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【完全ネタバレ】マーベルネタの仕掛けだらけ!「ワンダヴィジョン」を振り返る

ワンダヴィジョン
(c) 2021 Marvel

 Disney+(ディズニープラス)が配信するマーベルドラマ第1弾として話題を呼んだ「ワンダヴィジョン」。平和な郊外の町を舞台に、アベンジャーズの人気キャラクター、ワンダ(エリザベス・オルセン)とヴィジョン(ポール・ベタニー)の奇妙な夫婦生活を描いた同シリーズは、今後のマーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)に直結する重要作でもあった。シリーズ第2弾「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」のクライマックスが近づくいま、劇中にちりばめられた謎をあらためて振り返る。(文/平沢薫)

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とにかく仕掛けだらけだった!

 そもそも「ワンダヴィジョン」(wandavision)というタイトル自体がネタバレでもあった本作。これはワンダとヴィジョンをつなげた言葉でもあるが、「ワンダのヴィジョン(幻想)」という意味も持っていたように思える。

ワンダヴィジョン
(c) 2021 Marvel

 また、1950年代の往年のシットコムを思わせる第1話では、英語で「House of Contempt」を意味するフランス語が記された「Maison du Mepris」というラベルのワインがディナーシーンに登場した。ボトルの首には大きな「M」の文字。これは、ワンダが世界を丸ごと変えてしまう現実改変能力を発揮する名作コミック「ハウス・オブ・M」を連想させる。そのほかにも、「ヒドラ」や「スターク・インダストリーズ」が登場する番組中のCMをはじめ、画面のあちこちにMCU関連ワードが隠されていたのは、ワンダの無意識が顔を出したものだろう。こうした隠しアイテムの発見が、ワンダの生み出した世界の謎を解くヒントになっているのだ。

 さらに同作には、“観客”を誤った答えに導くようなヒントまである。その最たるものが、第5話における『アベンジャーズ』ではなくX-MEN』版のクイックシルバーエヴァン・ピーターズ)の登場。いよいよMCUでマルチバース(多次元宇宙)が描かれるのかと思わせるこのキャラの登場は、シリーズ最大のサプライズだった。本作につながるとされている『ドクター・ストレンジ』続編のタイトルが『ドクター・ストレンジ・イン・ ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題) / Doctor Strange In The Multiverse Of Madness』であることもあり期待は大きかったが、後から、彼はワンダとは別の魔女アガサ(キャスリン・ハーン)が作った偽物だったことが判明する。

ワンダヴィジョン
(c) 2021 Marvel

 このアガサは、ワンダとヴィジョンの隣人アグネスとして登場した時から怪しい言動が目立ったが、その正体が、コミックでスカーレット・ウィッチに魔術の指導をする魔女アガサ・ハークネスだった。シリーズを見返してみると、第6話でアガサは、あたかもワンダの洗脳が解けたフリをしてみせるなど、視聴者のミスリードを誘うものがあり、一筋縄ではいかない展開に、ただひれ伏すしかない。

 そんな本作のクリエイター、ジャック・シェイファーは『キャプテン・マーベル』の共同脚本家で、新作映画『ブラック・ウィドウ』の原案も手掛けた女性。しかしこのテイストは、製作総指揮にして全話を監督したマット・シャックマンが持ち込んだものかもしれない。彼はこれまで、エル・ファニング主演のテレビシリーズ「THE GREAT エカチェリーナの時々真実な物語」や「フィラデルフィアは今日も晴れ」といったブラックコメディーに製作総指揮として参加している。

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MCUに関わる重要ワード!

ワンダヴィジョン
(c) 2021 Marvel

 さらに本作には、マーベルにかかわる重要ワードがずらり。まず一つが、第7話から登場する書物「ダークホールド」。スカーレット・ウィッチについて記されているとされる書物だが、実はMCUでは既出のアイテム。形こそ違うが、テレビドラマ「エージェント・オブ・シールド」に、暗黒次元で作られた無限の知恵が記された書物として登場する。同書は今後の展開にも大きく関係してくるはずだ。ちなみに同書については『ドクター・ストレンジ』続編の監督を務める、サム・ライミの『死霊のはらわた』に登場する「死者の書」が実は同じものなのではないかといううわさまである。そういえば、本作のエンドクレジット後のシーンでワンダがいる小屋が『死霊のはらわた』の小屋に似ているような?

 もう一つが「ネクサス」。第7話に挿入されるCMには、この名称を使った抗うつ剤が登場するが、コミックの世界では、多数のユニバースが存在するマルチバース(多元宇宙)をつなぐゲートウェイの名称が「ネクサス」となっている。さらに、その役割を担う人物を「ネクサス・ビーイング」と呼ぶ。コミックにおいてスカーレット・ウィッチは、そのネクサス・ビーイングなのだ。

 このワードは第9話でもう一度、連想させられる。映画館の看板にある「タンホイザー・ゲート」という言葉は、映画『ブレードランナー』でレプリカントのロイ・バッティが死ぬ時の名セリフ「そういう思い出もやがて消える 雨の中の涙のように」の中で語られる光景の一つ、「タンホイザー・ゲートのオーロラ」を思い出させる。そしてロイたち逃亡レプリカントの型番はネクサス6型。最終話に再登場するのは、これが今後の重要ワードだからかではないだろうか。

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今後のMCUにつながる!

ワンダヴィジョン
(c) 2021 Marvel

 そして本作は、今後のMCUの新作に直結。エンドクレジット中のシーンが『キャプテン・マーベル』続編に、さらにクレジット後のシーンが『ドクター・ストレンジ』続編に繋がっているが、さらにもうひとつ、ここからつながるのではないかと期待されているのが、コミックに登場する若きスーパーヒーローチーム「ヤング・アベンジャーズ」の映画化作品だ。というのも、ドラマに登場したワンダとヴィジョンの子供たち、ビリーとトミーは、コミックではウィッカンとスピードというヒーローになり、このチームのメンバーになるから。しかも2人は、エピソード中のハロウィンのシーンで、両ヒーローの仮装をしている。

ワンダヴィジョン

 さらに「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」に目を向けると、第2話に登場する黒人の超人兵士イザイアの孫、イライジャは、コミックではパトリオットというスーパーヒーローになり、チームの一員になる。そもそも、これから続くドラマ「ホークアイ」に登場するケイト・ビショップこと2代目ホークアイも、映画『アントマン』シリーズの主人公スコット・ラングの娘キャシー・ラングことスタチュアもチームのメンバー。やっぱり「ヤング・アベンジャーズ」は制作される?

 さまざまな仕掛けが満載だった「ワンダヴィジョン 」。一方、現在配信中の「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は、同じ『アベンジャーズ/エンドゲーム』後の世界を描きながら、ガラリと雰囲気を変えて、ストレートなアクションストーリーが展開している。今後も、6月11日配信開始予定の「ロキ」は、また仕掛けだらけの作品になるかもしれない。「ワンダヴィジョン」で凝りまくったマーベルがこれからどこまでやるのか、今後がますます楽しみだ。

「ワンダヴィジョン」全9話はディズニープラスで配信中

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