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激ヤバ!『カイジ』命懸けゲームベスト5

 原作者である福本伸行自ら脚本に関わったオリジナルストーリーにして、シリーズ完結編となる『カイジ ファイナルゲーム』が2020年1月10日に公開! そこでシリーズ過去2作品のゲームシーンのなかから激ヤバ度順にBEST5を選ばせていただきました。さて、アナタのBESTはどのゲーム?(浅見祥子)

その1:限定ジャンケン(『カイジ 人生逆転ゲーム』より)

カイジ 人生逆転ゲーム
「カイジ 人生逆転ゲーム」Blu-ray&DVDは発売中(発売元:バップ) (C)福本伸行・講談社/2009「カイジ」製作委員会

 藤原竜也が演じるのは、「宝くじでも当たらないかな~?」とかいって定職にも就かず負け犬人生まっしぐらの伊藤カイジ。そんな彼がある日、文字通りに命懸けのゲームへ挑むハメに。え~、マジで!?--映画『カイジ 人生逆転ゲーム』はそんな風に始まる。友人の借金の保証人になったことから抱えた負債が膨れ上がり、悪徳金融会社の女社長・遠藤凛子(天海祐希)からその取り立てを受け、豪華客船で開催される秘密のギャンブルへの参加を持ちかけられる。

 借金帳消し&負け犬人生一発逆転レベルの大金をゲットするか、それとも死か?

 カイジが初めてそんなゲームに取り組むことになるのが“限定ジャンケン”。フランス語で希望を意味する「エスポワール」という名前も皮肉な豪華客船に乗せられた参加者はまず、胸に3つの星をつけられる。星1つは100万円、参加者は全員が文無しなので300万を主催者から1分1%の暴利で貸し付けられる。同時にグー、チョキ、パーの3種4枚ずつ、計12枚のカードが配られて参加者同士でジャンケン。勝者は敗者の星を得て、30分の制限時間内で12枚すべてのカードを使いきり、星3つ以上確保したら勝ち。そして負けたら命の保証はない……ってぎゃ~!

 誰もが知るジャンケンで、ルールは単純。だからこその駆け引きが生まれ、参加者同士がこっそり手を組んで裏をかこうとしたりして。その展開は先読み不可能で、激ヤバ!

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その2:Eカード(『カイジ 人生逆転ゲーム』より)

カイジ 人生逆転ゲーム
(C)福本伸行・講談社/2009「カイジ」製作委員会

 いくつかのゲームをぎりぎりで生き抜いたカイジが、これまでギャンブルを仕切ってきた大手金融業者・帝愛グループの利根川(香川照之)とサシで勝負するのが“Eカード”。まず二人のうち、どちらが“皇帝”でどちらが“奴隷”かを決める。持ち札は 皇帝側が市民カードを4枚、皇帝カード1枚、奴隷側が市民カード4枚、奴隷カード1枚の計10枚。まず奴隷側がカードを1枚選び、伏せてテーブルに。それを見て皇帝側もカードを1枚選んで同じように伏せ、同時に開いて勝負を決める。カードの強弱はまさに社会の縮図。市民は奴隷より強く、皇帝は市民より強く、奴隷は失うものがなにもないから唯一皇帝に勝てる。EカードはEmperorのEに由来するというワケ。

 このゲームのポイントは、ズバリ心理戦にある。相手と向き合って性格やら癖やらのすべてを考慮に入れ、出されたカードを見て、つぎの一手を深読みしていく。一見したらただ向き合ってカードを見つめているだけ、でもその脳みそは沸騰直前! みたいな。つまりこのシーンにどれだけの緊張感が出るかは、演じる役者の腕次第なのだ。そこは舞台で培った濃厚な演技力を誇る藤原竜也と、どんな役でも(歌舞伎でも!)自由自在、見どころのあるキャラクターに仕上げる香川照之。藤原はただカードを切る仕草が恐るべき熱演の域に達するし、香川は一瞬、「負け……?」みたいな絶望の表情から「終わりだな……クゥワイジ!」と虫けらを見下すような究極のどや顔への変化をすさまじい吸引力で演じてみせる。

 勝負を射るような眼差しで見守る遠藤役の天海祐希を含め、まさに邦画界の頂上決戦の様相を呈する演技合戦で、激ヤバ!

