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『エンディングノート』砂田麻美監督、新人ながら数々の賞を受賞!海外映画祭にも次々と招待されるも複雑な胸中明かす

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『エンディングノート』砂田麻美監督
『エンディングノート』砂田麻美監督 - Photo:Harumi Nakayama

 第8回ドバイ国際映画祭ムハ・アジアアフリカ・ドキュメンタリー部門で2位に選ばれた『エンディングノート』の砂田麻美監督が現地時間14日、インタビューに応じた。

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 同部門1位に選ばれたのは、イランのジャファール・パナヒとモジタバ・ミスタマスブが共同監督を務めた『これは映画ではない』。パナヒ監督は反政府的との理由でイラン政府に逮捕されて禁固6年と20年間の映画製作禁止が言い渡されており、世界的にパナヒ監督解放運動が起こっている。同作への授与は同じ中東の地から応援の意味も含まれていると思われ、それに続く2位は名誉だ。砂田監督は「どんな生活をして、どんな価値観を持っている人たちなのか? 想像もつかない地域の人たちの中に、自分の映画がインプットされたと思うと幸せです。上映後に皆から『ありがとう』と言ってもらえるとこれまでの苦労も吹っ飛ぶし、またココに来ようという制作意欲が湧いてきます」と決意を新たにしていた。

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 『エンディングノート』は、ガンで余命宣告を受けた父・砂田知昭さんが自ら死の準備を始めた様子を、次女の砂田監督がカメラを向けたドキュメンタリー。死という重い題材ながら、砂田さんのユーモアな人柄と家族愛が観た者の心に温かい気持ちを残していくと評判が広がり、新人監督のドキュメンタリー作としては異例の興行収入1億円を突破。また、第28回山路ふみ子文化賞、第36回報知映画賞新人賞、第33回ヨコハマ映画祭新人監督賞と本年度の賞レースを賑わせている。砂田監督は、最愛の父の死を受け止めるべくiMacで作り上げた作品が多くの人たちの心に届いた喜びを噛み締めつつ、作品がひとり歩きしていく寂しさもあるという。「(アシスタントを務めていた)是枝裕和監督たちを見ていてある程度分かっていたことでしたが、自分の映画とはいえ公開されれば、観客のものになるのだなと実感しています」と複雑な胸の内を明かす。

 もちろん、楽しみもある。海外の映画祭に参加するのは、ワールドプレミア上映となったスペイン・サンセバスチャン国際映画祭に続いて2度目。上映に立ち合っては、観客の笑いが起こるシーンが、毎回微妙に異なることを興味津々で見守っている。

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 砂田監督は「毎回、劇場のオーディエンス・リーダーみたいな人がいて、その人が大きな声で笑い始めると連鎖反応が起こって皆が沸きはじめる。映画って、生モノなんですね。
同時に、劇場という空間の大切さを改めて実感しています。上映時間90分の間に、観客は私と限りなく近い世界を体験してくださっているみたいで、イランに駐在しているという米兵は同じくガンで亡くした父親の写真を見せてくれました。また、中には父に感情移入して『自分が死んだかのように思えた』という感想も。これって、映画らしい体験ですよね。そうやって、映画館は別次元の世界へと連れていってくれる。だから必要なんだと思いました」と語る。

 10月1日にスタートした映画の上映はどんどん拡大しており、砂田監督への注目度も高まっている。その状況を砂田監督は冷静に受け止めているようだ。「よく監督と呼んでいただけるのですが、自分ではまだ(目標である)劇映画を作ってないので堂々と言える気持ちはないですね。それに、1本撮ったからと言って監督になれるワケではなく、作り続けて本物になるのではないかと思うんです。逆にそういう気持ちを持ってないと、映画を作るのをやめてしまうかも。だって、映画を作るというのは、あまりにもしんどいことですから」。

 12月29日に、父・知昭さんの2回目の命日を迎える。きっと砂田監督と一緒に国内外を旅しているに違いない。(取材・文:中山治美)

 映画『エンディングノート』は大阪・梅田ガーデン劇場などで公開中

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