無邪気さに心洗われる!子ども映画が豊作!

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『オンネリとアンネリのおうち』
(C) Zodiak Finland Oy 2014. All rights reserved.

 今年は子どもを主人公にした良作がそろっています。鑑賞後、優しい気持ちにさせてくれる心温まる作品をおすすめします!(編集部・石神恵美子)

シュガーコーティングされたアメリカ社会の闇

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(公開中)

『フロリダ・プロジェクト』
(C) 2017 Florida Project 2016, LLC.

 ロサンゼルスの片隅に生きるトランスジェンダーの日常を全編iPhoneで撮影した『タンジェリン』で、その名を知られるようになった新鋭ショーン・ベイカー監督の最新作。フロリダにある“夢の国”ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのすぐそばにある安モーテルで生活する母娘の日常を切り取ります。いわゆる“隠れホームレス”である彼女たちの暮らしぶりを、子どもの視点を通してシュガーコーティングすることによって、皮肉っぽくその深刻さを浮き彫りにします。

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『フロリダ・プロジェクト』
(C) 2017 Florida Project 2016, LLC.

 例えば、低所得者層を対象にした審査はゆるいが高金利の住宅ローン=サブプライムローンの破綻の名残を感じさせる空き家も、子どもたちにとっては格好の遊び場に早変わり。社会の事情を知らずに日々を楽しく生きる、ちびっこギャングのひと夏の冒険感溢れる日常にはたくましさを感じつつも、時としてドキドキハラハラさせられます。

『フロリダ・プロジェクト』
(C) 2017 Florida Project 2016, LLC.

 また、リアリティーを追求するキャスティングを得意とするベイカー監督は、『タンジェリン』ではリサーチ中に道端で出会った実際のトランスジェンダーの女性2人を主要キャストに起用していましたが、今回はなんとInstagramで母親役のブリア・ヴィネイトをキャスティング。そのブリアや、6歳の少女ムーニー役のブルックリン・キンバリー・プリンスたちのナチュラルな演技に、ドキュメンタリー映画を観ているような感覚にもなります。もちろん、本作でモーテルの管理人を演じ、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたウィレム・デフォーの名演も見どころ。ムーニーたち親子が部屋代を滞納しても、簡単に追い出したりしない、彼の存在が救いになっています。解釈の余地を含むラストシーンを含め、いろいろなことを考えさせられる一作です。

北欧からとにかくキュートな女の子映画がやってきた!

オンネリとアンネリのおうち』(公開中)

『オンネリとアンネリのおうち』
(C) Zodiak Finland Oy 2014. All rights reserved.

 フィンランドのかわいい映画として人気のある『ヘイフラワーとキルトシュー』が好きな人にオススメしたいのが、フィンランドの人気児童文学を実写化映画化した本作。フィンランドでは3週連続1位(配給調べ)に輝いた映画で、その後シリーズ化もされ、公開された3作品でのべ100万人を動員する大ヒットを記録しています。

『オンネリとアンネリのおうち』
(C) Zodiak Finland Oy 2014. All rights reserved.

 いつも一緒で仲良しの女の子2人組オンネリとアンネリがある日、素敵なおうちを購入し、ちょっぴり変わったご近所さんたちと騒動を乗り越えていくというストーリーです。オンネリとアンネリのおうちが、ドールハウスのようにとにかくキュート。花柄の壁紙からカラフルな家具、2人おそろいのドレスからパジャマに、テーブルには彩り豊かなスイーツと、女の子の憧れが全て詰まっています。

『オンネリとアンネリのおうち』
(C) Zodiak Finland Oy 2014. All rights reserved.

 そして、お金をひろっても「光るシールがよかった」とこぼすほど、オンネリとアンネリのあまりのピュアさにはツッコミを入れたくなるほど。素直になれないちょっぴり不器用な大人たちを前に、オンネリとアンネリが見せる屈託のない笑顔に心洗われます。サーラ・カンテル監督が「親たちが子どものためにじゅうぶんな時間を持つことができない」というテーマが物語の根底にあると語っていたように、オンネリとアンネリが2人だけで暮らし始めても彼女たちの両親が気が付かないという描写にははっとさせられます。でも、原作が児童文学なので、犬のようなハタキ、オッドアイの猫、卵を燃料にして動く車といったファンタジー要素たっぷりで、難しいことは考えずに観られる一作です。

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泣けて笑えて、優しさを教えてくれる

ワンダー 君は太陽』(6月15日公開)

