ウーマン村本、Noと言わない国民に物申す！
映画たて・よこ・ななめ見！
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、フィクションでありながら、日本の政権とメディアの実態に深く切り込んだ映画『新聞記者』をななめ見してもらいました！（取材・文：シネマトゥデイ編集部・森田真帆）
『新聞記者』
東京新聞記者・望月衣塑子の著書を原案にしたサスペンス。国家の闇を追う記者・吉岡（シム・ウンギョン）と、現政権に不都合なニュースを操作する任務に苦悩する内閣情報調査室の若手官僚・杉原（松坂桃李）が、それぞれの正義を貫こうとする。
ウーマン、時事ネタを周囲が心配
村本：原案が望月衣塑子さんの「新聞記者」（角川新書）っていう本。劇中の女性記者の吉岡も、望月さんをイメージしてるよね？ 俺は望月さんが森友・加計学園問題を追ってる時の話を知ってるからわかる。ジャーナリストのなかには、アメリカのトランプ大統領寄りの「FOXニュース」みたいに、権力側に都合のいい情報を流すのもいると思うけど、望月さんは記者としてちゃんと権力を疑っている人やと思う。
中川：森友とか加計って、政府が捏造をしているとか、闇を抱えてるってやつよね！
村本：いやいやお前、森友・加計学園問題の情報をどんだけ知ってんの？
中川：ウィキペディアに書いてある情報くらいは知ってるんちゃう？
村本：……パラダイスは全然わかってないけど、1～2年前に、森友・加計問題や沖縄の基地問題なんかを漫才のネタにして、政権批判をした時、タブーに触れたと盛り上がるなかで、「そんなこと言って政権に消されないのか？」とかって言われてたんや。
中川：映画の中で、松坂くんがやっていたやつやん！ あいつを社会的に抹殺する情報流せって指示されて。ああいうことがほんまにあるんかなって、この映画で初めて考えたわ。いうなれば、村本を抹殺しろってなるわけやんな。
村本：めっちゃ怖いやろ。テレビ局も新聞社もみんな政府とつながってる。テレビ局の政治部が総理大臣と仲良くすることで初めて聞ける情報がある。同じ局やのに、政治部の方が力持ってるから、ほかの番組で政権批判したようとしてもクレームがきて、やめてくれってのがあるみたい。だから、俺らがああいうネタをすると、よくも政権批判しやがってみたいな形で俺らの周りで賛否両論巻き起こるわけや。
村本、女性記者のモデルに謝罪！
村本：で、俺はそのことで1回、望月さんに謝らなきゃならないことがあってさ。ちょうど批判のネタをしたタイミングで、「土曜 The NIGHT」（AbemaTV）っていう番組を降りることになったのよ。それで、系列局からの圧力で降ろされたんじゃないかって憶測が立ったわけ。俺もそれに対してコメントで「ここでは言えません」って書いたのよ。
中川：え？ ほんまはちゃうやんな？
村本：ほんまは、アメリカに留学するんで休むからって、自分からやめてん（笑）。そしたら盛り上がってきたから、あとは番組を見てくださいとか、視聴率上げるためにやってたんや。そしたら生放送の後にメディアがめっちゃ待ってて。そこに望月さんも来ていてさ。すごい熱い感じでコメント求められて、言うたら俺の自作自演やからほんまに辛くって。望月さんにはマジで申し訳ないことをしてしまったので、この映画は売れてもらわなあかんねん！
メディアコントロールにビビる！
中川：ネットを通じて印象操作される場面がすごい怖かったわ。しかも、それを官僚がやってるって、普通の感覚ならありえんと思うやろ。村本も、まさにネットで印象操作されてるんちゃうか？
村本：ほんまにそうやで。みんながある事ない事、書くもんな。結局、みんなウソでも乗っかりやすい話の方が好きやから。少しでも俺のことを悪く書きたいヤツらは、「あいつはそういう奴や」って言うワケや。俺を嫌いなやつらが、むちゃくちゃ悪く書くことによって、俺のイメージが作られるわけ。
村本：例えば、朝鮮学校の子供たちのことを助けようとしているから、お前は在日なんだよと。その話がやたら広がっていって、俺の両親とか家族も「在日なんでしょ」って、コソコソと書くようなヤツもいる。村本って名字も韓国人とかな。でもさ、俺が「韓国人じゃないよ」って否定することで、韓国の人が無駄に傷つくかもしれんやん。だからほったらかしにしたら、「韓国人だからだ」って、いうやつがいるわけ。あたかもそれが、本当のことかのように言う人がいてるねん。