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その3:姫と奴隷(『カイジ2~人生奪回ゲーム~』より)

カイジ2~人生奪回ゲーム~
「カイジ2 人生奪回ゲーム」Blu-ray&DVDは発売中(発売元:バップ)(C)福本伸行・講談社/2011「カイジ2」製作委員会

 『カイジ2~人生奪回ゲーム~』で再び負け組に転落して地下の強制労働施設へ逆戻りしたカイジが仲間に有り金を託され、2週間で2億円にすることを目標に地上へ舞い戻る。そこでカイジはかつての宿敵である利根川と再会。さらに同じように負け犬人生からの脱却を企てる坂崎(生瀬勝久)らと出合い、帝愛グループの裏カジノへ乗り込む。

 この裏カジノで多額の借金を背負った人間(=奴隷)が挑むのが“姫と奴隷”。足枷に繋がれた奴隷は目の前にある3つの檻のうち、どれかひとつだけを開放できるボタンが押せる。姫の檻なら3,000万円を得て負債は帳消し、他の二つの檻なら、そこに閉じ込められたライオンの餌食に。このとき姫にだけは正解のボタンが教えられ、奴隷にヒントを与えられるが、姫が正解を言うとは限らない。なぜなら姫は、奴隷が死ねば300万円が手に入るから。つまりこれはあまりにシビアな、命懸けの、愛or金の選択となる。

 ここでの姫は、1作目にも登場した石田裕美。極限状況下でカイジと絆を結ぶ石田のおっさん(光石研)の娘で最後にちらりと顔も出したが、その裕美が2作目ではキーとなる役回りに。「カイジが父を見殺しにした」と信じる裕美はカイジに真実を告げるのか?

 そんな裕美を吉高由里子が演じる。父親を借金で亡くし、心を閉ざして深い孤独の中に生きてきた裕美は「いつだって勝つと思った方にBETする(=賭ける)、ただそれだけ」と言い切る蛇のように食えない女。その凍り付いた心を体現する吉高の危うさ、美しさが、激ヤバ!

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その4:沼パチンコ(『カイジ2~人生奪回ゲーム~』より)

カイジ2~人生奪回ゲーム~
(C)福本伸行・講談社/2011「カイジ2」製作委員会

 2作目のメインとなるゲームが、帝愛グループ裏カジノの象徴的ゲームである“沼パチンコ”。一玉=4,000円、2,500発1,000万円が、唯一の当たり穴(=ジャックポット)に入らなければ一瞬で泡と消える。そのとき玉は蓄積され、つぎにジャックポットに入った人間が、そのすべてを獲得。蓄積された玉を現金に換算すると、いまや10億円超に達している。坂崎は隠れ家にこの沼パチンコの模擬台をつくり、莫大な借金を背負った自分を見捨てた妻子とヨリを戻すため、攻略に挑む。

 前作で人生の大逆転に成功したかに見えたカイジだが、2作目では再び地下の強制労働施設へ逆戻り。成長ないなぁ……と思うも、ギャンブルに関してはまるでプロのような鋭さが加わっている。沼パチンコを一目で、「あの台はただ打っても絶対に出ない。店側に完全にコントロールされている」と断言。そうして坂崎と組み、ウェイトレスとしてカジノに潜入する石田裕美も含め、まずは缶ビールに磁石を仕込み、パチンコ玉をコントロールするというアナログな作戦に出る。

 玉を穴に入れるだけ--パチンコはそもそも心理戦や頭脳戦とは無縁のギャンブルに思えるが、想像以上に大がかりな仕掛けを思いつくカイジたち。果たして、失脚した利根川に代わりカジノを仕切る一条(伊勢谷友介)をぎゃふん! と言わせられるのか? 

