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『県庁の星』織田裕二 インタビュー

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『県庁の星』織田裕二 インタビュー

取材・文:FLIXムービーサイト 写真:田中紀子

田舎町のスーパーを舞台に、織田演じるK県庁のキャリア公務員・野村と柴咲コウ演じるパートの店員との“官VS民”バトルをユーモアたっぷりに描いた『県庁の星』は、2月25日から公開される。『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』から3年、久しぶりの主演作となる織田は、現場主義の青島刑事とは正反対の、県庁に勤めるマニュアル命! 出世命! のスーパーエリート公務員を好演し、新境地を開拓した。「日本映画界のスーパーヒーロー」織田裕二が、本作にかけた思いを熱く語ってくれた。

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『県庁の星』は僕の図書館に入れておきたいバイブル

織田裕二

Q:本作はご自身にとってどんな作品になりましたか?

この1年ずっと「自分探し」をしてきた中で取り組んだ映画だったんですが、その答えが出たような気がします。その結論自体は「自分探しをする前」と変わりないかもしれないけれど。僕はあと2年で40代を迎えますが、この映画に取り組んだことで「これから先の10年をどうやったら幸せに生きていけるか」という身近な目標ができたと思います。

Q:「自分探し」の結論とは?

僕の「自分探し」の結論は、この作品の結論にも通じているんです。この作品をやったことで、多くのことに「気付かされた」ということです。台本もそうだし、この映画が完成して、形になったときに、なんだか自分の図書館ができたような気がしたんです。そこは僕が見つけた大切なものをしまっておく場所で、ここに来れば別の何かが見つけられるかもしれない。また、ここで見つけたものを今後の演技に生かせるかもしれない。この作品は僕にとっての人生のバイブルであり、人としての基本軸をしっかり身につけるための最良の教科書でもあるんです。でも自分探しに結論はないと思います。ずっと探しつづけるかもしれないですね。

「気付く」ことが大切

織田裕二

Q:今回の地方公務員の野村という役を演じて感じたことは?

本作のキーワードは「気付くか、気付かないか」だと思います。上から偉そうに指示するだけでなくて、相手と同じ土俵に上がることで、相手のこともちゃんと思いやれると思います。このことは“県庁”と“スーパー”という「官と民」の間柄だけでなく、すべての立場や場面に置き換えて考えることができると思うんです。僕は、この役を演じたことによって本当に多くのことに気付かされました。

Q:たとえばどんなことを気付かされたのでしょうか?

自由と個性っていうのはとても大事で、僕自身大好きな言葉です。僕ももちろん謳歌したいし、楽しみたいという気持ちはあるけれど、それをはき違えると恐ろしいことになってしまいます。そのことに「気付く」必要があると思います。

1つのイメージにはこだわらない

織田裕二

Q:本作の野村役を演じたことによって、「踊る大走査線」シリーズの青島刑事のイメージを崩せたと思いますか?

どうでしょう? 僕が今回演じた野村は、実は青島刑事に似たところもあると思います。その壁を崩せたかどうかは、僕ではなくご覧になった方の判断にお任せします。イメージについては常に新しくしていきたいです。演じたいものがたくさんありすぎて、間に合わないんですが(笑)。

Q:どのようにして役を選ばれるのですか?

たとえば、今の携帯はとても多機能ですよね。そんな時、携帯で何がしたいかという明確なものがないと、どの機種を選べばよいのか迷いますよね? 僕はこれがしたいから、こっちを選ぶとか。見た目ももちろん大切ですが……そういう風に毎回イメージを変えるようにして選んでいます。

ハンカチがポイントです

織田裕二

Q:本作で演じた野村はどんな人物だと分析されましたか?

彼の人物設定として、野村は暴力に対して非常に弱い人物なんだと、監督から教わりました。演じる際にはそういう弱い部分を出すようにしたり、「ユーモア」という種類の笑いを加えてみたりしました。話していないときや誰も見ていないようなときの野村のしぐさに出ているので、それが観客の方に伝わればいいと思います。

Q:役作りでこだわった部分はありますか?

撮影に入る前に「申し訳ないけれど、ハンカチを用意してほしい」とお願いしたんです。しかも「黒、白、グレー」を用意していただきました。野村の気持ちをそのハンカチの色に合わせたんです。「このシーンの野村の気持ちは『黒』のハンカチ」とか。ハンカチにはかなり助けられましたね。

Q:細かいところで役の気持ちに入ったわけですね。

はい。ただ僕はアイロンがけが苦手なので、スタッフの方には面倒をおかけしました。すみません(笑)。

柴咲さんの魅力はあの瞳

織田裕二

Q:共演者された柴咲さんの魅力を教えて下さい。

ストレートな強さと知的な雰囲気ですね。あと、あの力強い瞳は魅力的ですね。撮影現場で、座って小説を読んでいる姿が印象に残っています。

Q:柴咲さんが演じた二宮の魅力は?

二宮の魅力は「前を向いていること」だと思います。強さや理想は持っているけど、それを実現させる方法がわからない。でも野村と出会ったことで、皆と力を合わせて前進することの大切さに気付いたんではないでしょうか。

この作品を通して伝えたいこと

織田裕二

Q:それはある意味野村にも言えることでは?

そうですね。いろいろな人に助けられていますね。ただ、自分がしっかりしていないと助けてはもらえないですよね。自分で気付いて、自分で歩かないと助けようがないというのが正直なところでしょうね。世の中の人がすべて無償の愛をくれる母親ではないですからね。

Q:この映画で一番伝えたいことは?

最初にお話した「気付く」ということです。映画の中のせりふで言うと「意識の改革」ですね。そのあとに続くせりふで「素直に謝る。素直に教わる。そして、何かを成し遂げるには仲間が必要なんだ」ということですね。


1つの質問に対して、自分の言葉で5分以上語る織田裕二はイメージ通りの熱い男。時折、冗談を言っては自分でゲラゲラ笑ってしまう、おちゃめで気さくな彼は、映画からは想像もつかないほど底抜けに明るい。常に変化を続け、人々のイメージを塗り替えていく俳優・織田裕二の魅力的な一面が見えた気がした。

【織田裕二オフィシャルサイト:http://www.yuji-oda.com】

『県庁の星』は2月25日より全国東宝系にて公開。

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