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ウソで株価も大暴落!世界貿易機関の解散宣言!BBCニュースで工業会社の事故報告!ウソで何億ドルも動かす集団

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イエス・マンが作った、偽ニューヨークタイムズ紙
イエス・マンが作った、偽ニューヨークタイムズ紙 - Photo:Nobuhiro Hosoki

 アメリカの前衛活動集団イエス・マンのアンディ・ビシュルバウムに、新作映画『Yes Men Fix the World』(原題)について聞いてみた。イエス・マンとは、世界貿易機関(WTO)当局者に成り済まし、WTO解散を発表するなどして有名になった集団だ。

 本作は、そんな彼らの恐れを知らない活動を記録したドキュメンタリー。パートナーであるマイク・ボナボと共に有名な企業や団体のスポークスマンに成り済まし、記者会見に参加して、大企業の悪業を批判していく。インド中部ボパールの工場で起きたガス漏れ事故を起こした米多国籍企業ユニオン・カーバイド社を買収した総合化学工業ダウ・ケミカルのスポークスマンと偽りBBCワールドニュースに出演した際には、その事故が正当に取り扱われていない状況を訴えるため「損害賠償を払う!」とウソの宣言をし、ダウ・ケミカルの株を大暴落させた経験も。

 アンディは「僕もマイクも以前は大学教授で、活動家として反対運動をしていたんだ。それがきっかけで出会ったのさ」とイエス・マン誕生のきっかけを語る。ダウ・ケミカルのスポークスマンとしてテレビ出演できた状況を「イギリスにある本社のBBCニュースなら放映する前にバレていたかもしれないね。でもあのときのインタビューはフランスにあるBBCの支社で行われたんだ。しかも特報だったために、僕たちをきちんと調べていなかったんだろう」と分析する。

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 彼らの発言を600以上のメディアが取り上げ、さらに工場で起きた事故について改めて目を向けるきっかけを作った。株価大暴落の被害を受けたダウ・ケミカルだったが、メディアの取材を避けるために、イエス・マンたちを訴えることはなかった。ちなみにBBCワールドニュース放送後わずか23分で、2億ドルものダウ・ケミカル株が動いたといわれている。

 そして彼らが発行したニセ新聞も物議を醸す。それはニューヨークタイムズ紙を本物そっくりに模倣した新聞で、イラク戦争終結や、イラクが大量破壊兵器を保有していないという情報を知っていながら、イラクとの戦争を続けた責任を問う形で、ブッシュ元大統領が大逆罪の容疑で告発されたというウソ記事が掲載されている。「バラク・オバマが大統領に就任するとわかったときに、この偽ニューヨークタイムズ紙を発行したんだ。オバマが大統領になったことで希望を持つことができた僕らは、これから何が起きるかを想像してみた。そのほか環境問題の改善を提案した記事もあるよ」とアンディ。もちろん今回も新聞社側から訴えられることはなかった。

 これら大胆な行動を起こし、逮捕経験もあるアンディ。しかし理不尽なことを正し、人が生きやすい環境にしたいという思いは十分に伝わってきた。イエス・マンのやり方が正しいとは言い切れないが、主張の形は人それぞれなのだと思った(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)

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