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衝撃のラブストーリー5選~『神は見返りを求める』吉田恵輔監督がセレクト~

今週のクローズアップ

映画『神は見返りを求める』より (C) 2022「神は見返りを求める」製作委員会

 ムロツヨシと6年ぶりのタッグを組む映画『神は見返りを求める』の公開を6月24日に控える吉田恵輔監督(吉はつちよしが正式表記)。ムロ演じるまるで“神”のようにお人好しなサラリーマンと、岸井ゆきの演じる底辺YouTuberの恋が始まる予感が一転し、「見返りを求める男」と「恩を仇で返す女」へと豹変する心温まりづらいラブストーリーにちなんで、吉田監督が選ぶ衝撃のラブストーリー5本を紹介します。(取材・文:編集部・石井百合子)

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【はじめに】

 「選ぶのが難しかったんですよ。衝撃的だと感じるというのは、「好き」とも違うと思うので。挙げてみると、自分は「男性が奔放な女性に振り回されて傷つく話」が好きなんだなと。例えば、自分のいうことをなんでもきいてくれる女性だったりすると、いわゆる安心感がそこに生まれて、そうすると徐々に興味が薄れがち。猫のようにすりすりしてきたかと思えば、ある日突然いなくなってしまうような人だと「3日もLINEないけど何してんのかな」みたいな気持ちになってくる。そういう女性のピークを描いた作品ばかり選ぶなと……」(吉田監督)

主人公が恋人に提案する仲直りの方法が斜め上すぎる

『チェイシング・エイミー』(C)Miramax/Photofest/ゲッティ イメージズ

チェイシング・エイミー』(1997/ケヴィン・スミス監督)
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鑑賞した時期:1999年頃

 「これは特に好きな作品。人気漫画家のホールデン(ベン・アフレック)が、同性愛者のアリッサ(ジョーイ・ローレン・アダムス)に恋をするんだけど、彼女のある過去を知ってしまったことでこじれていく……という話。いや~痛いですよね。過去を知ったからといって嫌いになるわけじゃない、でも……という。僕もちっちゃい人間なので、主人公のようなことを言っちゃいそうだなと。『気持ちはわかるけどダメだ。やめとけー!』って(笑)。嫉妬、妬みみたいなものが引き金になって、男女の関係が変わっていくような展開が好きで、今回の自分の作品『神は見返りを求める』でもYouTuberのゆりちゃん(岸井)が番組でボディペインティングをして、田母神(ムロ)はそれを嫌がるという描写がある。難しいですよね。好きな人が人前で裸になる。それがアートだと言われたら、どこまでがアートなんだと。人それぞれの価値観でわかれてくるわけで。あと、主人公が悩んだ末に恋人にもちかける提案が面白すぎる。『そんなバカな!』と思うんだけど、それを実行したらどうなるのか見てみたいという気持ちにもなる。重い内容なんだけど、どこかブラックコメディーのような明るさもあるんですよね」

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ヒロインのジャンピング抱きつきにキュン!

『ロリータ』(C)Samuel Goldwyn Company/Photofest/ゲッティ イメージズ

ロリータ』(1997/エイドリアン・ライン監督)
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鑑賞した時期:2000年頃

 「スタンリー・キューブリック版よりも、キュンの度合いが強かったのと、主人公の大学教授(ジェレミー・アイアンズ)が恋するヒロイン(ドミニク・スウェイン)が魅力的。あとエンニオ・モリコーネの音楽。女の子がサマースクールに出かける直前に、主人公にジャンピング抱きつきをする。あのシーンで『ああっ!』と(笑)。階段を上ってくるヒロインの足音を聞いている主人公が、胸をときめかせて入口の方を見ている感じなんかも、気持ち悪いんだけど演出が巧くてキュンとしてしまう。映画としてはあの場面がピークですよね。実は僕の『さんかく』(2010)という作品は、かなりこの映画の影響を受けています。釣具店で働く30歳の主人公・百瀬(高岡蒼佑※当時は高岡蒼甫)と同棲中の恋人(田畑智子)のもとに、彼女の中学生の妹・桃(小野恵令奈)が転がり込んできて、百瀬は桃に惹かれていく。桃がしばらく友達のところにいて帰ってきたとき、階段を上る百瀬がだんだん早足になっていく……というシーンはオマージュのような感じで撮りました」

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富と愛をテーマにした三角関係

『UNloved』(2002/万田邦敏監督)
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鑑賞した時期:2005年頃

 「万田邦敏監督の初の長編劇場映画で、奥さん(万田珠実)が(共同で)脚本を担当されている。市役所勤めの地味な女性(森口瑤子)に、バツイチの金持ち男(仲村トオル)が寄ってくるんだけど彼女はまったく興味を示さない。そうこうするうちに、彼女は同じアパートに越してきたサエない若者(松岡俊介)と親しくなって、金持ち男が異常に嫉妬するんですよ。僕が好きな三角関係の話で、いわば富と愛を描いているんだけど、思っていたのと違う方向に向かっていく。俳優がみな棒読みで、抑揚が一切ない感じで面白い空気感なんですよね。これは確か、VHSで観たと思います。リメイクしてほしいと思うぐらいよくできていて、僕はこの作品にもかなり影響を受けています」

人知を超えた愛を見た感覚

『ボーダー 二つの世界』Blu-ray発売中 価格:4,800円 (税抜)発売元:キノフィルムズ/木下グループ/販売元:ハピネット・メディアマーケティング (C)Meta_Spark&Karnfilm_AB_201

ボーダー 二つの世界』(2018/アリ・アッバシ監督)
作品情報>

鑑賞した時期:2019年頃

 「もはや人知を超えた愛に衝撃を受けました。驚異的な嗅覚を持つ税関職員の女性が、風変わりな旅行者に心惹かれるうちに、自身の出生の秘密が浮かび上がっていく。2人が出会って、楽しそうに虫を食べている姿。まだ言語がなかった時代の愛を見たような感覚で、ちょっと気持ち悪くもあるんだけど面白い。ネタバレになってしまうのでここで止めます(笑)。なるべく何も情報を入れないで観てほしいです!」

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10代の少年が見た大人の世界

『あの頃ペニー・レインと』(C)DreamWorks/Photofest/ゲッティ イメージズ

あの頃ペニー・レインと』(2000/キャメロン・クロウ監督)
作品情報>

鑑賞した時期:2001年頃

 「映画自体のつくりとして衝撃的ということではないんですけど、主人公の高校生ライター(パトリック・フュジット)から見た大人の世界が強烈で。まだキスすらしたことのないようなうぶな男の子が憧れのミュージシャン(ビリー・クラダップ)を取材するうちに、年上のグルーピーの女性(ケイト・ハドソン)に恋をして、セックス&ドラッグが氾濫する芸能界の裏側に足を踏み入れていく。主人公にどっぷり感情移入して観ていたので、それは刺激的でした」

 新作『神は見返りを求める』の誕生のきっかけを、「YouTubeを題材にしてはいるけど『恩を仇で返す女と見返りを求める男』という関係を描きたい、というのがスタートでした」と振り返った吉田監督。そして、「特にカップルで観る方は『痛い』と感じる話かもしれないけど、そのことでちょっとだけ互いに許容できるようになったらいいなと思います」とも。本作は「裏切られたこともあれば逆もある」という吉田監督の実体験を反映し、男女の愛憎を描いたラブストーリーだ。今回厳選した5本のラインナップにも吉田監督の恋愛観や鋭い観察眼が垣間見える。

『神は見返りを求める』予告編>

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