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『ノルウェイの森』音楽を引き受けるまでの心の葛藤を告白!レディオヘッドのジョニー・グリーンウッド

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レディオヘッドのジョニー・グリーンウッド
レディオヘッドのジョニー・グリーンウッド - Photo:Harumi Nakayama

 松山ケンイチ主演の映画『ノルウェイの森』(12月11日公開)で音楽を手掛けた、英国のロックバンド、レディオヘッドジョニー・グリーンウッドがインタビューに応じた。

映画『ノルウェイの森』場面写真

 グリーンウッドが映画音楽に係わるのは、ポール・トーマス・アンダーソン監督『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』に続いて2作目。その『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』ではグラミー賞の最優秀映画サウンドトラック賞にノミネートされるなど高い評価を受け、その音楽を気に入ったトラン・アン・ユン監督からじきじきにオファーを受けた。しかしグリーンウッドは当初、依頼を断ったのだという。グリーンウッドは「企画が立ち上がったかなり初期の段階で監督からメールをいただいたんですけど、(かかわるのが)怖かったのと、曲を作る時間もなかったので。でも、その後もまた監督から連絡をいただき、彼の音楽への熱意と励ましに『イエス』と答えてしまった(苦笑)。あきらめずに声を掛けてくれてうれしかった」と当時を振り返る。

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 ユン監督との作業は、編集段階の映像を一緒に観ながら音楽が必要な場面を一時停止し、「このシーンに合う音楽を」という具体的なリクエストを受けるという方法。その映像のほか、原作を読んでインスピレーションを得て曲を作りあげていったという。グリーンウッドは「全体的に主人公たちは大人になりきれていない感じがあったのでイノセントな雰囲気と、人生をためらっているような不完全な感じを表現しました。それから音楽的に興味を持ったのは、レイコのキャラクターですね」本作のメーンは、ワタナベ(松山ケンイチ)と直子(菊地凛子)、そして大学で出会う緑(水原希子)の3人による恋愛劇だが、レイコ(霧島れいか)に関心が向かうとはミュージシャンらしい視点かもしれない。レイコは、直子が京都の療養施設で同室になる元ピアノ教師。彼女もまた心に暗い過去を抱えており、そのために教師を断念せざるを得なくなり、ピアノからも遠ざかる。だが、療養所に来てからは趣味でギターを弾き始めるのだ。

 その彼女の十八番が、映画のタイトルにもなっているビートルズの「ノルウェーの森」だ。グリーンウッドは「クラシックピアノを学んでいた人がそこから弾けなくなって、ギターという別の楽器を手にした時にどんな楽曲を書き下ろすんだろう?と。それを想像しながら曲を作るのは面白かった。レイコが録音したテープが屋根裏に残っていたという設定で、マイクとテープレコーダーとギターを使って、レイコの曲を作ってみたり。その曲の一部も映画の中で使用されていますよ」と語った。

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 ほか、米ロックバンド「ドアーズ」やもちろん「ビートルズ」など’60年代の若者を熱狂させた音楽の使用をユン監督に提案。緑役の水原希子は撮影中、監督から渡されたそれらの音楽が入ったCDをずっと聴きながら、役のイメージを膨らませていったという。

 映画音楽の一つのカタチとして、ジャズ・トランペットのマイルス・ディヴィスが『死刑台のエレベーター』を、ニール・ヤングが『デッドマン』を、それぞれラッシュ映像を観ながら即興で音楽を付けていったことが伝説として語り継がれている。だが、グリーンウッドに理想の映画音楽について尋ねると「ニール・ヤングのやり方は奇妙だね。むしろ、僕の理想はそれとは真逆。僕は、風景やキャラクターの心情に導かれて曲を書くのが理想だね。書き過ぎというくらい楽曲を書いて、長さなんかも気にせずに。そんなのはいくらでも編集で調整が出来るから」。そして挙げたのが、スタンリー・キューブリック監督のホラー映画『シャイニング』。「素晴らしい映画音楽の形だと思う」と絶賛した。

 また本業については、「もしツアーをしなくなったら、最も行けなくて残念だなと思うのが日本。自分が知っている世界と全く違うからね。日本に行くのが好きだし、行かなくなるとなぜか気になるんだ。でも逆に言えば、ツアーがなければ日本に行かなくなっちゃうのかな。だから今後もライブ活動を続けて行きたい」と語り、日本のファンとの再会を誓った。(取材・文:中山治美)

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