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『翔んで埼玉』千葉の海女役・中原翔子の今だから話せる裏話 「海の音を聞け!」はアドリブだった

“海女さんコンビ”浜野あわび役の中原翔子(画像は本人提供)
“海女さんコンビ”浜野あわび役の中原翔子(画像は本人提供)

 魔夜峰央の人気漫画をGACKT二階堂ふみのダブル主演で実写化した映画『翔んで埼玉』(2019)が、1日21時からフジテレビ系「土曜プレミアム」で地上波放送される。オンエアを前に、“海女さんコンビ”で強烈なインパクトを残した女優・中原翔子(浜野あわび役)がインタビューに応じ、今だから話せる裏話や撮影エピソードを語った。

【画像15枚】全員クセつよすぎ!『翔んで埼玉』衝撃ビジュアル

 『テルマエ・ロマエ』シリーズなどの武内英樹監督がメガホンを取った本作は、埼玉県民が東京都民から虐げられている世界を舞台に、東京都知事の息子・壇ノ浦百美(二階堂)と、埼玉出身の転校生・麻実麗(GACKT)の県境を超えた愛と革命の物語。中原ふんする浜野あわびは、埼玉のライバル・千葉解放戦線の一員で、浜野さざえ(小沢真珠)と共にリーダー・阿久津翔(伊勢谷友介)に仕える。

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海女コンビ、当初は役名がなかった

 頭にゴーグル、手には貝殻とビジュアルも強烈なさざえ&あわびは、千葉解放戦線の中でも抜群の存在を放つ。劇中で大きな爪痕を残した二人だが、中原曰く、当初は“千葉解放戦線員”という名称だけで、台本には役名が記載されていなかったという。

 「海女コンビの初日は、二人の初登場シーンから撮影だったのですが、美術部の方が小道具として貝殻を何種類も用意してくださっていたんです。真珠さんが最初に掴んだのはさざえ、私が握ったのはあわびでした。その時は、二人の武器やトレードマークになるような道具の一つとして選んだだけなので、二人の名前につながるとは思っていなかったです」

 撮影開始から3~4日が経過したある日、突然「(二人に)名前をつけました」と告げられ、浜野さざえと浜野あわびというキャラクターが誕生した。中原は「私にとって、いろいろな意味で不思議な作品です。通常の物事の進め方とは違う形で、キャラクターがどんどん膨らんでいきました」と振り返った。

名ゼリフ「海の音を聞け!」誕生秘話

(c)2019映画「翔んで埼玉」製作委員会

 さざえとあわびのセリフも、当初は千葉解放戦線員として用意されたものを小沢と中原で分割していたという。「撮影現場に入ると『このシチュエーションをもっとこうしたい』『このシーンもいてほしい』と監督から要望があり、二人の出番がどんどん増えていきました」とシーンの増加と比例して、二人の動きやセリフも追加されていった。

 中原が特に印象に残っているセリフは、千葉解放戦線に身柄を拘束された百美と麗が海辺に連行されるシーンで飛び出す「海の音を聞け!」。縄で縛られた麗を引っ立てるあわびが、貝殻を麗の耳に当てながら放つこのセリフは、中原のアドリブから誕生したものだった。

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 「(麗役の)GACKTさんを突き飛ばして、羽交い絞めにするというお芝居の際に、麗を攻めてほしいという指示がありました。動きが限られている中で、片方はGACKTさんを押さえなければいけないし、私も真珠さんも片手に貝殻を持っているので、どうしようかなと……。『さっさと歩け』『埼玉の分際で』など言葉責めは簡単ですが、それだけではつなげない。貝殻をナイフのように首元に突きつけようかとも考えましたが、本番では苦し紛れだったのか、GACKTさんの耳に貝殻を当てて出た言葉が『海の音を聞け!』だったんです。埼玉県人に何を言ったら苦しむのだろうとひたすら考えていたら、劇中でも言及された“海がない県”ということがダメージになるのではと頭の中に浮かんでいたので、それが口に出た言葉だと思います」

 アドリブに乗っかるように、GACKTも苦しそうにうめく演技を披露したそうで「すごくありがたかったです」と中原は振り返る。カットがかかると、武内監督は爆笑し、共演者からも「すごいね」と絶賛の声があがったという。「私はその時、何がすごかったのか理解していなかったのですが、観客のツボに刺さったのか、あのシーンで笑ってくださる方が多かったです。『目の前に海があるのに、何を言ってるんだ』と監督もツボだったと思います(笑)」

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今までやってきたことは、無駄ではなかった

画像は本人提供

 クセのあるキャラクターたちを演出した武内監督を、中原は「おかしなことを真剣に演じることで生まれる面白さを好む」と分析。「笑いを狙いすぎた演技に関しては、少し抑えてほしいなどの指示もありました。演じていることはバカバカしく見えますが、そこに対する本気度が違うんです」と明かす。「『翔んで埼玉』はキャスト全員がおかしなことばかり挑戦しているけれども、『こうやったら面白いだろう』と一つ一つ真剣に演じていて、そういったところが観客のみなさんに受け入れられたのだと思います」

 『リング』の脚本家・高橋洋が手がけた新作長編『ザ・ミソジニー』(公開中)では、夫を奪われた劇作家兼女優を怪演するなど、デビュー以降、特殊なキャラクターを演じてきた中原。「ここまでヒットした作品で、インパクトの強いキャラクターを演じたことに周りも驚いていました。別作品のトークショーに登壇した帰り際に、お客様から『海の音を聞け!』と言われたりもしました」と『翔んで埼玉』は反響の度合いが桁違いだった。

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 あくの強い役が続いたことで「本当にこういうキャラクターばかり演じていて大丈夫なのか」と悩む時期もあったが、中原は「継続は力なりといいますか、自分のキャラクターを信じてやってきてよかったです」と達成感を感じていた。「(『翔んで埼玉』で)大きなご褒美をいただいた感じ。今までやってきたことが無駄ではなかったです」と続けると、「『翔んで埼玉』で私を知ってくださった方から忘れられないように、これからも頑張っていかなきゃいけないなと思ってます」と決意を新たにしていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

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