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『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレス監督が描いたケルアックの「路上」の世界観とは?

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ウォルター・サレス監督
ウォルター・サレス監督

 映画『セントラル・ステーション』、『モーターサイクル・ダイアリーズ』などで名をはせたブラジル出身のウォルター・サレス監督が、新作『オン・ザ・ロード(原題) / On The Road』について語った。

ウォルター・サレス監督作品 映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』写真ギャラリー

 同作は、父を亡くしたばかりの作家志望のサル・パラダイス(サム・ライリー)は、コロラドからニューヨークに来ていたディーン・モリアーティ(ギャレット・ヘドランド)と意気投合し、ディーンと彼の妻メアリールー(クリステン・スチュワート)と共に、自分探しの放浪の旅に出ていくというドラマ作品。ビートニク作家ジャック・ケルアックが自身の体験をつづった小説「路上」を、ウォルター・サレス監督が映画化している。

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 制作経緯について「『モーターサイクル・ダイアリーズ』をサンダンス映画祭で上映した後、この映画を制作するためのリサーチを2004年から始めたんだ。ただそのときは、後に長編作品の制作の可能性を求めて、ドキュメンタリーを制作しようと思っていた。それで2004年から2010年にかけてケルアックが旅でアメリカ横断した道をたどって、その間に原作のキャラクターのモデルとなった実在の人物やその家族、そしてアメリカの文化を変えたビートニク世代に影響を与えた人々に会っていた」と語り、そのリサーチ過程が長編映画へと変わっていったそうだ。

 彼は、そんなアメリカ旅行中にキャスティングも同時に考えていたそうだ。「映画『バベル』のアレハンドロ監督の紹介で、ショーン・ペンの映画『イントゥ・ザ・ワイルド』のラフカットを観たんだ。アレハンドロ監督はクリステン・スチュワートの演技に衝撃を受けたようで、彼から彼女をメアリールー役の候補にと薦められた。 当時彼女はまだ17歳だったが、彼女の原作に対しての知識の深さに驚かされた。彼女はメアリールーこそ現代的なキャラクターだと指摘し、原作のメアリールーのように恐怖を内面に抱えながら、タブーを打ち破っていくことは、ある意味今日も変わらないと言っていたのが印象的だった」と語った。

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 ケルアックについて「ジャック・ケルアックは青年から大人へ至る過程での至福や苦痛の瞬間を、ある通過点として初めて明確なストーリーとしてつづって反響を受けたと思っている。そんな苦痛はビートニク世代の人々たちと上手くリンクしていて、実家を離れることで、自分を知り、どんな人物になりたいかもわかってくることがある。でもそれと同様に、離れたことで、何か自分の一部を実家に置き去りにしてきた感覚にもさせられることもある。そんな青年から大人への過程が原作で描かれていることが重要なんだ。個人的には、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に匹敵するほど素晴らしいと思っている」と述べた。

 最後に彼は、製作費の資金繰りで制作に時間が掛かり、その間に俳優たちの知名度が上がっていくのが興味深かったと明かした。映画は、当時の制限された枠の中で生きていくことを拒んだ若者たちのライフスタイルが的確に映し出されている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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