 一瞬で1,000万円を失うか、10億円以上を手に入れるか。この高いギャンブル性が、激ヤバ!

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その5:ブレイブ・メン・ロード(『カイジ 人生逆転ゲーム』より)

カイジ
最新作にも鉄骨渡りを彷彿させる場面が!?『カイジ ファイナルゲーム』より - (C)福本伸行 講談社/2020映画「カイジ ファイナルゲーム」製作委員会

 再び一作目に戻って、2つの超高層ビルの間に渡された鉄骨を渡るという、これ以上ないほどにシンプルなギャンブル“ブレイブ・メン・ロード”。カイジの閉じ込められた地獄のような地下強制労働施設から抜け出す唯一の方法で、挑戦者はゼッケンを胸に付けられ、1,000万円の引換券を渡される。ゼッケンをつけられたのは、このギャンブルの一部始終を、金持ちたちが“人間競馬”として楽しむため。1,000万円は鉄骨を渡りきった先に引換所があるが、もちろん失敗すれば落下。死に至る。

 このギャンブルもまた、一見駆け引きのしようがないように思える。ところが雲行きが怪しくなり、雷雲が発生したあたりで状況が一変。「雨が降るかも……?」と参加者に動揺が走り、ひとりが助けを求めたことからその動揺が伝染していく。命ぎりぎりの状況下、「人に頼るな! 一人なんだ! 自力で渡るしかない」という誰かのセリフが、まるで人生の真実を突くように響く。

 そして光石研の演じる石田のおっさん! 娘を想う親心が、泣かせる人間ドラマの様相に。渡りきった人間が「俺は今、生きてるぞ~」と吐く一言が、死をすぐそこに感じたからこそ、重みを持つ。これ以上ないほどシンプルなゲームが、まさかの奥行きを持つ人間ドラマに。だからこその深みを感じさせて、激ヤバ!

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『カイジ ファイナルゲーム』の激ヤバ度は!?

カイジ ファイナルゲーム
(C)福本伸行 講談社/2020映画「カイジ ファイナルゲーム」製作委員会

 そんなカイジがこのたび9年ぶりにスクリーンへカムバック、『カイジ ファイナルゲーム』が完成した。原作者の福本伸行が手掛けるオリジナルストーリーで、2020年の東京オリンピック開催後、恐るべき大不況に襲われた日本が舞台(つまり、すぐそこにある近未来!)。インフレが加速して缶ビール1本が千円、経営者は労働者から堂々とえげつないやり方で搾取し、格差社会は極まる……ってもはや、日本中が地下強制労働施設そのものじゃん--シリーズを知る観客は、そんな皮肉の効いた物語の始まりにニヤリとするはず。

 相変わらず社会の底辺で生きていたカイジは謎の老人と出会い、またも! 命懸けのゲームへ挑むことに。カイジの前に立ちはだかるのは派遣事業でのし上がった黒崎。さらにインフレを抑えて破たん寸前の財政を建て直そうと、政府は秘密裏に動き出していた……。

 映画は過去に登場したあんなキャラやこんなキャラが続出。それでいて原作にはない新しい、でもやっぱり胸クソ悪くなるような、人間の業がえぐり出されるようなゲームが登場する。しかも黒崎を演じるのは吉田鋼太郎。いくたの共演を経た藤原竜也との、シェイクスピアの舞台か!? と見まごうような重量級の演技合戦は見ものだ。そしてカイジは今回も「悪魔的だ~!」とか言いながらビールジョッキを掲げる。なんておいしそうにビールを飲むんだ、カイジ!

 皮肉の効いたストーリー、人間というものの本質がえげつなくあぶりだされる命懸けのゲーム、そして俳優陣のド派手な演技合戦。過去作をすべて凌駕したファイナルの激ヤバ度はいかに!?

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