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「ワイスピ」ファミリーの絆 故ポール・ウォーカーの名言も!

ワイルド・スピード
記念すべき第1作『ワイルド・スピード』(2001)の集合写真 マット・シュルツ、ミシェル・ロドリゲス、ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ジョーダナ・ブリュースター、リック・ユーン、チャド・リンドバーグ、ジョニー・ストロング Universal Pictures/Photofest/ゲッティイメージズ

 「ワイルド・スピード」ファミリーが、大きくなり続けている。続編ができるたびに登場人物が増え続け、ついにはスピンオフ映画まで作られることになった。この夏公開の『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(8月2日公開)がそれで、今作ではさらにジェイソン・ステイサム演じるショウの妹が出てくるらしい。(猿渡由紀)

 ショウは、6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013)の最後にカメオ出演し、7作目『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015)で正式に登場した、比較的新しいキャラクターだ。『~スーパーコンボ』で主役を分かち合うホブス(ドウェイン・ジョンソン)も、デビューは5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011)である。そんなふうに大物が加わる中、7作目の撮影中には、オリジナルの主役であるポール・ウォーカーが事故で亡くなるという悲劇があった。1作目のデビューから18年、スピンオフも含めて9本もの映画ができるうちに、「ワイスピ」の顔ぶれは、変化を遂げてきたのだ。

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ワイルド・スピード SKY MISSION
ポール・ウォーカーのシリーズ最後の出演作となった7作『ワイルド・スピード SKY MISSION』 Universal Pictures/Photofest

4作目ののちヴィン・ディーゼルが兄弟愛をアピール

ワイルド・スピード MAX
ファミリーが再集結した『ワイルド・スピード MAX』(2009)より Universal Pictures/Photofest/ゲッティイメージズ

 そもそも、「家族」というテーマ自体が確立されたのも、その流れの中のことである。もちろん、1作目でブライアン(ウォーカー)が恋するミア(ジョーダナ・ブリュースター)がドミニク(ヴィン・ディーゼル)の妹だというところにも、その下敷きはあった。しかし、ディーゼルが出演を断った2作目『ワイルド・スピードX2』(2003)、ウォーカーが出演しなかった3作目『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006)(これはウォーカーの意思ではなく制作側の考えだったそう)でその意味は薄れるも、ミシェル・ロドリゲスを含めたオリジナルの4人全員が復帰する『ワイルド・スピード MAX』(2009)がヒットし、このシリーズの魅力を再確認させることになる。この4作目でプロデューサーの肩書きも得たディーゼルは、5作目公開前のインタビューで、初めてはっきりと「テーマはブラザーフッド(兄弟愛)だ」と述べた。「僕がこれまで出演した作品に、ここまで強いブラザーフッドを感じさせるキャラクターは、いなかったよ。この映画を見終わった時、観客に、自分たちの友情、家族というものを思い出してもらい、それに感謝してもらえたら、素敵だなと思っている」(2010年、ニューヨークでの筆者とのインタビューより)。それがやがて「家族」「忠誠心」にもふくらんでいくのだ。

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ディーゼルが妻の出産を教えたのはウォーカーだけ

ポール・ウォーカー
2009年、『ワイルド・スピード MAX』ヨーロッパプレミアにて。盟友のポール・ウォーカーとヴィン・ディーゼル Ralph Orlowski/Getty Images

 約9年に及ぶ長い歳月の間には、スクリーンの裏でも家族の事情の移り変わりがあった。本人いわく、ウォーカーが1作目に出演を決めた大きな理由は、結婚していないのに子供が生まれることになってしまい、お金が必要だったこと。4作目で久々にディーゼルと共演した時、ウォーカーの娘は10歳になっており、一方でディーゼルには第一子が生まれるところだった。そんなディーゼルに出産立会いをけしかけたのは、ウォーカーだ。

 「パパラッチに知られることになりたくなかったし、僕は自分に子供が生まれることを隠していた。だが、まさに出産するというその日、僕は、ポールにだけ教えたんだよ。するとポールは、わが子の出産に立ち会うのは人生で最高の出来事だ、今すぐ病院に行けと、僕を説得した。僕は彼の言葉に従い、自分でへその緒を切った。おかげで翌朝、撮影に1時間遅刻したが、理由を言うと、上の人は皆『なんだ! それならそうと言ってくれれば、今日は君を休みにしてあげたのに』と言ってくれたよ」(2009年L.A.での筆者とのインタビューより)。3人目が生まれる時、ディーゼルの頭は、その時の思い出でいっぱいだったという。「出産の時、ポールのことを考えたかって? それどころじゃないよ。あまりにも彼のことばかり考えるから、彼が部屋にいるんじゃないかと思ったくらい。僕の母ですら、『ポールが部屋にいるみたい』と言ったほどさ」(2015年、7作目公開時のL.A.での筆者とのインタビューより)。

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ケンカは当たり前!それが絆を強くする

ワイルド・スピード
2001年、『ワイルド・スピード』フォトコールにて。ミシェル・ロドリゲス、ロブ・コーエン監督、ジョーダナ・ブリュースター、ポール・ウォーカー、ヴィン・ディーゼル Tony Barson Archive/WireImage/ゲッティイメージズ

 もちろん、彼らの関係は、いいことばかりではない。ディーゼルとジョンソンが現場でぶつかったこと、スピンオフの『スーパーコンボ』ができるせいで9作目が遅れることをディーゼルが快く思わなかったことなどはメディアでも語られている。しかし、主役級のマッチョ男がこれだけ揃えば、そういうことが時に起きるのも想定内だろう。それに、どんな家族でも、考えや性格に違いがあったり、もめごとがあったりするもの。それが、家族を家族にするのだ。6作目公開時のインタビューで、ウォーカーは、こんなふうに語っていた。

 「『現場はどんな雰囲気でしたか?』と聞かれると、どんな映画でも、みんな決まって『家族みたいだった』と言うよね。聞こえがいいから。僕らも最初はそう信じたいと思っていた。でも、実際はほど遠かったよ。みんな、あまりにも違う人たちだからさ。普通ならばつるまない人たち同士が集まっているんだよ。だけど、長い時間が経つうちに、僕はこんな僕らの可笑しい関係をありがたく思うようになってきたんだ。こういうのもいいなあ、とね。今、僕は心の底から、これはファミリーだと思っている」(2013年、ロンドンでの筆者とのインタビューより)。

ワイルド・スピード
2013年、MTV Movie Awardsにて。ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ジョーダナ・ブリュースター、ミシェル・ロドリゲス Jeff Kravitz/FilmMagic/ゲッティイメージズ

 「ワイスピ」本シリーズは、この後、まだ2本作られる予定だ。愛する家族はそこでどんなふうに成長し、どんな新しい姿を見せてくれるのか。ウォーカーも、遠い空からそれを見守り続けている。

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