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歌舞伎役者の尾上菊之助、被災地の避難所を訪問して胸を痛めたことを告白「早く落ち着ける場所にお移りになれれば……」

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開演前に募金活動を行った尾上菊之助
開演前に募金活動を行った尾上菊之助

 歌舞伎役者の尾上菊之助が12日、自ら開催を志願した東日本大震災の復興支援チャリティー舞踊公演「祈り」(会場:浅草公会堂)に尾上右近と共に出演し、公演後の取材で復興への思いを口にしたほか、実際に被災地を訪問していたことを明かした。

 東日本大震災が発生した3月11日、新橋演芸場で公演を行っていた菊之助は、楽屋で出番を待っているときに地震に直面したそうで「これで終わりかな」と思ったことを告白。「お客様も怖かったかと思います。劇場内ではケガをされた方がいなくてよかったが、帰ってニュースの映像を見ていたたまれない気持ちになりました」と被災地の惨状を知って心を痛めたことを明かした。その後、複雑な胸中のまま歌舞伎の公演を行う中で、歌舞伎役者として何ができるかと考え、チャリティー公演の開催を思いついたそうで「被災された方の心が少しでも落ち着けて、復興の終わりが来るように(本公演の)『祈り』と代えさせていただきました」と本公演に込めた思いを口にした。

 そして菊之助は被災地の避難所を訪問し、6月28日から7月1日まで滞在していたことを告白。現地の様子について「避難所はとても暑くて、『いつこの生活が終わるんだろう?』という思いを抱えて暮らしていくのは本当にお気の毒だと思う。早く落ち着ける場所にお移りになれればいいなと思いました」と神妙な面持ちで振り返る。そしていつか被災地で歌舞伎の公演を行いたいそうで「公演をして東北の方に歌舞伎に触れていただきたい思いでいっぱいです」と歌舞伎を通じた復興支援を行っていきたい思いを口にした。また、来年中村勘九郎を襲名することが決定した歌舞伎役者の中村勘太郎が、同日に記者会見を行っていることにも触れた菊之助は「仲間としてまた一緒に舞台に立てることが楽しみ。おめでとうございます」と笑顔で祝福した。

 この日の昼公演で、菊之助はあでやかな藤の精とコミカルな坊主、右近は子守りをする娘を演じて観客を魅了した。チャリティー公演は昼夜2回にわたって行われ、合計約2,000人の観客が来場する予定。収益は日本赤十字社を通じて全額被災地に寄付され、菊之助と右近は出演料を辞退する。(肥沼和之)

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