとけばよかったかなあと終わってから思った部分はありますが、それもあまり意識しないでやってよかったのかなとも思います。皆さまにどう受け取られたのかはわかりませんけれども、僕はあれはあれで面白かったですね」

 取材は映画の公開を直前に控えたタイミング。1年の公開延期を経て、ついにファンのもとに本作が届く。池田は「本当に長い間お待たせしてしまいましたが、皆さんが待ったかいがあるなと思える作品に仕上がっていることを、今は願うのみですね」とほほ笑んでいた。(編集部・小山美咲)

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