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ニューヨーク映画祭でイギリスの巨匠マイク・リー監督の威圧感に、記者もピリピリ!

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威圧感のあるマイク・リー監督(右)とレスリー・マンヴィル(左)
威圧感のあるマイク・リー監督(右)とレスリー・マンヴィル(左)

 映画『秘密と嘘』でカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞し、映画『ヴェラ・ドレイク』ではヴェネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞したイギリスの巨匠マイク・リー監督が、現在開催されているニューヨーク映画祭(N.Y.F.F 48th)に参加し、新作『アナザー・イヤー / Another Year』(原題)について、女優レスリー・マンヴィルと共に語ってくれた。

マイク・リー監督映画『ヴェラ・ドレイク』場面写真

 同作は、長年連れ添った仲の良い老夫婦トム(ジム・ブロードベント)とジェリ(ルース・シーン)、そして旧友メアリー(レスリー・マンヴィル)の3人の1年を、春夏秋冬の季節に折り分けながら、彼らの家族や友人、そして恋人との関係を通して、それぞれが抱く悲しみと幸せを描いたヒューマンドラマ。

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 仲の良い老夫婦を中心に描いた作品は、ハリウッド作品ではあまりな観られないことについてマイク監督は、「まず、僕自身は老人こそ、もっと映画で探索されるべき重要なキャラクターだと思っている。それは、若者が持っていない知識と、あらゆる体験をしたことで、前向きな見解を人に指図ができることが1つ。次にこの年齢になれば、何度か失恋を経験して、ある意味で恋のエキスパートのような存在にもなっているからだ」と老人の魅力を伝えた後に、さらに「ただ、このような老人カップルを中心に描くことは実際には難しい。それでも、僕はいつも観客が自分達の世界に反映できるような映画制作をしているつもりで、今回のこの老人カップルにもきっと共感を持ってもらえるはずだ」と語った。普段あまり映画では観られない、ごくありふれたカップルのようだが、迫真の演技が真実味を帯び、映画内では観客を飽きさせない演出に仕上がっている。

 レスリー・マンヴィルはマイク・リー作品の常連で、これまで彼の映画5作品、TVでも1度共に仕事をしている。「マイクとBBCの番組『Grown-Ups』(1980)で仕事をしたときは、まだ20代前半だったから、まるでわたしは見習いのような存在だったの。でも、このときにマイクを通して重要なことを発見したわ。それは、その歳まで、自分はどんな女優になれば良いか、頭に思い描いていたんだけれど、マイクと共に仕事をしたことで、自分とは全く違った役柄も演じることができるという自信がついたの! これが自分のキャリアの中で、女優として自由に解放された瞬間だったわ」と、レスリーはマイク監督に感謝しながら、最近はお互いの知識と深い理解が、より興味深いキャラクターを生み出しているとも答えてくれた(マイク・リーの作品は、すべて俳優と共にストーリーが構成されていく)。

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 題材の選択について「僕は、これまである出来事を新聞やTVで見つけて、それを拡張させて映画を製作するようなことは全くなかった。なぜなら、僕がすべて経験したり、学んできたことを、現在も継続している人生というカタログに当てはめながら製作しているからなんだ」と、マイク監督は簡単な思い付きでの製作をしたことがないことを明らかにした後で、リハーサルについても「近年は、もっと時間に余裕を持ちながらリハーサルのプロセスを行っている」と述べた。マイク監督は、舞台監督をしているときも全く脚本を持たずに俳優とストーリーを形成し、そのプロセスを繰り返すうちに俳優が台詞を覚えていくそうで、俳優は紙に台詞を書くことを禁止させられ、脚本も渡されずに台詞を覚えていくしかないそうだ。

 最後にマイク監督は、これまでロンドン中心に撮影していたのは、特にこだわりがあるわけではなく、単なる予算の問題で、もし海外でも撮影できる作品があれば、是非制作してみたいと答えていた。今回のインタビューでも、いつもの辛辣な口調は健在で、記者の質問によっては、この程度の質問かと言ってみたり、答えたくないと言ってみたりして、その言動におびえたある女性記者は、わずか5人の記者しか居なかったにもかかわらず、一度も質問できなかった。ちなみに、今年のカンヌ国際映画祭でも、あまりの記者の質問のヒドさにマイク監督は「きみは僕の映画をもう一度観なさい!」とも言っていたそうだ。今回も久しぶりに、緊張感のある取材になった。

 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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