中川：言い訳せんでおったら、ほれみろ事実なんや！ って、そういう受け止め方ね。
村本：それに、仮に俺がそうであろうと何？ って話やん。あのな、これはマジで書いてほしいんやけど、「本当にずっと昔から俺は日本人やけどお前よりも税金むちゃくちゃ納めてて、お前の通ってる病院にいく（国民健康）保険代も俺が払っとるんやから、ちゃんと病院行けよ！」って。こう言ったところで、誰も俺が「日本人やったんや！」とは言わないわけよ。「あ、村本って日本人やったんや。おもしろくないな」みたいな感じで終わり。結局そうしてウソだけが蔓延して、関係ない人にまで広がっていく。
中川：結局、面白い方を取るからね。
村本：パラダイスかて、自分も嫁も浮気してて～とかバラエティー番組で言うやん？ そうすると、お前ら家族を見たわけでもないのに「（中川の）子供がかわいそう」って言いふらす奴がいる。子供はちゃんと育ってんけど、そこには興味がないのよ。「かわいそう」ってことが面白いから言いふらされるわけ。
中川：ああ、そういうことは確かにあるなぁ
村本：世の中これがおかしいぞって言うんじゃなくて、「あのネット記事見ました？」っていう話題に時間を割く奴らのウソばかり広まってしまうんや。全てが又聞き。だからこそ、この映画の新聞記者みたいに、納得するまで調べて取材する人たちの言葉は大事。
中川が驚愕！ここまで酷いの？
中川：それにしてもすごい話すぎて、全部がフィクションに見えるわ。本当にここまで酷いの？ ってのが俺の感想。田中哲司さんが演じてる、杉原（松坂）の上司が情報操作を指示する感じとか、めっちゃ怖かった。
村本：パラダイスもそうやけど、この映画を観て思ったのは、普通やと、ちゃんと新聞とかを読んで政権を疑うってとこまではいかんのやなってこと。さっきからお前、まるで他の国の話でも聞いてる感じやんか。俺はありえへんと思うぞ。お前にも子供がいるやろ？ 子供の将来の話やろ？ 国民が政治を任せっきりでほったらかしにして、「No」と言わないから「No」と言えない空気ができてきて、結局はだんまり決め込んで、自由にさせてしまう。日本が自分達の子供の国になるっていうふうに考えんと。
中川：この映画のなかでも、本当のことやのに、内閣庁に誤報だってことにされるシーンがあるよな。現実で誤報ってされることも、ホンマのことかもしれないってことよね。そうなると何が真実かわからなくなるわ。
村本：望月さんたちは、お前の息子とか子供たち、日本の未来のために代わりにやってくれてるんやから。沖縄で座り込みしている人らも、写真撮られてネットあげられるやん？ なんでそこまでのリスクを犯してまで座り込むのかって聞いたら「子供たちの沖縄なんで。空に戦闘機とかが飛んでるのを止めたいから」って。俺はね、こういう人たちのことを信じなくていい。いいけど、疑わなくていいかなとは思う。よく、那覇で座り込みしている人たちは金もらってやっとるんやって言われてるけど、蓋を開けてみると、そういう人もおるかも知らんけどよー知らんねん。みんな人伝いの話だけ。それだけの情報で、変な人、金もらってる人、プロ市民、活動家みたいな言い方で。それはおかしいんじゃないか？ って言うてる人たちに対して、強い方が勝つ仕組みになってる。そのなかで抵抗してる人たちが疑われるようになってるっていうのはやっぱあるよね。
映画『新聞記者』は6月28日より全国公開
映画『新聞記者』オフィシャルサイト
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ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です！」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため（中退）、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。
