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震災の傷跡残る宮城県気仙沼でロケ「不謹慎」戸惑い  小林政広監督『ギリギリの女たち』への思い

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地元の人の言葉受け「やってみよう」と思えたという小林政広監督
地元の人の言葉受け「やってみよう」と思えたという小林政広監督

 6日、シネマート六本木で映画『ギリギリの女たち』女性限定試写会が行われ、小林政広監督が出席、本作の舞台である気仙沼でロケを行ったときに抱えていた戸惑いを吐露した。

映画『ギリギリの女たち』場面写真

 『バッシング』『春との旅』などで、世界的にも評価の高い小林監督の最新作は、長い間離れ離れで暮らしてきた3姉妹が、東日本大震災の爪跡残る気仙沼の自宅に集まり、互いにののしり合い、傷つけ合いながらも前を向いて生きる様を映し出す物語だ。多くの女性客で埋まった会場を見渡した小林監督は、「僕の映画(の観客)はいつも男ばかりなので、女性だけの試写会をやっていただいて、女性の方にどう思われるかが楽しみでもありました」とあいさつ。

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 これまでも『気仙沼伝説』(未公開)『春との旅』などで、気仙沼市を舞台に映画を製作してきた小林監督だったが、津波被害の傷跡が生々しく残る気仙沼市で撮影することについて「『春との旅』で撮影したところや、去年子どもたちと海水浴に行った場所が全部なくなってしまった。あそこで、こんなウソの作り話を撮影するんだろうかというためらいがあった」と製作に対して抱えていた戸惑いを正直に吐露した。

 「地元の人も最初はうさんくさそうに、こんなときに映画を撮りに来てという顔をしていたけど、女優さんが来て、非日常感が出てくると、みんなすごく元気になってきて、応援してくれるようになりました」と撮影開始当初を振り返る小林監督。だが、それでも本作を撮影することに自信は持てなかったという。

 しかし、そんなときに会った地元の人に「ここで映画を作るのが不謹慎な気がするんですよね」と打ち明けたという小林監督は、「『(生き残ったことに対する)後ろめたい気持ちがおれにはある、それでもみんな生きているんだ』と言われて、やっとやってみようかなという気になった」と述懐。そして最後に、「ただ、この映画はコメディー仕立てのお話なので、(鑑賞中は)そういうことは忘れていただいて、楽しんでいただければ」と付け加えると、会場は笑顔に包まれた。(取材・文:壬生智裕)

映画『ギリギリの女たち』は7月28日より渋谷ユーロスペースほかにて公開

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