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伊勢谷友介×岩井俊二×園子温、日本が直面している原発問題への思いを語る!

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左から、岩井俊二監督、伊勢谷友介、園子温
左から、岩井俊二監督、伊勢谷友介、園子温

 7日、渋谷ユーロスペースにて、岩井俊二監督プロデュース、短編映画『FUKUSHIMA DAY』の完成披露上映が行われ、上映後のトークショーに、本作のメガホンをとった桜井亜美監督、俳優の伊勢谷友介園子温監督、岩井監督が登場した。

 本作は、福島から上京し、東京で一人暮らしをしていた主人公が、震災後に故郷に戻った数日間を切り取ったフィクションドラマ。放射能の恐ろしさを必死に訴えて、妹を東京に引越しさせようとする兄と、地元から離れたがらない妹、放射能問題に関心の薄い両親の間に生じる、埋めることのできない距離感。上映後、観客からは「兄と妹、親と子でも、意識にズレが出てしまうってリアル」「わたし自身、友人と、放射能問題で考えのズレを感じたことがあるので、すごくリアルだった」という意見が聞こえてきた。福島第一原発の事故後、「放射能問題」に対する意識の違いにより、夫婦間のすれ違いが生じ離婚に至ったケースが、“震災離婚”としてマスコミに大きく取り上げられたように、放射能、そして原発問題への価値観はときに家族をも崩壊させる。桜井監督は「この映画の中で、兄は妹を想って、故郷から東京へ連れていこうとするけれど、妹はその気持ちがウザい!って思ったり、自分を否定されているように感じてしまう。世界が変わると、親子の関係、恋人同士の関係をも崩壊させてしまう」と作品への想いを語った。

 上映後のトークイベントでは、4人のクリエイターが、自分たちの想いを熱く語り合った。放射能問題に肉薄したドキュメンタリー映画『friends after 3.11』を製作した岩井監督は、福島第一原発の事故後、生活が一変。現在は、女優の松田美由紀らとともに、脱原発問題を考えるロックの会を運営するなど、原発問題に力を注ぎ「大人として、NOと言い続ける」と脱原発を訴え続けている。「原発問題には、相反する気持ちがあって、なくなってほしいと思いつつ、そもそも原発のことをここまで考えなければいけなかったり、そのことで時間を奪われていくことがとても腹立たしい。人生の大半を上関原発の建設問題で戦い続けてきた祝島の方々の時間って……と、そういうことに時間を費やさなければいけないことの悲劇を考えてしまうんです。脱原発に進んでいけばいい、と前向きに考える一方で、ものすごい徒労感を感じてしまうときがある」と、やるせない思いを吐露。

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 震災直後、「福島3部作を撮る」と宣言した園監督は、「福島の問題は、これから先の未来が見えていない、非常にセンシティブな問題です。たとえば水俣病のときも、風評被害といわれながら、魚を食べた結果、実際に病気が広がってしまったという現実もあります。これから先、どんな結果が出るか分からない中で、きちんと考えながら(作品を)作っていなければ……と思っています」とクリエイターとしての複雑な想いを話した。震災後から被災地への支援活動を積極的に続けてきた伊勢谷は、「子どもたちが、ガイガーカウンターで放射能を測ってOKっていうガイガーごっこが福島の子どもたちがやってるんです」という福島の現実を述べ、「その事実に対して、大人が後世に伝えるべき生き方を提案しなければいけない。これは自分たちの社会が起こした出来事なので、次の時代にむけてどういう選択をするか? 次の時代の人に“あいつらは放射能についてなにもしなかった世代”といわれるか、尽力にした世代になるか、その選択が迫られている。いい方向に向けていきたいなら、ビジョンを持って実行すること。われわれが、社会を作っているんだという意識が非常に重要。人に頼るんじゃなく、自分が起こせる変革をし続けることが大切だと思う」と熱弁。

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 50分以上にわたり語られたそれぞれの思いを、一言も聞き漏らさぬよう、観客は真剣に聞き入った。イベント終了時には、桜井監督が、「ここに集まった人たちは、一人一人がきちんとした意識を持った尊敬すべき人々。クリエイターだから、監督だから、という意味ではなく、同じ時代を生きるリーダーとしての資質をもった人たちだと思うので、ぜひ彼らを応援してください」と語りかけ、会場からは熱きクリエイターたちへの惜しみない拍手に包まれた。(編集部:森田真帆)

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