『ワンダー』
(C) Motion Picture Artwork (C) 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 遺伝子の突然変異により、骨や顔が変形してしまうトリーチャー・コリンズ症候群の男の子を描いた本作。原作は、ニューヨークタイムズベストセラー第1位にもなった人気児童書。生まれてから27回の手術を繰り返したため、学校には通わず自宅学習していたオギーでしたが、母親の強い意向により、ついに普通の学校生活をスタートさせます。原作者のR・J・パラシオが映画化にあたって絶対条件に掲げていたのが、「オギーの見た目を控えめにしない」ことだったそうで、大掛かりな特殊メイクとCGの技術に、『ルーム』の天才子役ジェイコブ・トレンブレイくんの熱意と忍耐力があわさって、症状を忠実に描くという点を実現しています。しかし、同級生の一人が言い放つ「顔は見慣れる」という言葉通り、ストーリーが進むにつれ、オギーの外見はいい意味でどうでもよくなってきます。オギーの素直で愛嬌たっぷりの性格に魅せられていくからです。

『ワンダー』
(C) Motion Picture Artwork (C) 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 また、原作小説と同様にチャプター仕立てでオギー以外のキャラクターたちの視点を設けたことで、オギーだけを悲劇の主人公として特別視しない構成となり、それが単純なお涙ちょうだい的映画になることを回避させています。オギーの姉や同級生たちの心の内にも踏み込んでいくことで群像劇としても機能し、誰もがその人なりの悩みを抱えているということがわかるからです。とくに、青春映画『ウォールフラワー』で高い評価を受けていたスティーヴン・チョボスキーが監督なだけに、高校初日を迎えたオギーの姉のパートでは思春期の若者たちの心の機微をよく捉えています。

『ワンダー』
(C) Motion Picture Artwork (C) 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 そして、自然に泣ける一方で、ユーモアにも溢れているので笑顔にもさせてくれます。「つらい時は、楽しい想像をする」という、母親のアドバイスを実践しているオギーの目の前に広がる世界は、映画でこそ表現しがいのあるものばかり。例えば、校内でたくさんの生徒たちから向けられる視線には、自分が宇宙飛行士になって歓迎されているような姿を想像してみたり。オギーの脳内で現実がファンタジックに変換されていく描写は、映像としても楽しめます。ちなみに、オギーは『スター・ウォーズ』ファンなので、チューバッカなどが登場したり、映画ファンの心もくすぐってくれます。オギーたちを通して優しい気持ちにさせてくれる一本です。

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子どものようなピュアな心を持った青年の奇蹟!

ブリグズビー・ベア』(6月23日公開)

『ブリグズビー・ベア』
(C) 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.

 子どもが主人公ではないのですが、子どものようなピュアな心を持つ青年のストーリーを描いたのが本作。25歳まで外の世界を知らずに小さなシェルターで、偽の両親と3人暮らしをしてきたジェームスにとっては、(その偽の両親がこっそり制作していた)教育ビデオ「ブリグズビー・ベア」が全てでした。ある日、いきなり外の世界に放り出されたジェームスが、たくさんの初めてに出くわしていくさまは、自然と笑いを誘います! 脚本・主演を務めたのは、コメディー番組「Saturday Night Live」で人気のコメディアン、カイル・ムーニーなので、シュールな笑いはお手のもの。

『ブリグズビー・ベア』
(C) 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.

 一方で、「ブリグズビー・ベア」への想いを断ち切ることなんてできないジェームスには試練も待ち受けていますが、自ら「ブリグズビー・ベア」を完結させるべく奮闘する彼の純粋さが、周囲の人々の心をも動かしていきます。VHS愛に溢れたレトロタッチな「ブリグズビー・ベア」そのものもかなり興味深くなっています。

『ブリグズビー・ベア』
(C) 2017 Sony Pictures Classics. All Rights Reserved.

 そして、『スター・ウォーズ』シリーズのマーク・ハミルが「ブリグズビー・ベア」をつくっていた偽親役というのが、声優としてのキャリアを持つハミルにとってハマリ役。偽の両親でも愛情をもってジェームスを育てていただけに、ちょっぴり切ないシーンも。独特の世界観で人生の再生を描いたストーリーということもあって、『リトル・ミス・サンシャイン』を彷彿させるところもあります。善い人ばかりが登場する本作は、優しさが連鎖する展開で、観る人の心を温めてくれます。

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