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映画たて・よこ・ななめ見!

ウーマン村本、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』をななめ見しすぎて嫉妬に狂う

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 ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、大ヒット作に新たなシーンを追加した新バージョン『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』! オリジナルよりもさらに細かい描写となったことで、村本の心は!? (取材・文:森田真帆)

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』

この世界の(さらにいくつもの)片隅に
(C) 2019こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

 こうの史代の原作をアニメ化しヒットを記録した『この世界の片隅に』の別バージョン。およそ30分の新たな場面を追加し、主人公たちの心の奥深くに潜むさまざまな思いを紡ぐ。片渕須直が監督を続投し、ボイスキャストも前作同様ドラマ「ミライさん」などののんのほか、細谷佳正稲葉菜月尾身美詞小野大輔らが担当する。

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最初は何のデジャヴかと思ったけど……

ウーマンラッシュアワー

中川パラダイス(以下、中川):僕、この映画って、前の『この世界の片隅に』の続編と思って観ていたから最初の方、「あれ? これ同じ映画観てるのかな?」ってびっくりしてて。そしたらより中身が濃くなっていて、面白かった。ていうか、2時間40分って聞いただけで、めっちゃ長い! って思ったけど、全然気にならんかった。

村本大輔(以下、村本):おれも最初、間違えたかと思ってたわ。でもオリジナルのときにできていた空白が、この映画でちゃんと埋められていった感じやったな。

中川:点で繋がっていた登場人物の関係性が、ちゃんと線で繋がった感じやったな。オリジナルも観ていたから、どの部分が違うのかとか、だいぶ前に観ていたのにけっこうわかった。

村本:オリジナルを観たときは、戦争がある時代の、戦争を実感しにくい場所に住む人たちの貴重な物語やな、と思ったのを覚えていてさ。戦争ものの映画って言ったら、空襲だったり、特攻ばかりが目立っていて、戦争の悲惨さにフォーカスした激しい作品が多かったと思うねんけど、この映画では戦時下の日常が描かれていてある意味衝撃的な物語やった。今回はすずだけじゃなくて、さらに旦那さんやリンさんの恋愛模様もちゃんと描かれているからさ。この世界の片隅、っていうのは戦争があった世界の片隅ということで、その片隅には今と変わらない日常があって、みんな恋していたり、誰かを好きだったりするわけよ。だから、この映画を観ていたら、おれたちはたまたま戦争がないところで恋をして、ご飯を食べ、家族と会話できるところにいるでしかないんだな、と実感したな。当たり前のことなんやけどな。

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オリジナルでザワザワした感情が理解できるところへ

この世界の(さらにいくつもの)片隅に
(C) 2019こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

村本:それにしても、オリジナルの時はさ、おれとしてはだいぶ引っかかっていたシーンがあった。すずさんのところに、同級生の水原がやってくるシーンなんやけどさ。あれは、おれとしてはあんまり腑に落ちなかったところが多くて。なんであの時に旦那さんが、水原と夜を過ごしてええよって言ったのかってこととかさ。おれの中では悶々としていたわけ

中川:僕は前のオリジナルでも何となくわかったというか、まぁええやんかって部分はあったけどね。

村本:まぁええやんってことはないやろ。幼馴染が泊まりに来て、寝床に行くんやで。これは、「寝床に行ってあげなさい」と言って、すずが行かなかったら合格で、行ったら、「おれも女友達と一緒に寝てもいいってことね?」とケンカをふっかけるね。そもそも、「あの水原って人、なんで家の住所とか知ってんの」とか、「なんで来たん? すずが呼んだん? 未だに、連絡とってるん?」とか。ていうか、旦那さんは「なんですぐに、『寝床に行かん』て答えなかったの?」とすずさんに聞いたときにクエスチョンマークつけたよね? 男なら「戦時中で命の危機を感じてる人やから、子孫残したいって本能的に思ってる状態の男の部屋に行くと、どうなるかわかるよね? 幼なじみってすずは思ってるかもやけど、彼からしたら、戦争の途中で帰ってきたタイミングで、遊郭は高いから介抱してもらうふりして、ワンチャン狙ってると思うよ」と言うね。もしそのあとに子供ができたら、「ほんまにおれの子供かなー?」と疑いをかけて一生ネチネチ言うと思う。パラダイスの場合はな。

中川:なんでおれの場合やねん! その考え方は完全に村本やろ。僕やったら、ここまで考えないし、めっちゃ切ないと思うけどな。とはいえ前回に比べると、今回の方が生々しかったというか、R18に近づいた感じはしましたね。全体的にね。

村本:なんやねん、そのR18に近づいたって。ほんまにろくなコメント言わんわ! そらお前は平気やと思うけど、これに関してはプレーじゃないねんから! 

