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ジェームズ・キャメロン監督を直撃!『タイタニック』を3D化したその思いとは?

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ジェームズ・キャメロン監督
ジェームズ・キャメロン監督

 映画『ターミネーター2』や『アバター』などの革新的な映像で映画界に多大な影響を与えてきた巨匠ジェームズ・キャメロン監督が、現在公開している映画『タイタニック 3D』を3D化するに至った経緯、そして3Dに対する思いを語った。

映画『タイタニック 3D』写真ギャラリー

 同作は、1997年のアカデミー賞で作品賞を含め全11部門を獲得した大作の新バージョン。300人ものスタッフと最先端の3D技術を駆使して、タイタニック号の船内や甲板の奥行きや沈没シーンの臨場感などが映像で迫ってくる超大作だ。そのストーリーは、イギリスのサウザンプトン港から出港したタイタニック号には、婚約者の資産家キャル(ビリー・ゼイン)と政略結婚をさせらる予定のローズ(ケイト・ウィンスレット)が乗船していた。彼女はそんな絶望感から海へと身を投げようとするが、画家志望の青年ジャック(レオナルド・ディカプリオ)に助けられる。二人がお互いが惹かれ始めた矢先、タイタニック号は氷山に接触して浸水し始めていく……。

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 単純に3D化すると言っても「まず世間一般の間では、2Dから3Dに変換する上で誤った見解が持たれているのは、かなり洗練された技術を通して変換のプロセスは行われているが、最終的には人が2Dの映像を見ながらどの程度の3Dを使用するか決めているという主観的な要素が多く、かなりの肉体労働でもあるんだ。さらに、このプロセスでもともと2Dを制作したオリジナルのフィルムメイカーが、例えば映画『アラビアのロレンス』の監督デヴィッド・リーンみたいにすでに亡くなっていた場合、誰が責任を持って、その映画を3D化させるか倫理的な問題も生じてくるんだよ」と3D化のプロセスが単純ではないことを明かした。今作の変換作業にもおよそ1年以上もの期間を費やしたそうだ。

 だが、『タイタニック』の3D化についてキャメロン監督は、「誰もが知っているように、僕は3Dが好きだ。長い間、この『タイタニック』を3D化したいと思っていたが、一番の理由は、(スマートフォンやインターネットなどの)小さなスクリーンで観ることに慣れてきている今日の一般の人たちに、再び映画館で観てほしいと思ったからでもある。それに、映画監督として自分の作品を二度も公開して、(作品が)生まれ変わるチャンスをもらえることも少ないからね。だから今回、4Kデジタル・リマスター(ハイデフィニションTV配信の2倍の画素)を施し、カラーコレクション(色彩の調整)をしてザラついていた箇所をシャープにしていて、まるで65mmで撮影したような画質になっている。そして、そこまでの過程は2Dだが、さらにそれに3Dの迫力ある映像が加わっているんだ」と明かした。

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 1950年代、1980年代にも3D映画は一時期数多く製作されていたにもかかわらず、その後全く浸透しなかった理由は何か。そして、なぜ今回の3Dブームはこれまでとは違うと言えるのだろうか。その疑問にキャメロン監督は、「50年代の初めのころに18か月間で25作品も制作されていた時期があった。だが、その当時のほとんどの3D作品は、目新しさを通して金儲けをしようとしていただけで、単なる映画館で見せる立体的な幻覚(2台のカメラを同時に動かし、両目用の映像を撮影する。そして、それを2台の映写機で上映するということ)に過ぎない。それに、当時は真剣に映画を製作している監督たちが3Dを受け入れなかったこともある。しかも、技術的な支えが(今ではデジタルだが)、当時はフィルムだったので難しかったんだよ……。その後、80年代にも再び3D映画が登場するが、ほんの数えられる程度の作品だけしか製作されなかった」と3Dの歴史について語った。

 ところが、デジタル技術で状況は変わっていく。「僕が1996年から1997年に掛けて『タイタニック』を製作していたときには、まさかこれほどまで3Dが復活するとは思わなかったし、おそらく扱われても世界約50館ぐらいのIMAXシアターでしか上映できないと思っていたんだ。それが、僕が海を描いたドキュメンタリー『ジェームズ・キャメロンの タイタニックの秘密』で3Dの探索を始め、それ以降ここ10年で3D技術が一挙に拡張していった。さらに、決してフィルムではできなかったことがデジタルで可能になり、さらにデジタル・プロジェクションが質の良い映像を提供でき、それに拍車をかけるようにRealD(販売しているデジタル3D)システムが多くの映画館で導入されてから、これは(映画界が)変わっていくとひらめきを感じたんだよ」。ちなみに、このRealDシステムはコストが低いことから映画館での普及が早まった。ジェームズ・キャメロン監督の3D映画へのこだわりが並大抵のものではなかったことがよくわる。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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