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進む映画界のデジタル化でどうなるフィルム上映 旧作の上映は難しくなる?

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これからも35ミリフィルム上映の場を確保すると語った小野寺生哉代表
これからも35ミリフィルム上映の場を確保すると語った小野寺生哉代表

 17日、石川県金沢市で開催中の「カナザワ映画祭2012 XXX」でシンポジウム「これからのフィルム上映」が行われ、東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員のとちぎあきら氏、映画評論家の柳下毅一郎氏、名画座「シネマヴェーラ渋谷」館主の内藤篤氏、映画祭代表の小野寺生哉がフィルム上映の現状について話し合った。

シンポジウム「これからのフィルム上映」写真ギャラリー

 全国映画館の映写機のデジタル化は急速に進んでいる昨今。その流れを受け、富士フイルムが映画フィルムの生産を中止することを明らかにするなど、興行の世界は大幅な変革期を迎えている。そんな現状に、旧作を中心に上映プログラムを組む内藤氏は「僕らみたいな劇場にとっては死活問題」と切り出す。

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 さらに「35ミリのプリントは持っているだけで倉庫代の費用がかさむため、今後いつ大手映画会社が古い映画を放り出すかわからない。そうするといわゆる未ソフト化作品と言われる、35ミリフィルムでしか観られない映画は永久に観られなくなるかもしれない。来たるD(デジタル)-DAYを迎えるにあたって我々に何ができるのか、考えざるを得ません」と付け加える内藤氏。

 また映画『バタリアン』『スペースバンパイア』など、1980年代洋画のフィルム上映を行うカナザワ映画祭に「まだ権利のある洋画を上映できるのは、東京で名画座をやっている身としては嫉妬(しっと)の対象」と称賛する内藤氏。しかし小野寺代表によると、「『バタリアン』はフィルムセンターが所蔵していたものを借りてきて、アメリカの上映権を管理している会社に申し込んだ。ネットに権利クリアのフォームがあるので、日本の会社と面倒くさい交渉をするより楽でした」とのこと。『スペースバンパイア』は権利に加え、フィルムもアメリカからレンタルしたそうだが、小野寺代表は「日本の某大手映画会社から借りるよりも安かった」と語る。

 とちぎ氏によると、メジャースタジオが一括で上映権を管理するアメリカに比べ、1990年代以降に製作された日本映画の上映は、数多の投資会社が映画に出資する「製作委員会方式」によって難しくなっているという。「出資会社がなくなったときに著作権の継承先が不明瞭なことが多く、フィルムがなくなってしまう可能性が非常に高い。加えてデジタル化の波が来ていますから。この傾向には拍車がかかると思います」と語ったとちぎ氏。厳しい現状が語られるシンポジウムとなったが、小野寺代表が「少なくともカナザワ映画祭では35ミリフィルムを上映する場所を確保しているので、これからも応援してください」と語ると、その心意気に会場からは大きな拍手が起こった。(取材・文:壬生智裕)

「カナザワ映画祭2012 XXX」は9月21日まで金沢シネモンドほかにて開催中

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