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20周年!アニメ「テニスの王子様」は何がすごいのか

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 アニメ「テニスの王子様」が、この10月に20周年を迎える。その勢いは衰えを知らないどころか、進化を続け、今年は初の3DCGアニメーション映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』や、原作漫画にもない強豪同士の試合を描く配信アニメ「新テニスの王子様 氷帝vs立海 Game of Future」といった新作が続々公開される。そこで、長年愛される「テニスの王子様」の“すごさ”に改めて迫りたい。(編集部・小山美咲)

「テニスの王子様」とは

『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』
『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』イメージビジュアル

 原作は「週刊少年ジャンプ」で1999年に連載がスタートし、累計発行部数6,000万部を突破する許斐剛先生の人気漫画。アメリカ帰りの天才テニス少年・越前リョーマが、青春学園中等部のチームメイトと共に、テニスの全国大会で優勝するまでの物語だ。最終回を迎えた翌年から、続編「新テニスの王子様」が「ジャンプSQ.」で連載中。同作では全国大会決勝後の秋、中学生たちが新たに高校生と出会い、U-17W杯(アンダーセブンティーンワールドカップ)という世界の舞台に挑む。

 テレビアニメは2001年~2005年に放送され、その続編OVAを含めると「テニスの王子様」原作のラストまでがアニメ化されている。『劇場版 テニスの王子様 二人のサムライ The First Game』(2005)、『劇場版 テニスの王子様 英国式庭球城決戦!』(2011)という2作の劇場版が公開されたほか、「新テニスの王子様」もアニメになった。

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『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』
『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』より

 原作・アニメに共通する物語の魅力は、作品の特徴的な要素である趣向を凝らしたプレースタイルや決め技といった華やかな面はもちろんだが、“負けない主人公”の姿に象徴される。リョーマは、壁にぶつかっても自分を信じて突き進むことができるキャラクターで、信頼できる仲間と確かな絆で結ばれながら、ひたむきに自分自身と向き合う強さがある。背中を追いかけたくなるような、どこまでもかっこいい主人公が作品をけん引していることが、ファンを惹きつけて走り続ける「テニスの王子様」という作品自体と重なる。

 そして、「テニスの王子様」が長く愛されてきた秘訣の一つには、メディアミックスの成功がある。“テニミュ”の愛称で知られ、初演から18年目に突入した「ミュージカル『テニスの王子様』」シリーズは、2.5次元演劇ブームの先駆け的存在として新たなファンを生み続けている。さらに実写映画やゲーム化、中国での実写ドラマ化など展開は多岐にわたる。垣根を越えたコラボ企画も多く、相乗効果をもたらしてきたことは、アニメの継続的な人気にもつながった。

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アニメ「テニスの王子様」ここがすごい

『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』
『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』より

 「テニスの王子様」のすごいところは、主人公のリョーマが確かな存在感を放っていながら、誰も脇役にならない“全員主役”感。全国大会を地区予選から勝ち進んでいくという物語上、たくさんの学校、部員たちが登場する。とてつもない数の中学生に加え、続編では高校生まで出てきた。だが、こんなに大勢キャラクターがいるにもかかわらず、それぞれの個性が曇ることはない。シルエットだけでも誰だかわかる原作キャラの魅力は大前提としても、特徴的な語尾や口調、現実離れした能力や決め台詞に説得力を帯びさせる声優の熱量はすさまじい。

 長年、アニメや関連企画でキャラクターに声を吹き込んでいるだけでなく、2003年に放送開始した“ラジプリ”こと「新テニスの王子様 オン・ザ・レイディオ」や恒例となっているファンイベントへの出演、さらにはキャラクターソングを歌唱し、その作詞や作曲を手がけることもある。キャラクターと声優の関係は密接で、それがキャラクター性を際立たせているように思える。各キャラクターの視点に立つと、人物ごとに別の物語が広がるほどの立体感が、作品に厚みをもたせている。

 また、900曲を超えるキャラソンの存在は他に類を見ない。キャラクターをイメージした楽曲だけでなく、2004年から毎年発表されている「バレンタイン・キッス」をはじめとしたJ-POPヒット曲のカバーや、作中でほぼ直接関わりがないキャラクター同士のユニット曲が作られることすらある。アニメのレギュラー放送がなくとも楽曲は発表され、声優陣によるイベントや、キャラクター単位のライブが行われてきた。コール&レスポンスで盛り上がれる曲、作品ファンでなくても胸に響く名曲も多く、音楽さえもアニメ「テニスの王子様」への入り口になってしまう。

 そして、原作者・許斐先生のパワーは言うまでもない。漫画家という枠におさまらず、アーティストとして活躍し、“ハッピーメディアクリエイター時々漫画家”を名乗る許斐先生は、アニメ自体の企画に協力するだけでなく、声優陣によるライブイベントに登場したり、関連楽曲の作詞・作曲・歌唱を担ったり、自らプロデュースした自身のワンマンライブにてVRのテニプリキャラと共演したり、こちらの期待を上回る活躍で常にファンを驚かせる。

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アニメ「テニスの王子様」は勢いが止まらない!

『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』
『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』より

 そんな許斐先生が製作総指揮を務める新作映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』が、9月3日に公開される。新たな挑戦を続ける「テニスの王子様」らしく、シリーズ初の3DCGアニメーションとなり、「テニスの王子様」と「新テニスの王子様」を繋ぐ物語が展開する。

 ストーリーは、全国大会決勝戦の後、リョーマが単身アメリカへテニスの武者修行の旅に出るところから始まる。現地に到着したリョーマが、ギャングに絡まれていた同級生・竜崎桜乃を助けるためにボールを放ったことをきっかけに、時空がゆがみ始め、2人はリョーマの父・越前南次郎が「サムライ南次郎」として世界で名を馳せていた時代のアメリカにタイムスリップしてしまう。

 まさかのタイムトラベルもので、具体的な内容は現段階では予想もつかないが、公開日決定の際、越前リョーマ役の声優・皆川純子さんは「こんな『テニプリ』見たことない!」と発言。許斐先生に至っては「映画業界の常識に囚われず、タブーと言われる事や様々な困難を乗り越え、いくつもの新しい挑戦を詰め込んでいます!」【コメント全文】とコメントしており、文字通り“別次元”の物語が繰り広げられることは間違いないだろう。3DCGで描かれるテニスシーンはこれまで以上の臨場感が期待できるし、劇中でキャラクターが歌うすべての楽曲を許斐先生が作詞・作曲し、各シーンの演出に合わせこだわり抜いて制作したというから、音楽にも注目だ。

 また、原作でもまだ描かれていない強豪校同士の対戦カードが実現した配信アニメ「新テニスの王子様 氷帝vs立海 Game of Future」(前篇はU-NEXTにて独占配信中、後篇は4月17日配信スタート)も展開中。跡部景吾率いる氷帝学園中等部と幸村精市率いる立海大附属中学校という、ファンなら一度は想像したことがあるだろう夢のマッチ。さらに、連載中の「新テニスの王子様」で繰り広げられているU-17W杯が終わった後の世界が舞台という設定には驚きもあるが、許斐先生がマッチメイクを完全監修しているため、試合の結末は期待を裏切らないものになるはず。

 いよいよ20周年を迎えるアニメ「テニスの王子様」。それに向けて、さまざまな企画が動き出し、盛り上がりを感じる。たくさんの伝説を生み出してきた「テニスの王子様」が駆け上っていくさらにその先が、すでに楽しみになっている。

(C) 許斐 剛/集英社 (C) 新生劇場版テニスの王子様製作委員会

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