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日本映画を担う3人の監督たち<前編>映画作りにおいて絶対に譲れない「おきて」(2/3)

第28回東京国際映画祭

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日本映画を担う3人の監督たち

長年封印したジャンルを引き受けた理由とアンドロイド“演出”秘話

Q:今回の新作を撮るまでの経緯を教えてください。

中村:『残穢』は原作が本当に怖かったんですよね。ただ、自分には中田秀夫監督のようなホラー映画は撮れないっていうことは、初期の経験でわかっていたので、あるときからホラーものの企画は断るようにしていたんです。でも、今回は原作の小野(不由美)さんが僕が昔撮ったホラー作品を観てくださっていて、“映像化するならぜひ中村監督に”と言ってくださった。僕が一番あがいている時期を知っている彼女の言葉に押されてお引き受けしたんです。

Q:謎解き的な面白さで見せていって、最後にホラーで締めくくるところが中村監督らしいと思いました。

中村:多分、深田監督は役者さんにまかせたりすると思うし、僕も普段はそうなんですけど、怖い映画に関しては監督のコントロールがすごく必要で、それが本当にしんどいんですよね。作品の性質上、どうしても役者におまかせ、というわけにはいかない。「リアルなリアクションだとそうなるけれど、ここはもう少し間をとってください」という演出は、他ではしないですから。怖い映画にはそのあたりのうそは絶対必要なんですよね。主演の竹内結子さんと橋本愛さんはそれでも気持ちでお芝居ができる方たちだったので、助かりました。

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日本映画を担う3人の監督たち

Q:深田さんはアンドロイドをキャスティングされたことによる苦労があったのでは?

深田:いえ、それがあまりなかったんです。アンドロイド俳優のジェミノイドF(※女性型の遠隔操作型アンドロイド)が忙しい方なので、稼働スケジュールを確保するのが大変だったぐらいで。あとは壊したら修理代がバカ高いので、そこはちょっと気をつけなければいけなかったんですけど、ジェミノイドFを操作するロボット研究者の力石武信さんには本作の演劇版での経験があったので、現場はスムーズに進みました。

Q:平田オリザさんによる演劇版を観て映画化したいと思ったのは、やはり原発の問題を扱っていたからですか?

深田:『さようなら』の戯曲には第1部と第2部があるんですけど、僕が2010年に観たときは第1部だけで、原発のエピソードはまったくなかったんです。でも、それを観たときにこれを映画化したいと思って。アンドロイドと人間が共演する面白さもあったんですけど、それよりも、わずか15分の舞台に死の匂いがものすごく濃密に凝縮されていて、そこに惹かれたんですね。そこから舞台装置そのものが死に向かっているという状況にしたくて、原発が同時多発テロで爆発して世界が終わるという設定を作ったんです。

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