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名実ともに人気俳優へ 難役にも果敢に挑み続ける、ジャニーズの歴史を変えた男~生田斗真

銀幕のジャニーズ

 映画で活躍する銀幕ジャニーズの俳優としての面にフォーカスして、デビュー作から最新作まで、どんな俳優なのかを見ていきます。第13回は、生田斗真。(文・新亜希子)

 1984年生まれ、北海道室蘭市出身。1996年にジャニーズ事務所に入所し、ジャニーズJr.の中心的メンバーとして人気を集める。2010年を以て正式にジャニーズJr.を卒業し、俳優の道へ。映画初出演にして主演を務めた『人間失格』、続く『ハナミズキ』で現役ジャニーズとして初のキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、ブルーリボン賞新人賞を受賞した。

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映画デビュー作:『人間失格』(2010)大庭葉蔵役(当時25歳)

 公開前年に生誕100周年を迎えた太宰治の小説を映像化。生田にとって映画初出演にして初主演作であり、太宰の分身的存在である主人公・葉蔵を演じた。太宰作品になじみのない人にも分かりやすく描かれており、映像の美しさにも目を惹かれる作品だ。

 美しい容姿と独自の感性をもつ、津軽では有名な資産家の息子・葉蔵。周囲にうまくなじめず、わざと失態を犯しては笑いをとる日々を過ごしていた。遊び人の堀木らと出会ったことをきっかけに、次第に酒と女に溺れ、破滅の道へと堕ちてゆく。

 葉蔵の友人である中原中也役で、ジャニーズ事務所の先輩であるV6森田剛が出演した。

ドラマデビュー作:連続テレビ小説「あぐり」望月淳之介(少年期)役(当時12歳)

 1997年度前期に放送された朝ドラであり、美容家・吉行あぐりのエッセイを基にした作品。生田は、あぐり(田中美里)と夫・エイスケ(野村萬斎)の長男・淳之介の少年期を演じた。出演は7月24日から28日の間だったが、田中とは以降、共演はないものの、生田は今でも「お母さん」と呼んでいるという。

映画俳優としての主な活躍

 生田斗真といえば、ジャニーズに大きな“前例”を作った男だ。2010年、ジャニーズJr.を正式に“卒業”すると、映画・ドラマ・舞台とジャンルを問わず、本格的に俳優としての道を歩み始めた。そして、幅広く、また、ひと癖もふた癖もある役柄を演じ、どんな役にも果敢に挑み続けてきた。

 現代社会の闇に切り込み、観る者の心を揺さぶる『予告犯』。生田は多くのシーンで新聞紙を被っており、その顔はほとんど明らかにされない。ジャニーズ主演の映画としては、きわめて異例のことだ。

 『彼らが本気で編むときは、』では、まとう空気、恋人・マキオ(桐谷健太)やトモ(柿原りんか)と過ごす時間、すべてにおいて、リンコという人の優しさや温かみがスクリーンを通して伝わってきた。海外での評価も高く、ベルリン国際映画祭パノラマ部門でのテディ賞審査員特別賞受賞をはじめ快挙を成し遂げているが、それ以上に、多くの人の記憶に残り続ける芝居だった。

 生田斗真のすごさは、ジャニーズ所属の俳優という道を切り拓いたことはもちろん、現在進行形として、チャレンジングな役に挑む人気俳優とジャニーズを両立させ、第一線を走り続けている点にある。

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最新作『友罪』(2018年5月25日公開)益田純一役

 薬丸岳による同名小説を原作としたヒューマンサスペンス。犯罪被害者と加害者、少年犯罪といった重厚なテーマを扱いつつ、薬丸の小説ならではのミステリーの側面も持つ作品。

 生田が演じた元ジャーナリストの益田は、町工場で慣れない作業に悪戦苦闘する日々を過ごしていた。一方、同時期に試用期間に入った鈴木(瑛太)は、多くの技能・資格を持つ即戦力。しかし無口で無愛想、周囲との関わりを避ける、どこか陰のある男だった。

 同い年ということもあり、鈴木は益田にだけ次第に心を許し、二人は打ち解けてゆく。ところが益田はあることをきっかけに、鈴木がかつて世間を震撼させた連続児童殺傷事件の犯人“少年A”なのではないかと疑いを抱くようになる。

 鈴木が偶然出会い、助けた美代子(夏帆)や、益田と鈴木が出会ったタクシー運転手・山内(佐藤浩市)など、本作の登場人物はみなそれぞれに重い過去を背負い、深い傷を負った者ばかり。

 益田もまた、友人がいじめを苦に自殺した過去を抱えていた。苦悩の末とはいえ、自分自身もいじめに加わってしまったことに罪の意識を感じて生きてきた。

 生田は本作について「ハッキリ言って問題作」「賛否両論巻き起こる」としながらも「現場にいる全員が尋常じゃない覚悟をもって挑んだ」と、真摯に思いを語っている。

 作品も、作品を通して投げかけられる問いも、確かに賛否両論あるだろう。キャストのリアルな演技に目を背けたくなることもあるが、大切なことを今一度、考えさせられる作品だ。

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フィルモグラフィー(映画)

『人間失格』(2010年2月20日公開)大庭葉蔵役(先輩であるV6・森田剛と共演)

シーサイドモーテル』(2010年6月5日公開)亀田雅之役(インチキセールスマン役。麻生久美子山田孝之らと共演)

