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真田広之『モータルコンバット』で日本が誇るアクションスターの魅力全開!

冒頭から真田広之VSジョー・タスリムのすさまじいアクションが炸裂する『モータルコンバット』
冒頭から真田広之VSジョー・タスリムのすさまじいアクションが炸裂する『モータルコンバット』 - (C) 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

 リブート版『モータルコンバット』の評判がすこぶるいい。いや、もちろん血しぶき飛び散る超残酷バトルゲームの映画化ゆえに賛否は当然あるわけだが、しかしそれでもなお本作を観た観客の多くが認めざるを得ないのは、アジア系俳優を中心としたキャスト陣によるケレン味たっぷりなアクションシーンの面白さ、なかでも伝説の忍者ハサシ・ハンゾウ/スコーピオンを演じる真田広之の痺れるようなカッコ良さであろう。(なかざわひでゆき)

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 宿敵ビ・ハン/サブ・ゼロ(ジョー・タスリム)とハンゾウの数百年に渡る因縁の始まりを描くオープニングからして、文字通り真田の独壇場。還暦を迎えたとは思えないほどのキレッキレなアクションには誰もが圧倒されるはずだ。まるで1980年代にショー・コスギが主演したニンジャ映画の如き、なんちゃってジャパネスクな時代劇ワールドも往年のアクション映画ファンには嬉しい。しかも、これで出番は終わりかと思いきや、最大のハイライトである最終決戦シーンで、今度は地獄から甦ったヒーロー、スコーピオンとして再降臨!。主人公コール・ヤングが霞むようなカリスマ性と存在感を示す。これほどまでに真田の魅力を引き出したハリウッド映画は今まであっただろうか? とすら思える。

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 振り返れば、『ラスト サムライ』(2003)を契機にハリウッドへ活躍の場を移した真田だが、しかし若い頃から彼の活躍を目の当たりにしてきた日本の映画ファンにしてみれば、正直なところ不満の残る作品も多かったと言えよう。『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)に『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』(2015)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)などなど、確かに出演作はメジャーな話題作が目白押しだが、しかしその大半は特別ゲスト的な役柄ばかりだった。

後半も真田広之のアクションを堪能できる!(C) 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

 もちろん、もともとアジア系俳優にチャンスの少ないハリウッドにおいて、数々のブロックバスター映画に名を連ねるだけでも十分に立派な功績。しかしそれでもなお、ハリウッドは真田広之をちゃんと使いこなせていない! 世界は本当の真田広之をまだ知らない! との思いを強くする日本の映画ファンは、筆者を含めて決して少なくなかったはずだ。なにしろ、彼こそ日本が世界に誇るべき希代のアクション映画スターなのだから。サニー千葉こと千葉真一が設立したアクション俳優専門の芸能事務所ジャパンアクションクラブ(通称JAC)に幼くして入門。子役時代から50年近くにも及ぶ長いキャリアを誇るわけだが、その輝かしい名声を築く足掛かりとなったのが、『燃える勇者』(1981)や『里見八犬伝』(1983)などの娯楽アクション映画の数々だった。

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 JAC仕込みの本格的な格闘技や殺陣のテクニックを駆使したアクション演技は、ジャッキー・チェンなど香港のカンフー映画スターに勝るとも劣らぬほど俊敏かつダイナミック。しかも、ヘリや高層建築からのジャンプなど危険なスタントも自らこなす。日舞の名取だけあって時代劇の所作も美しい。そのうえ、とびっきりハンサムで爽やか。明朗快活なヒーローだけでなく、暗い陰や哀しみをたたえた繊細な若者も演じることができる。千葉真一や倉田保昭みたいなギラギラとした男臭いスターに慣れ親しんできた日本の映画ファンにとって、それまで見たことのない新世代のアクション俳優だったと言えよう。

 そんな若かりし真田広之の魅力が最大限に活かされたのが、数々の時代劇アクションで演じた忍者ヒーロー役だ。『忍者武芸帖 百地三太夫』(1980)で時代劇アクションの初主演を飾り、続く『魔界転生』(1981)では哀しい運命を辿る若き忍者・伊賀の霧丸役で女性ファンのハートをわしづかみ。その人気を決定づけた『伊賀忍法帖』(1982)でも愛する人を失った怒りと悲しみを胸に戦う孤高の伊賀忍者・城太郎を力強く演じ、香港へ招かれた『龍の忍者』(1982)では中国のカンフー青年と友情を温める忍者・玄武役で爽やかな魅力を振りまき、ジャッキー・チェン映画でもお馴染みのカンフー技・酔拳まで披露してくれた。そういえば、テレビ「宇宙からのメッセージ 銀河大戦」(1978~1979)で演じた日本版ルーク・スカイウォーカーことゲン・ハヤトも、銀河系の忍者という設定だったっけ。

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 それだけに、今回の忍者ハサシ・ハンゾウ役は、真田の忍者映画を夢中で見て育った日本の映画ファンにとって感無量。これこれ、これだよ、僕らが世界中の映画ファンに観てほしい真田広之は! 確かに『伊賀忍法帖』も『魔界転生』も『里見八犬伝』も海外へ輸出されたが、しかし配給先は場末の映画館やビデオスルーが関の山。アメリカで製作された英語吹き替えも酷い出来だった。しかし、もうそんな理不尽に苛立つ必要はないだろう。この『モータルコンバット』を機に、世界の映画ファンが日本の誇るアクション俳優・真田広之の真の偉大さを知り、さらなる飛躍と活躍のチャンスが与えられんことを心から願ってやまない。

映画『モータルコンバット』は全国公開中

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