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『ゴジラ』あるある言いたい

 1954年の第1作『ゴジラ』から昭和シリーズと呼ばれる15本、平成シリーズと呼ばれる7本、ミレニアムシリーズと呼ばれる6本。さらに『シン・ゴジラ』(2016)やアニメ版『GODZILLA』3部作(2017~2018)を含めて、32本の映画が製作された『ゴジラ』シリーズ。ハリウッドでもローランド・エメリッヒ監督の『GODZILLA』(1998)に加え、間もなく公開される『ゴジラvsコング』(2021)を含め、レジェンダリー・ピクチャーズのシリーズが3本作られている。それらのシリーズに出てくる『ゴジラ』あるあるを振り返ってみよう。(文・金澤誠)

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ゴジラのルーツは映画によって違う

ゴジラ
『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』より。Toho Company / Photofest / ゲッティ イメージズ

 第1作ではジュラ紀から白亜紀にかけて生存した、海生爬虫類と陸上獣類の中間型生物の恐竜と説明されている。後の作品では、それが度重なる水爆実験によって変異したものとされた。『ゴジラVSキングギドラ』(1991)では、そのルーツがマーシャル諸島のラゴス島に生息していたティラノサウルス型の恐竜ゴジラザウルスが、米軍が1954年にビキニ環礁で行った核実験で変身したという解釈をしている。また『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)では、ゴジラは太平洋戦争で命を散らした人々の強烈な残留思念が、怨念の集合体になった姿だという説まで登場。その正体に関しては作品によって違い、いまだに謎が多い。ゴジラとは何かを描くのが、ゴジラ映画永遠のテーマでもある。

ゴジラはいつも海に帰る

ゴジラ
『GODZILLA ゴジラ』より。Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 第1作のゴジラが海から現れたこともあって、ゴジラは最後に海へ帰っていくパターンが多い。最初は第3作『キングコング対ゴジラ』(1962)で、熱海でキングコングと組み合ったまま海に落ちたゴジラは、海中に姿を消した。次の『モスラ対ゴジラ』(1964)でもモスラの幼虫の糸で身動きができなくなったゴジラは海中へ落ちていった。その後も怪獣とのバトルが終わると、ゴジラはなぜか海へ去っていく。こんな生物が海にいたら危険だろうというので、平成シリーズではゴジラの動きを常に宇宙から探査。その位置を特定するようになった。『ゴジラVSビオランテ』(1989)には水中を優雅に泳ぐゴジラも登場。トライスター版の『GODZILLA』にはゴジラが魚を主食にしているという説も出てきた。ゴジラにとって海は、自由に動き回れる故郷なのである。

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博士と軍人は欠かせない

ゴジラ
『GODZILLA』より。Sony Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ゴジラが出現するとこれに対抗するため、さまざまな博士や軍人が動き出す。博士には2パターンあり、一つは第1作の山根恭平博士に代表されるゴジラの生態を調べる動物学者。もう一つは同じく第1作の芹沢大助博士をルーツとするゴジラを倒す化学兵器を開発する科学者である。『シン・ゴジラ』にはこれらの権威ある博士たちが、緊急事態の時には何の役にも立たないことが描かれていたのが面白い。軍人、あるいは自衛隊はもっと直接的にゴジラを攻撃する。昭和シリーズでは田崎潤あたりが指揮官を演じることが多かったが、平成シリーズからは、精鋭部隊Gフォースなど対ゴジラ専門の軍人も登場。様々な最新兵器で、驚異のゴジラに立ち向かっていった。

時代によって変わるゴジラの大きさ

ゴジラ
『怪獣王ゴジラ』より。Embassy Pictures Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ゴジラの身長は、壊す建造物が巨大化することに左右されてきた。第1作のゴジラの身長は50メートル。これでも東京タワー完成前の東京ではかなり大きい。昭和シリーズではこの身長が保たれていたが、1984年の『ゴジラ』では新宿副都心の高層ビルを壊すこともあって、身長は80メートルに変更された。さらに『ゴジラVSキングギドラ』からは100メートルになり、以降の平成シリーズはすべてこのスケールである。『ゴジラ2000 ミレニアム』(1999)からは55メートルになって俊敏性を増したが、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』では60メートル、『ゴジラ FINAL WARS』(2004)では100メートルと、ミレニアムシリーズでは大きさが一定ではない。ちなみに『シン・ゴジラ』は118.5メートル、アニメ版3部作には体長300メートル超のゴジラ・アースが登場する。

