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『THE JUON 呪怨』清水崇監督独占インタビュー

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『THE JUON 呪怨』清水崇監督独占インタビュー

取材・文:平野敦子 写真:FLiXムービーサイト

ジャパニーズ・ホラーの天才、清水崇監督は『呪怨』(劇場版)であの『スパイダーマン』シリーズのサム・ライミ監督をも震え上がらせた。彼を高く評価したサム本人がプロデュースを買って出、清水監督自らの手によるハリウッドリメイク版『THE JUON 呪怨』の製作が実現する。その輝かしいハリウッドデビューを果たした清水監督に、現在の心境などについて話を聞いた。

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■全米興行収入2週連続ナンバーワンで、ひろい事務所に引っ越せた(笑)

Q:まずは全米興行収入2週連続No.1という記録を作った感想について聞かせてください。

いやぁ~、とにかく本人がびっくり、どっきり、えーっ……という感じですね(笑)。

Q:興行収入1億ドル突破確実のメガヒットだそうですが?

まだあまり実感はないですねぇ……。たとえばお金でいうと、日本でも同じですが、だいたい映画の成功報酬などは、作品が公開されてから半年後ぐらいに支払われるのが普通ですから。異文化圏の人たちに受け入れられたのはうれしいです。でも、騒がれて忙しすぎるのもね……。最近は家にも帰れず、事務所に寝泊まりしていますからね(苦笑)。あ、でもおかげさまで事務所は以前より広い所に引っ越せました!

Q:もしお休みがあったら何をしたいですか?

映画以外のことはあまり……。食にも異性にも平均的な人より興味がないんですよね。おいおい、本当かよ……って自分でつっこんでしまいますが(笑)。まぁ、それは冗談ですが、黒猫を飼ってみたいです(映画でも黒猫は重要な役割を果たす)。

■“ディレクタ-ズカット版”で観てほしい

Q:全米で公開された“インターナショナル版”と、今回日本で公開される“ディレクタ-ズカット版”ではどちらが怖いと思われますか?

それはもちろんディレクタ-ズカット版です! インターナショナル版は重要なシーンの数々をみんなで泣く泣く削除しましたから。切らなければならないぎりぎりのところで踏み止まったのがインターナショナル版ですかね。日本ではオリジナルの『呪怨』を観てくれている人たちにも観て欲しいですし、作品に対しての認知度も高く、少なくともアメリカよりは僕のこともみなさん知ってくれているじゃないですか? だからサムにインターナショナル版では日本のお客さんは納得しないよと言ったんです。せめて日本だけでもディレクタ-ズカット版をやらせてくれと。彼自身ディレクタ-ズカット版をすごく気に入ってくれていて「自分もこっちで公開したい!」と言っていましたからね。

Q:英語の猛練習は役に立ちましたか?

少しは……。英語しか話せない人と積極的に会話をするとか、どのように接するかとかいうことは学べたような気がします。主演のサラ・ミシェル・ゲラーと、彼女の恋人役のジェイソン・ベアの2人はセットでもいたずらをし合ったりして楽しそうでしたよ。それを横目で見ながら心の中で「僕も仲間に入りたいな~、でも撮影進めないと……」とか思っていましたからね(笑)。

Q:ロスでの最後の仕上げの編集作業はいかがでしたか?

大変でしたね。やはりアメリカ人と日本人の感覚の違いという壁がありました。僕はあくまでもじめじめと湿った“和製ホラー”のテイストを、カラリと乾いたハリウッドという場所に持ち込むというところに醍醐味を感じてこの仕事を引き受けたわけですし、サムもそれを求めていたんですよ。ただスタジオ側としてはハリウッド的な考えで、もっと派手なものをとか、脅かすシーンを増やしてくれとかの要求をしてくるんです。年代の異なる一般の人を呼んで行う“テストスクリーン”の調査結果もふまえて、編集の度にもっとこういうシーンがあったらいいんじゃないかとか話し合いました。だいたいよほどダメでもう一度撮り直しになるか、あるいはすごくいいのでもっとやってみようということになるか両極端なんですが、この作品の場合はいい方向に進んでくれたので助かりました。おかげで最後は「監督の好きなようにやってくれ」とのお墨付きをいただいたぐらいですから。

■人間、金がなければ知恵を使う

Q:自分の作品が海外でこれだけウケる理由について教えてください。

『リング』のリメイク作『ザ・リング』の全世界的なヒットの影響はもちろん大きいと思います。近年ハリウッド映画がCGに頼ったり、カメラアングルに凝ったりして、どんどん派手になっていったことも要因の一つだと思いますね。ホラー映画というのはCGをたくさん使ったからとか、大金を注ぎ込んだから怖くなるというものではないんですね。その点日本映画というのは限られた予算の中で、じっとりと湿った恐怖というものを最大限に表現することができた。人間、金がなければ知恵を使うわけですよ。日本人も逆に「あれっ、こんなに日本の怪談テイストのものがアメリカでもウケるんだ」ということにようやく気づいたんですね。今までなかなかそういう日本的な武器って映画界ではなかったじゃないですか。


朝からの取材でクタクタのはずなのに、楽しい会話で周りを大いに笑わせてくれた清水監督。にこにこしながら実家から送られて来た“巨大黒だるま”(黒字を招くらしい)とともに取材にものぞんでくれた。ジャパンプレミアの会場で、主演のサラ・ミシェル・ゲラーにだるまの目を入れてもらうつもりだという。まるで少年のように瞳を輝かせて映画の話に熱中する姿に、ついついこちらも心がオープンになっていく。きっとプロデューサーのサム・ライミも同じ映画を愛する者として、彼の映画に対する情熱に心動かされたに違いない。スタジオ側と監督が対立したときには、必ず清水監督の側についてくれたらしい。人を脅かすのが好き、イタズラも大好き、そして映画を撮るのが何よりも好きだという監督。そんなちゃめっ気たっぷりの監督が贈る、ハリウッド発恐怖の仕掛けたっぷりの一本を、スクリーンで体感しよう!

『THE JUON/呪怨』は渋谷東急ほか全国で公開中。

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