上白石萌音、松村北斗に嫉妬の日々 『夜明けのすべて』TAMA映画賞・最優秀女優賞!
俳優の上白石萌音が30日、パルテノン多摩で開催された第16回TAMA映画賞授賞式に出席。かつてNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦を演じた松村北斗と再共演した映画『夜明けのすべて』で最優秀女優賞を受賞した。同作は本映画祭の最優秀作品賞にも輝いた。
瀬尾まいこの小説を映画化した本作は、瀬尾自身のパニック障害の経験を基に、人には理解されにくい疾患を抱え、生きづらさを感じながら生きる男女の交流を描く。上白石は月に1度、PMS(月経前症候群)の影響で激しいイライラを感じてしまうヒロイン・藤沢美紗を、松村はパニック障害を抱える同僚・山添孝俊を演じる。
上白石はトロフィーを手にすると、「この映画とのご縁はもちろん、素晴らしいチームの皆さん、この作品をこの世に産み落としてくださった瀬尾まいこ先生に感謝します」と感慨深げな表情。「PMSやパニック障害が扱われているけど、そこは主題ではない。それは一要素でしかない。押し付けがないというか、それらをきっかけに生まれる人と人のつながりや優しさがきちんと描かれていて、私自身も大好きな作品になりました」と話す。
上白石は原作の大ファンだったとも明かし、「私自身も生理が重くて、生理前は心身が不安定になります。演じながらこの辛さの何かの役に立てるんだなと思いました。難しいシーンだらけだったんですけど、藤沢さんを演じられる喜びがありました」と撮影を回顧。「2年前の撮影だったんですけど、松村くんとは朝ドラで夫婦役をやったばかり、松村くんが山添くんと聞いてぴったりだと思いました」と松村との共演も振り返る。
松村もこの日、同作などで最優秀新進男優賞を受賞したが、授賞式には参加できず、ビデオメッセージで受賞の喜びを語った。上白石は、松村との撮影の合間の雰囲気について「ずっとお互い、ボケたり突っ込んだりしていました。会話を大切にする作品なので私も彼との会話を大切にしようと思いました」とコミュニケーションを大切に接していたという。「現場で松村さんの、お芝居と思えないようなセリフや息遣いに日々嫉妬を重ねながら撮影をしていました。また、この作品を一緒に撮ったみんなと会いたい」とも話していた。
上白石は今年一年を振り返りつつ、「ありがたいことに、今年はたくさん挑戦をさせてもらった一年になりました。周りを見渡し、感謝してこれからも生きていたいです。いつも楽しそうな人でありたいし、誰かのために生きられるよう頑張ります」と語った。
TAMA映画賞は、前年10月から当年9月に一般劇場で公開される作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考。「明日への元気を与えてくれる・夢をみさせてくれる・活力溢れる“いきのいい”作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰する。(取材・文:名鹿祥史)
第16回TAMA映画賞
▼最優秀作品賞
『夜明けのすべて』
三宅唱監督、及びスタッフ・キャスト一同
『ぼくのお日さま』
奥山大史監督、及びスタッフ・キャスト一同
▼最優秀男優賞
藤竜也
『大いなる不在』
吉沢亮
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』『キングダム 大将軍の帰還』『かぞく』
▼最優秀女優賞
上白石萌音
『夜明けのすべて』
河合優実
『ナミビアの砂漠』『あんのこと』『ルックバック』『四月になれば彼女は』
▼最優秀新進男優賞
松村北斗
『夜明けのすべて』『ディア・ファミリー』『キリエのうた』
齋藤潤
『カラオケ行こ!』『瞼の転校生』『からかい上手の高木さん』『正欲』
▼最優秀新進女優賞
森田想
『辰巳』『朽ちないサクラ』『サユリ』『NN4444』『愚鈍の微笑み』『正欲』
早瀬憩
『違国日記』『あのコはだぁれ?』
▼最優秀新進監督賞
近浦啓
『大いなる不在』
山中瑶子
『ナミビアの砂漠』
▼特別賞
呉美保監督、及びスタッフ・キャスト一同『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
押山清高監督、及びスタッフ・キャスト一同『ルックバック』