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『Dr.コトー診療所』『月の満ち欠け』など12月公開映画の評価は?

今月の5つ星

 直木賞受賞小説の映画化作品からベネチア国際映画祭で最高賞に輝いたドラマ、DC新作、A24によるスリラー、そして人気ドラマの映画版まで、見逃し厳禁の作品をピックアップ。これが12月の5つ星映画だ!

目黒蓮の底知れない魅力と可能性

月の満ち欠け』12月2日公開

 第157回直木賞を受賞した佐藤正午による同名小説を映画化した本作は、“瑠璃”という名の女性を巡り、愛し合っていた夫婦と、許されざる恋に落ちた恋人の時間も時空も超える愛の物語。大泉洋が、こよなく愛する妻・梢(柴咲コウ)、娘・瑠璃(菊池日菜子)を不慮の事故で失い、順風満帆だった人生が一変する小山内堅を熱演する。悲しみを抑えきれず慟哭する姿は涙を誘う。

 また、俳優としての活躍が目覚ましいSnow Man目黒蓮が、有村架純演じる正木瑠璃と許されざる恋に落ちる青年・三角哲彦役で存在感を放つ。恋に焦がれ、瑠璃に真っすぐにアプローチする三角の瞳はとてつもなく魅力的だ。大泉の円熟した演技と、狂おしいほどに人を愛する目黒の演技が、この“生まれ変わり”を巡る数奇な愛の物語に説得力を持たせている。大泉、有村、柴咲、伊藤沙莉田中圭とそうそうたるキャストのなか、スクリーン映えする目黒の底知れない魅力と無限の可能性を感じる。(編集部・梅山富美子)

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臨場感がすごい!圧倒的な100分間

あのこと』12月2日公開

 第78回ベネチア国際映画祭(2021年)で最高賞の金獅子賞に選ばれた、サスペンスフルな人間ドラマ。法律で中絶が禁止され、処罰されていた1960年代のフランスを舞台に、予期せぬ妊娠をした大学生の孤独な闘いを描く。先日、ノーベル文学賞を受賞した作家アニー・エルノーの実体験を基にした物語だ。

 主人公アンヌに寄り添ったカメラワークや生活音を際立たせた演出は、「あなたは〈彼女〉を、体験する。」というキャッチコピーの通り臨場感たっぷり。無意識のうちに目線が主人公の感情に誘われ、張り詰めた空気を常に共有しているかのような感覚から、得体の知れないスリルを味わうことになる。目を覆いたくなるような痛みを観る側にも実感させるアンヌ役のアナマリア・ヴァルトロメイの演技も鮮やか。変に意図的な描写がないため、ごく自然な映像の美しさにもあふれている。身近な人にも躊躇なく薦めたくなる名作だ。(編集部・小松芙未)

DCユニバース新局面!爽快感MAXのヒーロー大戦

ブラックアダム』12月2日公開

 ジェームズ・ガン監督がDCの新たなリーダーに就任したことで、新たな局面を迎えたDCユニバース。再始動への第一歩となる本作は、5,000年の眠りから目覚めたアンチヒーロー・ブラックアダムが主人公だ。

 復讐のためなら暴力もいとわないブラックアダムの破壊神ぶりが序盤からさく裂し、観客を圧倒する。特殊部隊も一掃する規格外のパワーに、主演のドウェイン・ジョンソンが「DCユニバースのヒエラルキーが変わる」と断言するのも納得ができる。ブラックアダムに対抗するヒーロー軍団「JSA」もメンバーそれぞれの個性が輝き、一人一人に見せ場が用意されている。特に、5代目ボンドで知られるピアース・ブロスナンが魔術師ドクター・フェイト役に見事にハマっており、チームの要となる熟練ヒーローをカリスマ性たっぷりに演じている。原作におけるブラックアダムは、シャザムの宿敵であるため、映画でも因縁の対決が実現することを願うばかりだ。(編集部・倉本拓弥)

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めまいがするほどの衝撃展開!

MEN 同じ顔の男たち』12月9日公開

 『ミッドサマー』『ヘレディタリー/継承』などクオリティーの高いサイコロジカルホラーを世に放ってきたA24と、アカデミー賞視覚効果賞を受賞したSFスリラー『エクス・マキナ』のアレックス・ガーランド監督のタッグが描くスリラー。夫の死を目撃してしまった主人公が心の傷を癒やすため、イギリスの田舎町を訪れるのだが、そこに現れる男たちが全員、同じ顔をしているという不穏な物語だ。

 圧倒的な映像美と完璧ともいえるガーランド監督こだわりの構図がストーリーの不気味さを際立たせており、序盤から不吉な雰囲気を醸し出す。同じ顔をした男たちの不愉快な会話やグロテスクなインサートカットなど、物語が進むにつれて描写も過激になっていき、特にラスト20分間はトラウマレベルの衝撃にめまいがするほど。鮮烈な印象を残す怪しげな自然の風景や細部まで作り込まれた美術や装飾は、劇場の大スクリーンで味わうにふさわしい。(編集部・柳田光司)

16年たったからこその問題やドラマ

Dr.コトー診療所』12月16日公開

 2000年代に人気を博したドラマシリーズが、16年の時を経て映画化。コトー先生の髪は真っ白に、自転車は電動になり、島民はスマホを持つようになった。それでも変わらないあの景色と、そこにいる人たち。ドラマシリーズでおなじみの面々が勢ぞろいし、当時10歳の神木隆之介など脇役だった人たちまで登場する大サービス。さらに、剛洋役で多くの視聴者を泣かせた元子役の富岡涼が本作のためだけに俳優復帰し、物語のキーといえる役どころを担っているのも何より胸アツだ。

 一方でその“お祭り感”だけで終わることなく、コトー一人に頼り切った島の医療体制や、島民みんなの期待を背負って医師を目指していた剛洋の現在など、16年たったからこその問題やドラマが描かれている点も見応えがある。中島みゆきの「銀の龍の背に乗って」が流れる頃には、ドラマファンならばさまざまな思いがこみ上げてくるだろう。(編集部・中山雄一朗)

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