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ゴジラ最大の敵はキングギドラ

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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』より。Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ゴジラの敵といえば、モスラ、ラドン、ビオランテなどがいるが、最も多くゴジラと戦ったのはキングギドラ。昭和シリーズでは『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)を始めとする、4作品でゴジラと戦った。かつて金星を滅ぼした宇宙最強の怪獣と言われている。平成シリーズでは『ゴジラVSキングギドラ』に登場。ここでは23世紀の生体兵器“ドラット”3体が、水爆実験によって変異した怪獣になっている。一度ゴジラに敗れるが、未来の科学技術によってメカキングギドラとして再生。ミレニアムシリーズでは『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』に、護国聖獣ギドラとして登場。地海空を制覇する最強怪獣で、怨念の塊であるゴジラを相手に日本を守るために戦った。ほかにも『ゴジラ FINAL WARS』にはX星人が差し向けた最終兵器カイザーギドラとして姿を見せ、レジェンダリー版の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)でも、最強の敵として現れる。

日本の名所はゴジラに破壊される

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『モスラ対ゴジラ』より。American International / Photofest / ゲッティ イメージズ

 第1作では東京を、第2作『ゴジラの逆襲』(1955)では大阪を火の海にしたゴジラ。原水爆の象徴というイメージを背負ったゴジラは、映画で人類の文明を破壊してきた。昭和シリーズでは『キングコング対ゴジラ』(1962)で熱海城、『モスラ対ゴジラ』(1964)で名古屋城、『三大怪獣 地球最大の決戦』で松本城を破壊。平成シリーズでは作品が作られたときに旬だった新建造物を次々に破壊した。『ゴジラ』(1984)では有楽町のマリオン、『ゴジラVSビオランテ』(1989)では大阪ビジネスパーク、『ゴジラVSキングギドラ』は福岡タワーや新都庁、『ゴジラVSモスラ』(1992)は横浜・みなとみらい21、『ゴジラVSメカゴジラ』(1993)は幕張のベイエリアなど、ゴジラ映画を観れば日本の都市開発の歴史もわかるのである。

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ゴジラは南の島がお好き

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『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』より。Walter Reade Organization / Photofest / ゲッティ イメージズ

 第2作『ゴジラの逆襲』で、ゴジラは氷山に生き埋めにされて動きを停止する。どうもゴジラは寒さが苦手なようで、都市破壊をしない作品では南国の島に生息しているものが多い。昭和シリーズの『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966)ではレッチ島の洞窟で眠っていたし、『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967)では南海の孤島ゾルゲル島で子供のミニラと暮らしていた。平成シリーズでも『ゴジラVSスペースゴジラ』(1994)ではバース島でリトルゴジラと暮らしていたが、『ゴジラVSデストロイア』(1995)でこの島の地層に含まれていた天然ウランが核分裂反応を起こし、島ごと消滅。安住の地を失ったゴジラ親子は、破滅への道を歩むのである。

ゴジラ映画最多出演俳優は佐原健二

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『ゴジラ』より。Embassy Pictures Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ゴジラ映画に最も多く出演した俳優は誰だろう。第1作に遊覧船に乗っているアベックの男として、ノンクレジットで出演した佐原健二は、この作品を含めると『ゴジラ FINAL WARS』までゴジラ映画13本に出演して、間違いなくナンバーワン。第1作で主人公の尾形秀人を演じた宝田明は、やはり『ゴジラ FINAL WARS』まで6作品に出演。実はレジェンダリー版の『GODZILLA』(2014)にもカメオ出演したが、そのシーンはカットされている。女優では平成シリーズ6本で、いずれも三枝未希を演じた小高恵美が印象的。ゴジラと精神感応する超能力を持った彼女のキャラクターは、今も人気が高い。そして第1作で天才科学者・芹沢大助を演じた平田明彦も7本に出演。シリーズではやはり科学者役が多いが、1984年に亡くなった後も『ゴジラVSデストロイア』や『ゴジラ×メカゴジラ』(2002)に、回想として芹沢博士のエピソードが登場する。

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ゴジラは化学兵器に弱い

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『ゴジラVSデストロイア』より。TriStar Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ゴジラの弱点を突く、化学兵器もよく登場する。『ゴジラ』(1984)ではカドミウム弾によってゴジラは活動を抑制され、『ゴジラVSビオランテ』ではゴジラの体内の核物質を破壊する抗核バクテリアによって動きが鈍ったこともある。また『ゴジラVSメカゴジラ』でゴジラは2つの脳を持っているとされ、第2の脳を破壊されて瀕死の状態に陥った。『シン・ゴジラ』では大量の血液凝固剤を注入されたことで、体が凍結して活動が停止した。中でもゴジラを倒す必殺兵器と言えば、やはり第1作で芹沢博士が発明した、オキシジェン・デストロイヤーだろう。水中の酸素を一瞬で破壊してあらゆる生物を窒息死させ、その後で液化してしまうこの薬品は、巨大なゴジラをも白骨にしてしまった。これを越える対ゴジラ兵器はいまだに見当たらない。

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