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レジーナ・キングはタフな母親がハマる!オスカー女優の必見ドラマを一挙紹介

厳選!ハマる海外ドラマ

レジーナ・キング
『ビール・ストリートの恋人たち』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したレジーナ・キング Kevin Winter / Getty Images

 『ビール・ストリートの恋人たち』(公開中)で、何としてでも娘の恋人の冤罪を証明するべく奔走する母親を熱演し、第91回アカデミー賞助演女優賞に輝いたレジーナ・キング。目力の強さ、そして鉄のような意思の強さを体現する女性像は、レジーナの十八番かもしれない。そんな彼女は、もともと人気テレビシリーズ「224(原題)」(1985~1990)からキャリアをスタートした女優。『ビール・ストリート~』と同様、タフな母親がハマり役だったエミー賞受賞作「アメリカン・クライム」「運命の7秒」など、賞に輝いた作品を中心に振り返ってみた。

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ビール・ストリートの恋人たち
ヒロインの母親を好演した『ビール・ストリートの恋人たち』(公開中)(C) 2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

 レジーナは「24-TWENTY FOUR-」のシーズン6のサンドラ・パーマー役、あるいは「サウスランド」の女性刑事リディア・アダムス役で記憶している人も多いだろうか。後者はベン・マッケンジーがロサンゼルス市警の制服警官を演じる意欲的な犯罪捜査ドラマ。臨場感あふれる現場を再現するような硬派な作風で、過酷な任務に疲れた刑事を好演していたが(レジーナはいつだって好演だ)、このドラマはマッケンジーのものだったと記憶している。

 圧倒的な存在感で私が打ちのめされたのは「アメリカン・クライム」(2015~2017)だ。人種偏見や差別、移民問題をテーマにした重厚なタッチのアンソロジー・シリーズで、クリエイターは『それでも夜は明ける』(2013)でアカデミー賞脚色賞候補になったジョン・リドリー。地上波ABCの作品としてはかなりチャレンジングだったのではないだろうか。シーズン1は白人男性が強盗殺人に遭い、妻はレイプされ意識不明の状態で発見された事件に端を発する。容疑者として逮捕されたのは麻薬中毒者カーター。レジーナが演じるのはカーターの姉で、弟の冤罪を晴らそうと立ち上がるムスリムのアーリアを熱演している。主演格としては、現在スキャンダルの渦中にあるフェリシティ・ハフマンふんする被害者の母親バーブで、移民や貧困層に対する「いやな感じ」をギスギスとした空気感とともに体現している。 また、事件に巻き込まれるヒスパニックの家族のパートにも多くの時間が割かれている。しかし、アーリアの決然とした態度と意志の強さを伝えるレジーナのパフォーマンスは、誰よりも強烈な印象を残す。

アメリカン・クライム
「アメリカン・クライム」(C)ABC / Photofest / Getty Images

 本作がシーズン1しか日本に上陸しておらず、気軽に視聴できる環境にもないのは残念だ。終わらない憎しみの連鎖や、それとはわからないような日常に潜む根強い偏見を浮き彫りにするテーマは、今の時代にこそ必要なドラマだと思う。それにメインキャストが3シーズンにわたり、シーズンごとに異なる物語で別人を演じるという試みはファンにとって魅力的なものだ。レジーナは3シーズンすべての演技においてエミー賞候補となり、シーズン1&2で見事受賞を果たしている。

 題材的には、この「アメリカン・クライム」の延長線上にあるともいえるのが「運命の7秒」(2018)だ。本作でもエミー賞を受賞したレジーナは、白人警官が運転する車にひかれ、長時間人気のない道の溝に放置された15歳の少年の母親ラトリスを大熱演。白人警官と同僚の刑事たちが隠蔽を図る中、息子の死の真相を明らかにするまで、絶対に絶対に諦めることのない母親の狂気にも近い執念を発揮する。

運命の7秒
Netflixオリジナルシリーズ「運命の7秒」独占配信中

 少年の命が軽んじられたのは、彼が黒人だからだ。ブラック・ライヴズ・マターを強く訴える本作は全10話で完結するが、これが最後の最後までどう転ぶかわからないというじれったさに胃が痛くなるほど。しかし、この時間の長さこそがリアリティーを感じさせるものでもある。一つ進展があれば二歩後退するといった捜査や裁判の行方は、現実にはもっと長くて辛いものなのだろう。そして正義はどこにあるのか? 変わることのない(悪化している)現実の問題に真摯に向き合った本作は、2時間程度の映画では難しいと思わされる長尺が生きた秀作シリーズである。

 さて、レジーナの新作にはHBOの大注目シリーズ「ウォッチメン」が控えている。「LOST」や「LEFTOVERS/残された世界」(当連載のレビュー参照)シリーズで気を吐くデイモン・リンデロフ版の「ウォッチメン」は、リンデロフらしくわかりやすい作品にならないことは必至。レジーナの役どころも含めて楽しみだ。またレジーナは「グッド・ドクター 名医の条件」や「This Is Us」など人気タイトルのエピソード監督を積極的に手がけていることも付け加えておく。

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今祥枝(いま・さちえ)ライター/編集者。「小説すばる」で「ピークTV最前線」、「yom yom」で「海外エンタメ考 意識高いとかじゃなくて」、「日経エンタテインメント!」で「海外ドラマはやめられない!」を連載中。本サイトでは間違いなしの神配信映画幻に終わった傑作映画たちを担当。Twitter @SachieIma

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