『ハナミズキ』(2010年8月21日公開)木内康平役(漁師を演じるため、地元漁師から漁を教わり、撮影に臨んだ)

『源氏物語 千年の謎』(2011年12月10日公開)光源氏役(ジャニーズ事務所の先輩である東山紀之も出演)

『僕等がいた 前篇』(2012年3月17日公開)矢野元晴役(人気漫画の実写化作品)

『僕等がいた 後篇』(2012年4月21日公開)矢野元晴役(前篇とは異なる、シリアスな演技を見せた)

脳男』(2013年2月9日公開)鈴木一郎役(感情のない殺人マシーンを演じるべく、身体づくりや引きこもり生活を経て撮影に臨んだ)

『土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJI』(2014年2月15日公開)菊川玲二役(人気コミックを監督・三池崇史、脚本・宮藤官九郎により実写化)

MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』(2014年11月22日公開)北山一路役(売れっ子漫画家役。主演は相葉雅紀

『予告犯』(2015年6月6日公開)ゲイツ役(出演シーンの多くは新聞紙を被っている。現代社会を映し出した話題作)

グラスホッパー』(2015年11月7日公開)鈴木役(殺された婚約者の復讐のため、裏社会へと潜入する“普通の男”を演じている)

秘密 THE TOP SECRET』(2016年8月6日公開)薪剛役(念願だったという大友啓史監督との初タッグ)

『土竜(モグラ)の唄 香港狂騒曲』(2016年12月23日公開)菊川玲二役(前作同様、身体を張った数々のシーンが話題に)

『彼らが本気で編むときは、』(2017年2月25日公開)リンコ役(世界的にも高い評価を得た作品。第67回ベルリン国際映画祭パノラマ部門にて、日本映画として初のテディ賞審査員特別賞と観客賞(2nd place)のダブル受賞を果たした)

先生! 、、、好きになってもいいですか?』(2017年10月28日公開)伊藤貢作役(1996年に連載を開始し、完結後も根強い人気を誇る少女漫画を実写化)

友罪』(2018年5月25日公開)益田純一役(瑛太とのダブル主演。少年犯罪をテーマにした重厚な作品)

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フィルモグラフィー(ドラマ)

連続テレビ小説「あぐり」(1997年7月24日 - 28日の放送期間)望月淳之介(少年期)役

「LOVE&PEACE」(1998年4月18日 - 7月4日)堀口洋平役

「サイコメトラーEIJI2」第5話(1999年11月13日)深海龍彦役

「午前三時のルースター」(2000年11月25日)中西慎一郎役

「ネバーランド」(2001年7月6日 - 9月14日)瀬戸統役

「人にやさしく」第5話(2002年2月4日)佑介役(ゲスト出演)

演技者。「アメリカ」(2002年8月13日 - 9月17日)八田役

「昨日の友は今日の敵?」(2004年1月5日 - 2月9日)日高保彦役

「監察医 室生亜季子 35」(2004年11月9日)伊藤信二役

劇団演技者。「眠れる森の死体」(2005年2月15日 - 3月15日)エイジ役

「御宿かわせみ 第三章」(2005年5月13日 - 8月5日)松本伊太郎役(ゲスト出演)

「刑事部屋~六本木おかしな捜査班~」(2005年7月6日 - 9月14日)越智由記夫役

「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」(2005年10月10日)沢村和也役

劇団演技者。「男の夢」(2006年1月10日 - 2月7日)山崎役

「アキハバラ@DEEP」(2006年6月19日 - 8月7日)ボックス役

「花より男子2(リターンズ)」(2007年1月5日)織部順平役

「花ざかりの君たちへ イケメン♂パラダイス」(2007年7月3日 - 9月18日)中津秀一役

「ハチミツとクローバー」(2008年1月8日 - 3月18日)竹本祐太役

「魔王」(2008年7月4日 - 9月12日)芹沢直人役

「花ざかりの君たちへ イケメン♂パラダイス 卒業式&7と1/2話スペシャル」(2008年10月12日)中津秀一役

「ヴォイス -命なき者の声-」(2009年1月12日 - 3月23日)石末亮介役

「魔女裁判」(2009年4月25日 - 7月11日)吉岡徹役

「世にも奇妙な物語 秋の特別編」の「自殺者リサイクル法」(2009年10月5日)ミキオ役

「うぬぼれ刑事(でか)」(2010年7月9日 - 9月17日)本城サダメ役

「球形の荒野」(2010年11月26日・27日)添田彰一役

「遅咲きのヒマワリ ~ボクの人生、リニューアル~」(2012年10月23日 - 12月25日)小平丈太郎役

「軍師官兵衛」(2014年1月5日 - 12月21日)高山右近役

「ウロボロス ~この愛こそ、正義。」(2015年1月16日 - 3月20日)龍崎イクオ役

「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(2019年1月6日 - 12月15日)三島弥彦役

「俺の話は長い」(2019年10月12日 - 12月14日)岸辺満役

「アメリカに負けなかった男~バカヤロー総理 吉田茂~」(2020年2月24日)白洲次郎役

「JOKE~2022パニック配信!」(2020年8月10日)沢井竜一役

「書けないッ!? ~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~」(2021年1月16日 - )

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主な受賞歴

「第84回キネマ旬報ベスト・テン」新人男優賞
「第53回ブルーリボン賞」新人賞
「東京ドラマアウォード 2020」主演男優賞受賞

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