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アカデミー賞有力の短編アニメ『フェラル』、実話に感化された野生の少年がテーマ

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これまでの作品とは異なる新作『フェラル(原題)』とは? ダニエル・ソーサ監督
これまでの作品とは異なる新作『フェラル(原題)』とは? ダニエル・ソーサ監督

 第86回アカデミー賞の短編アニメ賞にノミネートされたオスカー有力候補作品『フェラル(原題) / Feral』について、ダニエル・ソーサ監督が語った。

 同作は、野生で育った少年をハンターが森の中で発見し、少年を街に連れて帰り普通の生活をさせようとするが、少年は野生の暮らしが抜けずに困難な生活を送ることになるというもの。

 製作のきっかけは「僕はこれまでの短編作品で、おとぎ話や神秘的な話を描いてきたから、今作では異なった作品を手掛けてみたかった。でも、何が人間を作り出すのか? というテーマだけは変えずに、今回は野生で暮らす少年を題材に描いてみた。ヴェルナー・ヘルツォークの映画『カスパー・ハウザーの謎』に影響を受けている。実在したカスパー・ハウザーは今作のキャラクターのように野生で暮らしていたわけではなく、地下の牢獄に閉じ込められていたが、人とコンタクトしないという点に興味を持った。それがベースだが、このカスパー・ハウザー以外にも、さまざまな実話に感化されて製作した」と明かした。

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 モノクロの映像とカラーをうまく使い分けていることについて、「オープニングでは雪が降る冬の森林を全てが白黒はっきりしている映像で描き、季節が過ぎていくうちに徐々にカラーの映像も含め、最後には森や空など全てがカラーになっている。さらに、脚本においての感情的な部分や、映画内で使用される音響においてアクセントのある箇所では、カラーの映像を部分的に使うことで、作品を特徴づけた」と語る通り、アクセントを付けたカラーが躍動感のある映像を生み出した。

 野生の少年の目は、街に出るまではっきりと描かれていないが、「それは意識的にやったことなんだ。目がはっきりと描かれている箇所は2か所あって、最初にこの野生の少年が街に連れて来られ、全く異なった世界を見せられたときに初めて目がはっきり描かれる。2度目は野生児として扱われて牢屋に入れられてしまい、野生の少年が、この街の世界に居ることが自分にはふさわしくないと気付き始めたときで、両方とも新たな現実に直面したときなんだ」と答えた。キャラクターの表情も興味深く描かれている。

 映画はわずか12分の作品だが見事に簡潔に描かれ、無駄なシーンの多い長編映画にとって、お手本と言えるほどの作品だ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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