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スピルバーグらを魅了した映画『ピノキオ』のアニメ技術

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スタンリー・キューブリックもファンだったと言われるピノキオ
スタンリー・キューブリックもファンだったと言われるピノキオ - (C)Disney.

 1940年に初公開された映画『ピノキオ』は、ディズニー史上最高傑作にして手書きアニメの最高峰として、60年以上にわたり、スティーヴン・スピルバーグら後世の映像作家に多大な影響を与えているが、その理由を検証してみた。

 『ピノキオ』の生みの親ウォルト・ディズニーが1930年代当時では破格の制作費250万ドルを投入し、スタッフに次々と高度な注文を出し技術の粋を結集させ、アニメ芸術の究極のぜいたく品に仕上げたことだ。

 ウォルトが最も費用をかけたこだわりは、マルチプレーンカメラと呼ばれる装置の多用による遠近感とリアリティーの創出だ。同装置は1933年に、ウォルト・ディズニー・カンパニーのアニメーター兼ディレクター、アブ・アイワークスが発明したもので、何層にも組まれたセル台にそれぞれセル画を異なった位置に配置して、異なったスピードで動かしながら撮影するシステムで、2次元の絵に3次元的な奥行きを与えることができる。『ピノキオ』では全編に渡り同装置の威力が発揮され、夜空に散りばめられた星のきらめき、ゆらゆらと揺れる水の質感といった情景はもちろん、生き生きした表情なども余すところなく表現し、キャラクターに命を吹き込んだ。ピノキオがうそを付くと、鼻がニョキニョキと伸びるリアルな描写で子どもたちをビックリさせたのも、この装置のなせる技だった。

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 夜空に輝く星を映し出したカメラは、闇の中に眠る住宅群へとスローで移動してゼペットじいさんの家の窓をのぞき込む。有名なオープニングシーンで、この数秒間の撮影だけで4万5,000ドルが費やされたと言われている。

 木の操り人形から人間へと劇中で命を授けたのは妖精ブルー・フェアリーだったが、技術的には同装置。ウォルトが情熱を注いだ究極のぜいたく品は、世界の映像作家を感化。スピルバーグ監督は映画『A.I.』を、日本でも故・手塚治虫氏は「鉄腕アトム」、故・石ノ森章太郎氏は「人造人間キカイダー」を作り、オマージュを捧げている。
 
 製作70周年を迎え、最先端デジタルリマスター技術を駆使して製作当時の映像、音声をよみがえらせるプラチナ・エディション版ブルーレイとDVDで、スピルバーグ監督も手塚、石ノ森両氏をも魅了したウォルトの究極のこだわりを確かめてみるのも一興!?

『ピノキオ プラチナ・エディション』ブルーレイ(税込み:4,935円)&DVD(税込み:3,990円)は、ウォルト ディズニー スタジオ ホーム エンターテイメントより発売中

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