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パリ警察による大規模なユダヤ人狩りが行われたヴェルディヴ事件とは?東京国際映画祭で最優秀観客賞を受賞『サラの鍵』

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ジル・パケ=ブランネール監督
ジル・パケ=ブランネール監督 - Andrew H. Walker / Getty Images

 1942年の7月、ドイツ占領下のフランスで、パリの警察による大規模なユダヤ人狩りが行われたヴェルディヴ事件を描いた新作『Sarah's Key / サラの鍵』について監督のジル・パケ=ブランネールが語った。

 同作は、アメリカ人ジャーナリストのジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)が、1942年フランスのヴェルディヴで起きたユダヤ人迫害事件の取材を通して、かつてユダヤ人の家族に起こった悲劇をひも解いていく感動のドラマ作品。東京国際映画祭で最優秀監督賞/観客賞を受賞している作品だ。

 この映画の原作者タチアナ・ド・ロネの作品を映画化した経緯について「最初に、ある雑誌でこの本が出版されることを知って原作を読んだんだが、わずか半分くらい読んだ時点で、もうこの作品を映画化したいと思っていたんだ。幸運なことに、僕の友人の作家を通して、原作者のタチアナと知り合うことができたんだよ。彼女とは最初の時からウマが合った。そこで彼女は僕を信用してくれて、映画化権を獲得することができたんだ。ラッキーだったのは、この原作がその後世界中でベストセラーになる前に映画化権を僕らが獲得できたことだね」と明かした。

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 もともとこの事件に関して、あまり証拠写真などが残っていないが、この本以外にどんなリサーチをすることになったのか、との質問に「本自体は、かなり詳細にドキュメントされていたんだ。原作者のタチアナは2年くらいリサーチに時間をかけたらしいからね。だから僕は、そのタチアナにどういった書物を読んだら良いか提案してもらったんだよ。それと、この事件を描いたドキュメンタリー作品も参考にすることになった。だがいちばん参考になったのは、実際にこの事件の生存者に会ったことだった。彼らから、当時のうるさかった騒音や、息苦しかった熱さ、そして強烈な匂いを味わった経験を知らされ、僕もできる限りその状況を映画で示すことになったんだ」と答えた。映画内では、その状況が克明に描かれている。

 感情を抑えた難しい演技をしているクリスティン・スコット・トーマスのキャスティングについて「フランス人の観点からして、2か国語を喋れる信ぴょう性の高い女優をキャスティングするつもりだった。それはこのキャラクターはアメリカ人のジャーナリストとして25年もフランスに住み、フランス人と結婚して二人の子どもがいて、それを演じる上で納得できる人でなければならなかったんだ。確かにクリスティンはイギリス出身だが、この役のジュリアというキャラクターを心の底から理解しているようだった。それに彼女は、英語と同じくらいフランス語を上手に話せるからね」と語ったように、クリスティンは誰もが納得する選択だったようだ。

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 この映画には重要なシーンがある。同じ会社の若手のジャーナリストがクリスティン演じるジュリアに「フランス人同士がこういう残虐なことをするなんて信じられない」と吐き捨てるように言うと、ジュリアは「その時代に生きていなかったあなたは、この脅威の中で一体何ができたのか?」と返答する。我々がエアコンのきいた中で読んだ本や観た映画とは違って、そこには凄まじい現実があるからかもしれない。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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