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『ルビー・スパークス』の主演女優ゾーイ・カザンの苦悩とは?

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ゾーイ・カザン
ゾーイ・カザン

 映画『エデンの東』や『波止場』などを手掛けた巨匠エリア・カザンの孫娘として生まれ、映画『50歳の恋愛白書』や『恋するベーカリー』で注目を集めてきた注目の若手俳優ゾーイ・カザンが、新作映画『ルビー・スパークス』について語った。

映画『ルビー・スパークス』フォトギャラリー

 同作は、有名作家カルビン(ポール・ダノ)は、新たなアイデアに行き詰まったある日、ルビー(ゾーイ・カザン)という名の女性を夢見たことで、小説のキャラクターとして執筆したが、そのルビーが現実の世界でも突如現れ、カルビンの生活を翻弄していくというコメディー調のドラマ作品。映画『リトル・ミス・サンシャイン』のジョナサン・デイトンヴァレリー・ファリス夫妻がメガホンを取っている。

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 女優として出演するだけでなく、脚本も執筆したゾーイ・カザンは「最初に脚本を20ページ書いた時点で、まるでアダム・サンドラーのコメディー作品みたいになってしまったの。映画全体をそんな映画にはしたくないと思ったわたしは、それから半年間脚本の執筆をせずに、自分の体験も含めた男女関係のアイデアだけを練っていたの。それから男女関係を書き始めたことで、最初コメディー調だったものが、急にシリアスで感情的なドラマにシフト転換していったわ。でも、男女関係を描くうえでは、その転換は必然的なものだった」と語った。

 実生活でもボーイフレンドであるポール・ダノとタッグを組んだことについて「撮影中にいろいろな演技を試せる点では、普段から信頼の置けるパートナーが共演者だと楽だわ。それにサポートもしっかりしてくれるから。さらに、ポールは普段の生活を通して、わたしが可愛くなくて、精神的に悪い状態にあるときも見てきているから、撮影でわたしが駄目な演技をしても、それだけで判断したりしないわ。だから、自分でも良い演技を引き出すことができたと思う。でも、我々もスタッフも全員が映画に集中しているから、撮影中は実生活の面で彼との関係を保つことの方が大変だったかもしれないわ(笑)」と明かした。

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 エリア・カザンの孫であることの苦悩について「演技が良かったりとすると、祖父の才能を引き継いだように書かれて、その演技に達するまでのわたしの努力が全然評価されていないことがある。それに、もし仮に祖父の才能を引き継いで、感情的な表現が上手くできたとしても、それだけで俳優の価値があるとは思えない。わたしが映画の脚本だけでなく、舞台の脚本も書いたりするのは、子どもの頃から自分のジャーナルを書いていたことが実を結んでいるからなの。だから、自分がもっと良い脚本を書きたい、もっと良い演技をしたいと思わない限り、才能なんて全く意味がないと思っている」と強いまなざしで話した。

 映画は、理想が現実になる脅威と恋の楽しさのバランスが、ジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリス夫妻によって上手く演出されている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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