中川:まあ村本の性格で考えたら絶対に無理やろうな(笑)。

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リンさんと旦那さんの関係に発狂!

この世界の(さらにいくつもの)片隅に
(C) 2019こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

中川:今回は旦那さんとリンさんの関係がめっちゃしっかりと描かれていて、それが良かった。さっき村本が言った通り、戦争中だからって誰も好きになってなかったとかじゃなくて、みんな結婚する前にもちゃんと恋はしていたわけやん。しかも、すずと旦那さんは見合いで出会っていて、そこから恋が始まっているからすごいよな。

村本:そもそもあの頃って、恋愛して結婚するってこと自体がめっちゃ珍しかったんちゃう? 今の時代のお見合いってさ、だいたいがどこにも引っかからなかった人が来るイメージやねん。結婚相談所的なさ。当時は誰もが、半強制的に家を守るためにお見合いで結婚させられるイメージ。それは、リンさんと旦那さんとのことを見てもそうやん。今やったらリンさんのこと好きなら結婚できんねん。

中川:まぁな。今やったら、リンさんに惚れたとしても許されぬ恋とはならんもんな

村本:やろ? 絶対、今の時代やったら、あの旦那さんもリンさんと結婚していると思うねん。でもそうじゃないからめっちゃ切ないし悲しい。だからすずさんも苦しむし、みんな悲しむわけやん。やっぱりいまの時代に生きるおれは、本棚で好きな本を取ろうとして手と手が触れ合って、恋が始まるような理想を追いかけるよな。結婚に至るまでの手段を選べる時代やから。当時は選べない、そういうものやから、それ以外はわがままに思われるんだと思う。当時からしたら、39歳独身である程度お金もあって、ふらふらしているおれみたいな男は、村八分な人間だと思うわ。そこはほんまに時代に感謝するわ

中川:いや何に感謝してんねん(笑)。この映画は、リンさんとの関係がめっちゃ詳細に描いていたから悲しかったし、夫婦の絆の描写も濃くなったんちゃうかな。すずさんが悩むとことかも、結婚しているからこそというか。夫婦って絶対知らんでいいことあるやん。俺も、今年年末に嫁が飲みに行くって急に言いだして、夜中の2時頃帰ってきたんやけど、洗濯物こっそりみたらTバックやってん。でもそれ以上は聞かないわけ。自分で対処するから、だから、全部知ってしまうというのは逆によくないと思うわけ。

村本:お前の嫁はど真っ黒やんか!(笑)。おれは配偶者に昔とっても好きだった人がいたら、それはどうしようもないと思えるわ。

中川:絶対に嘘や! 一番耐えられないやつやんか(笑)!

村本:これはな、すずさんもきっとそうやと思うんやけどさ、リンさんと旦那の関係がわかってからは、もうリンさんが頭から離れられなくなると思うわけ。おれだったら、自分との夜の営みが飽きてきたら元彼を想像してるかもと疑ってしまって、ずっと目を開かせたまま抱くかもね。瞬きした瞬間に想像されるかもやから、セロテープで目を閉じられないようにするとか。でもそんなことは不可能やから、元彼を想像しておれに抱かれてることに興奮するという性癖に自分がなるしかないね! ってパラダイスなら言うやろ。

中川:いや完全に村本やん!

村本:おれは全てを受け止めて、その元彼よりもいい男になろうと思うけどね。全てを受け止めたすずさんのように!

※記事内容には個人の意見が含まれています。

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は全国公開中
映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公式サイト
(C) 2019こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

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ウーマンラッシュアワー・プロフィール

2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。

村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。

村本大輔ツイッター

中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。

中川パラダイスツイッター

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