CG嫌いクリストファー・ノーラン伝説まとめ!『ダークナイト』から『TENET テネット』まで

クリストファー・ノーラン監督 Paramount Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 クリストファー・ノーラン監督の新作『TENET テネット』の公開まで、約2か月と迫りました。ノーラン監督といえば、デジタル全盛の現代においてもフィルム撮影にこだわり続け、可能な限りCGに頼らない迫真の映像も魅力のひとつ。時にはCG嫌いと称されることもあるノーラン監督の無茶ぶりともいえる実写撮影へのこだわりを振り返ってみます。

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本当にビルを爆破解体

 ジョーカー役ヒース・レジャーの怪演で映画史に残る伝説となった『ダークナイト』(2008)は、ノーラン監督の本物へのこだわりを広く知らしめた一本でもあります。ジョーカーのキャラクターを象徴する“破壊”にこだわったノーラン監督は、本作で多くの爆破を取り入れました。特に有名なのが、ジョーカーがゴッサム総合病院を爆破するシーン。古いキャンディー工場の爆破解体が利用され、波のように崩すためにビルを事前に二つに割ったりと、さまざまな工夫がこらされました。ジョーカー役のヒースも完璧な演技を披露。見事に一発撮りを成功させました。

Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 このシーンの途中、爆発が中断してジョーカーがスイッチをいじる場面は、本当のアクシデントだと噂されました(実際には演出の一部)。本物の映像の効果を如実に物語るエピソードといえるでしょう。ちなみに、撮影前にビルのガラスが盗まれたため、そこだけはCGで描くしかなかったと、ノーラン監督がブルーレイの特典映像で明かしています。

巨大トレーラーを縦回転させる

CG全盛の時代でも本物の迫力は必要 Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 『ダークナイト』は、銀行に突っ込むバスやランボルギーニの追突シーンなど、ほぼ全てが無茶なシーンの連続です。なかでも特に印象的なのが、ゴッサムの市街地で18輪トレーラーが縦にひっくり返るカット。特殊効果スーパーバイザーのクリス・コーボールドさんは、トレーラーの後部にピストンを設置し、金融街のど真ん中で実際にトラックを回転させました。何度もトレーラーを小さくするようにノーラン監督に妥協を促したそうですが、「君ならできるさ」と言われ、可能な限り運転席を補強してこのシーンを実現させたそう。やはり一発撮りのため、4台のIMAXカメラと、2台の35mmカメラが回されましたが、ノーラン監督は、本物の迫力を伝えるためにカットを繰り返すことを避け、映画にはトレーラーに追随したカメラと、正面から捉えた2カットだけが使用されています。

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飛行機を本当に落とす

ベインの作戦も無茶だらけだった『ダークナイト ライジング』 Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ノーラン監督の『バットマン』シリーズ完結編『ダークナイト ライジング』(2012)は、悪役ベインが科学者を誘拐するために、飛行中の航空機を強襲します。リアルにこだわるノーラン監督のため、このシーンでは、本物のC-130輸送機からスタントマンたちが空中にぶら下がり、飛行中の機体の外側にとりつく場面も空中で撮影されました。航空機が墜落する場面では、輸送ヘリで飛行機の胴体を空中に吊り上げて本当に地面に落とす力技で撮影。機内の映像も、垂直に傾くように作られたセット内で撮影されています。「本物の映像ならではの迫力があれば観客を惹きつけられる」と信じる、ノーラン監督のこだわりが如実に表れた場面といえるでしょう。一部はミニチュアで作成した飛行機の映像が使用されていますが、ノーラン監督は土台となるイメージをリアルにすることで、格段にクオリティーが向上すると信じているのです。

セットごと回転させて無重力を表現

無重力の廊下も回転するセットで再現 Photofest / Warner Bros. Pictures / ゲッティ イメージズ

 夢の世界が主な舞台となる『インセプション』(2010)でも、驚くほどアナログな手法が多用されています。無重力状態になったホテルの廊下でのアクションでは、天井や床に関係なく登場人物たちを戦わせるために、360度回転する筒状の巨大セットを作ってしまいました。さらに、ロサンゼルスの中心街に突然列車が突っ込んでくる場面では、巨大トレーラーの外側を軽量素材で作った列車に改造して、実際に街中を走らせています。この作品では、城が崩壊するシーンもミニチュアで再現するなど、現実には無理な場面でもCGだけに頼ることなく、リアルな映像にこだわっています。

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500エーカーのトウモロコシを栽培

映画のために広大なトウモロコシ畑が育てられた Paramount Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 異常気象と飢饉により絶滅に向かう人類を救うため、新天地を求めて宇宙を旅する元宇宙飛行士を描いた『インターステラー』(2014)。ノーラン監督は、家族を置いて地球を離れる主人公クーパー(マシュー・マコノヒー)が戻ることを願う場所に、美しいカナダのカルガリー近郊を選び、クーパーの経営するトウモロコシ農場を作りました。本来この場所は山風のためトウモロコシを育てるのには全く適さない土地でしたが、条件に合う農場を見つけ、500エーカー(約200万平方メートル)のトウモロコシを栽培しました。

 また畑が燃えるシーンでは、大量のプロパンガスで火を、軽油で煙を出して撮影しています。ブルーレイの特典映像では、植物監修のダン・オドレイコさんが「緑の葉は燃えないんだ」とノーラン監督に伝えたところ「私の映画では燃える」と返されたと明かしています。育てたコーンは収穫して、利益を得たということです。

戦闘機ごとカメラを海に落とす

 第2次世界大戦時、ドイツ軍に包囲されたイギリス・フランス連合軍の兵士たちを撤退させた、歴史的な救出作戦を映画化した『ダンケルク』(2017)。陸・海・空という3つの場面で進行する作戦を巧みに交差させた本作で、ノーラン監督はリアルな空中戦を描くために本物の戦闘機を飛ばし、当時のドッグファイトを再現。「もし空中戦をCGで描いたら、必然的に物理学的法則を破ることになる」というノーラン監督の狙い通り、派手さはなくとも真に迫る戦闘が描かれました。さらにノーラン監督は、イギリスの戦闘機スピットファイアの墜落シーンで、戦闘機の翼に貴重なIMAXカメラを取り付け、カメラごと水没させるという、ここでも無茶ぶり撮影を敢行し、迫真の映像を収めることに成功しています。

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本物のジャンボジェットを爆破する

 9月18日に公開を迎える『TENET テネット』は、「時間のルール」から脱出し、未来の第3次世界大戦を防ぐミッションに挑むエージェントを描く作品ということですが、その全貌は明らかになっていません。Total Film 誌によるとノーラン監督は、予告編にも登場する大型旅客機爆破シーンのため、「ジャンボジェット」の愛称で親しまれたボーイング747を本当に購入して爆破したとのこと。CG全盛の時代においても、本物を壊す方が「実際は効率的ということが明らかになった」ということですが、ノーラン監督の本物へのこだわりは、今回も健在のようです。その多くが謎に包まれている『TENET テネット』には、まだまだ未体験の映像が登場するはず。いったいどうやって撮影されたのか。本編はもちろん、舞台裏が明かされるのも楽しみですね!

映画『TENET テネット』は9月18日より公開

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