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日本に米軍基地は必要か?「二度と戦争はしたくない」日本人の心の抵抗描く

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流暢(りゅうちょう)な日本語を話すリンダ・ホーグランド監督
流暢(りゅうちょう)な日本語を話すリンダ・ホーグランド監督

 10日、六本木の森美術館で、映画『ANPO』公開記念トークイベントが行われ、リンダ・ホーグランド監督、そして本作に出演している写真家の石内都、画家の中村宏が登場した。

 宣教師の娘として日本で生まれ育ち、黒澤明監督作品をはじめ、数多くの日本映画の字幕を担当し、映画『TOKKO-特攻-』ではプロデューサーを務めたホーグランド監督。『ANPO』では、そのいかにもアメリカ人というルックスながら、流暢(りゅうちょう)な日本語を話す彼女が、1960年の安保闘争と言われた激動の時代を、その時代を生きたアーティストたちがどのように表現したのかという観点から描き出している。

 1960年当時の岸信介政権の下で、強行的に改正された日米安全保障条約だが、「二度と戦争はしたくない」という思いから多くの市民が安保に反対したにもかかわらず、その願いはかなわず、市民の間には挫折や敗北感に支配されていた。

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 しかし画家の中村は、「リンダさんは表現の世界では勝ったじゃないのと言ってくれたんですよ。僕らはそういう評価はされたことがなかったから新鮮だった。老人はおだてられるとうれしいんですよ(笑)」と言って会場を笑わせた。中村は性的な雰囲気や心的世界などを奇抜な画面構成と特異な表現で描き出すというスタイルの画家だ。

 リンダ・ホーグランド監督も、「アメリカ人から言わせると、絶対に1枚も売れないとわかりながらも、50枚、60枚と描き続けるというのがすごい。わたしにとっては中村さんたちは英雄ですよ」と話し、さらにこの映画が中村の絵を見たショックから生まれたことを明かしていた。

 本編中には、日本に駐留するアメリカ兵が、怒りの表情で「カメラを回すな」とすごむシーンがある。ほんの10秒くらいのシーンだが、ホーグランド監督によると、このシーンがアメリカ人には衝撃だったらしい。「彼らは後ろめたさがあるから、カメラに関する意識が高いんです。だからすぐにああいう発言が出るんです。これをわたしの友人に見せたら、『今だに進駐軍なんだね』とものすごくショックだったようです。飛行機が爆音を上げて低空飛行するシーンなども、アメリカ人はああいう映像を見られないんで驚いてましたよ」と明かし、これから映画祭などで世界の人々に見せるのが楽しみだと話していた。

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 そんな流れから、日本に米軍基地は必要かと聞かれたパネリストたち。沖縄から帰ったばかりだという石内は「わたしは反対です」ときっぱり。「基地を作るべきかどうか国民投票をして、一番賛成が多かった県に基地を作ればいいと沖縄の人たちは言っていました。日本人は基地についてリアルに感じていないんです」と話すと、会場からは大きな拍手が沸き起こっていた。

 本作では、この問題について結論を出すのではなく、問題を提起する形となっている。改めて日本とアメリカとの関係を考え直す機会になるのではないだろうか。

映画『ANPO』は9月18日より渋谷アップリンクほか全国順次公開

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