鈴木伸之＆磯村勇斗、互いの魅力＆特別な絆とは

　ドラマ、映画化された「今日から俺は!!」の開久コンビなど、これまで何度も作品をともにしてきた鈴木伸之と磯村勇斗。最新作『東京リベンジャーズ』では、ガッツリと対峙するシーンこそなかったものの、「一瞬で安心感が得られる」と互いに寄せる信頼感は揺るぎない。同世代の俳優として、唯一無二の存在と認め合う磯村と鈴木が二人の絆について語った。

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　2017年に「少年週刊マガジン」で連載がスタートした和久井健による人気コミックを英勉監督が実写映画化した本作。北村匠海ふんする負け犬フリーターである主人公・タケミチが、ひょんなことからタイムリープし、大切な人を救うために人生をやり直す姿が描かれる。

　磯村は、タケミチの高校時代の親友・アッくんを演じており、タケミチのタイムリープによって人生が激変する役。「アッくんは、タケミチが人生をやり直すたびに、コロコロと境遇が変わる。ある意味で、一つの作品なのに違う役を演じているようで、その都度役を作っていくのは難しいと思う反面、すごくやりがいのある面白い役だなという印象がありました」と台本を呼んだときの感想を述べる。

　一方、鈴木はタケミチやアッくんたちを徹底的に痛めつける不良・キヨマサを演じる。「これまでも不良の役は経験していますが、ここまで振り切った悪い奴というのは、いままでやったことがなかった」と笑うと「善の心を捨てて、思い切り悪に徹するというのは、やっていてすごく楽しいんです」と目を輝かせる。

　鈴木の言葉通り、キヨマサは弱い者にはとことん強く当たり、自分よりも強い相手には卑屈になるような人間だ。鈴木は「もちろん酷いセリフを言うときは、心苦しさはありましたが、逆に言えば、そういう酷さを人に伝えるのがキヨマサの役割。こういう人間とは関わりたくないと思うような……反面教師として見てもらえるように、心を鬼にして演じました」と語った。

　二人は「今日から俺は!!」では、開久高校のナンバー1、ナンバー2として、息の合ったコンビネーションを見せていた。本作では、シーンをともにすることはそこまで多くなかったが、その場にいるだけで、なんとも言えない安心感があったという。

　磯村は「前回の『今日から俺は!!』でガッツリとやって、二人の距離感や空気感はわかっていたので、一瞬でも一緒にいるだけで、二人にしか感じられない間というか、安心感がありました」と鈴木が特別な存在であることを明かすと、鈴木も「この映画のキャストを聞いたとき、勇斗の名前があって、妙に安心感がありました」と再度磯村と撮影現場をともにできることに気持ちが高まったという。

　前作ではタッグを組んだが、本作では敵対する関係性。特にキヨマサはタケミチやアッくんたちをボコボコにする役柄だ。鈴木は「ちょっとアッくんだけ強めにいきました（笑）」と笑いつつ、「まあ、それは冗談ですが、敵対する役でもしっかりと絆があるので、『どうしよう』みたいなものがまったくないんです」と磯村だからこその関係性がスクリーンに映し出されていると自信を深める。磯村も「ノブがあれだけ振り切って腐れを演じているので、自然とキヨマサへの憎さが出せました。助けられた部分はすごく多かった」と感謝を述べていた。

　磯村と撮影をともにすると「いつもすごく褒めてくれるんです」と嬉しそうな表情で語った鈴木。さらに鈴木は「勇斗の褒め方が『お芝居いいね』みたいな普通の言葉ではなく、『お前憎たらしいな、本当にムカつくわ』っていうんですよ。なんかそういう勇斗の言葉に乗せられてテンションが上がるんですよね」とにんまり。

　WOWOW開局30周年を記念して企画された「アクターズ・ショート・フィルム」で映画監督を務めた経験もある磯村は、演出家目線で俳優を観ているのだろうか。「特にそういうわけではないんですけれどね」と磯村は笑うと「僕自身が『よかったよ』と言われるよりも、一つ具体的なワードを相手に投げかけた方が、思いが伝わるのかなと思っているんです」と言葉の意図を伝える。

　鈴木は、磯村の魅力を一つ具体的なワードを添えて伝えるならと聞かれると「作品ごとにまったく違う顔を持つ俳優だなと。どの役でも磯村勇斗が邪魔しないんですよね」と照れくさそうに答えていた。（取材・文：磯部正和）