新感染、パラサイトの次はコレ!SF好き激オシ『SEOBOK/ソボク』を観るべき理由

 余命わずかの元情報局員と人類初のクローン人間の運命が交錯するSFアクション『SEOBOK/ソボク』が、7月16日より全国で公開される。アクション、ストーリー共に規格外のスケールで展開する本作は、SFファンをうならせる要素が満載の超大作であると同時に、『新感染 ファイナル・エクスプレス』『パラサイト 半地下の家族』に続く注目のエンターテインメント映画だ。その気になる内容とは?(文・平沢薫)

クローンを巡る攻防戦!新感染、パラサイト直系のエンタメ大作

 不治の病に侵され余命宣告を受けた元情報局エージェント・ギホンは、国家の極秘プロジェクトによって生まれた特殊なクローン・ソボク(パク・ボゴム)を護衛する仕事を引き受ける。しかし、二人は移動中に謎の集団に襲撃され、敵の正体が不明のまま追われる身となってしまう。クローンの正体、彼を狙うのは何者なのか……。人類に永遠の命をもたらすクローンを巡る、緊迫と興奮の攻防戦が展開する。

 近年の韓国映画は恋愛ドラマがヒットしている傾向にあるが、そればかりではないのは、第92回アカデミー賞作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞受賞の『パラサイト 半地下の家族』や、アメリカでのリメイク版も進行中のゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』もその人気は証明済み。そして、『SEOBOK/ソボク』はジャンルも注目度も、この二作の系譜に連なるエンターテインメント大作なのだ。

 しかも、この二作とはキャスト&スタッフが直結している。まず、主人公・ギホン役のコン・ユは、『新感染 ファイナル・エクスプレス』の主演を務めた人気俳優。さらに、アクションは『新感染』シリーズの武術監督ホ・ミョンヘン、VFXスーパーバイザーは『新幹線 ファイナル・エクスプレス』のキム・ハンジュンが担当。そして、近未来世界の美術を手掛けたのは『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞美術賞にノミネートされたイ・ハジュン。大ヒット作に参加した面々が『SEOBOK/ソボク』の世界に息を吹き込んでいる。

X-MENのような超能力!SFの定番要素が満載

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 SF、ホラーファンなら知っている通り、昨今の韓国映画は、これらのジャンル作品が豊作である。宇宙のゴミ回収船の乗組員たちが少女型ロボットを発見するSF映画『スペース・スウィーパーズ』、引きこもりの青年がゾンビで溢れかった世界で生き延びようとする『#生きている』、アパートを舞台に異形のクリーチャーと住民の攻防を描くNetflixドラマ「Sweet Home -俺と世界の絶望-」など良作が続々。『SEOBOK/ソボク』もこの流れの中で生まれた、SF映画ファンを唸らせる一本である。韓国映画で初めてクローン人間をテーマとして扱った作品というのもジャンル開拓への期待が高まる。

 ジャンル映画は、定番要素をどう料理するかが腕の見せどころ。なので、本作のドラマの要素にも、SF映画の定番が満載。まず、本作は実在の伝説と関連があること。タイトルのSEOBOK(ソボク)とは、中国の「史記」に登場する人物徐福(じょふく)の韓国語読み。徐福は秦の始皇帝のために男女3,000人と不老不死の霊薬を探す船旅に出たと言われる人物で、その後、日本に永住したという徐福伝説が日本各地に残っている。

 また、実験によって生まれた無垢な存在が人間を超える力を手にし、逃亡するという設定もSF映画の定番。近年ではNetflixドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」、1980年代なら『炎の少女チャーリー』が思い浮かぶだろう。精神状態が不安定な思春期の少年が超能力を暴走させるのも、『X-MEN』シリーズや『クロニクル』でおなじみ。選民思想の大富豪、実験対象をモノのように扱う科学者などの定番もおさえている。そうした定番要素に、いかに現代の状況を反映させ、見応えのある物語を描いていくのかが本作のポイントとなっている。

ぶっ飛びカーチェイスも!インパクト大のアクションシーン

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 SF映画に必須なのが、普通の日常では見られないインパクトのある描写。超常的なパワーや、現実にはあり得ないような過激な戦闘によるスペクタクルを見せてくれるのが醍醐味だが、この条件も『SEOBOK/ソボク』はしっかりクリアしている。

 極秘プロジェクトを進める研究室は、海上に浮かぶ巨大な船一隻を丸ごと使って構築されたもの。そこでの実験により生まれた、染色体を加工されたソボクは、一度も実験室から出たことがなく、ホログラムの海辺を眺めながら暮らしている。この船の、透明な青白い光に満ちた閉鎖世界は、近未来SFの雰囲気がたっぷり。

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 また、ソボクが持つ超常的なパワーは少しずつ増していく設定で、その力によって巻き起こる異常な光景の数々も、SF映画ならではの面白さ。劇中、クローンが旅の同行者を慰めようと、海辺で超能力を使い美しい光景を創り出そうとするシーンがあり、あまりに美しい光景に思わず息を飲む。そして定番通り、その超能力はクライマックスで存分に発揮されるが、そのスケールの大きさも規格外。VFXスーパーバイザーのキム・ハンジュンが、『新感染 ファイナル・エクスプレス』『安市城 グレート・バトル』同様、壮大かつ驚異的な光景を描き出してくれる。

 もちろん、アクションシーンも充実。『新感染』シリーズの武術監督ホ・ミョンヘンによる人間VS人間の肉弾戦はもちろん、アメリカ人傭兵が介入する路上でのカーチェイスでは、盗んだ巨大トラックで壁を突き破るぶっ飛び逃走劇があるかと思えば、戦車まで登場する過激さだ。

SF映画だからこそ…現在を踏まえた深いテーマ

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 そして、現在の状況を踏まえて、未来へと繋がる深いテーマが描かれているのも、SF映画の魅力。人間にとって死とは何なのか。人類は不老不死を手に入れるべきなのか。本作が描くこうした深いテーマは、現実世界でも起きている、日米の製薬会社が共同開発した認知症治療薬の承認をめぐり、米食品医薬品局と専門家の意見が対立するといった状況と無関係ではないだろう。

 また、ストーリーのエンターテインメント性も規格外の充実度。クローンが持っている特殊能力とはどんなものなのか。クローンはなぜ作られたのか。なぜ狙われているのか。その謎が少しずつ明かされていくのと並行して、彼を手に入れようとする複数の集団による騙し合いが展開し、誰が味方で誰が敵なのかというサスペンス要素もたっぷり。娯楽性豊かなストーリーの中に、SF映画ならではの楽しみがいっぱい詰まっている。

 『新感染』『パラサイト』のDNAを引き継いだ『SEOBOK/ソボク』は、驚異のVFX映像と過激なアクションを盛り込み、SF映画ならではの深いテーマ性をも備えている。SF映画ファンなら、全てが規格外の『SEOBOK/ソボク』を見逃せないはずだ。

映画『SEOBOK/ソボク』は7月16日新宿バルト9ほか全国公開

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