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フランソワ・オゾン監督新作、セクシュアリティーの多様性に興味

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常に新しいことに挑むオゾン監督
常に新しいことに挑むオゾン監督 - Tim P. Whitby / Getty Images for BFI

 『スイミング・プール』や『危険なプロット』などで知られるフランソワ・オゾン監督の新作『彼は秘密の女ともだち』は、オゾン監督が実話から着想を得て製作に取り掛かったという。いつまでも若々しくすてきなオゾン監督が、本作の製作過程で知り得たセクシュアリティーの奥深さについて語った。

亡くなった親友の旦那が女装!?……映画『彼は秘密の女ともだち』予告編

 本作は、幼い頃からの親友を亡くした女性が「亡き妻の服を着る」という親友の夫の秘密を知り戸惑いながらも、互いに心惹(ひ)かれていくというラブストーリー。オゾン監督は、最愛の妻を亡くしたことをきっかけに妻の洋服を着はじめた男性の話を耳にし、本作の製作に取り掛かったという。脚本を書くにあたり、女装をする男性たちに話を聞いたオゾン監督は、「人々はよくクロスドレッサー(異性の服装をする人)とゲイの人たちを混同するけど、女性の服を着ている男性の80%は異性愛者で、女性が大好きなんだ」と誤解されがちな事実の真相を明かした。

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 オゾン監督が、「今作にはコメディー、サスペンス、ラブロマンスとさまざまな要素がある」と話す通り、本作はバランスの取り方が絶妙だ。「僕はビリー・ワイルダーを敬愛しているんだけど『お熱いのがお好き』は素晴らしい。とても楽しい作品でありながら、ジェンダーやセクシュアリティーについて真面目に語っている。今作にもそういうところがあればいいなと思うよ」とも語る本作は、親友の夫が女装するシーンなどコミカルで楽しい部分も多いが、主人公二人が自分を発見し変化していく姿を、どこまでも優しいまなざしで描いている。

 セクシュアリティーについて、オゾン監督は「僕たちは、女性的な側面と男性的な側面の両方を持っていると思う。それを受け入れることができれば、より良い人生を送れる。でも、多くの人々にとってそれは憂慮すべきことなんだ。特に男性にとってはね(笑)」とコメントし、セクシュアリティーには多様性があることに興味を示す。「メイクをするだけで大きな喜びを感じる人もいれば、セックスするために何かが必要でメイクをする人もいる。何でも有り得るんだ。だからそれを掘り下げてみるのはとても興味深い。僕は、こうだと決めつけずにただ理解しようとする。その経験を観客と分かち合おうとしているんだよ」と自身のセクシュアリティーへの向き合い方を展開した。

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 「とてもラッキーなことに新しいことにいつも挑戦できているから、年に1本のペースで映画を作り続けられるんだ」と言うオゾン監督は、ファンに向けて「人々が1日の間にいろいろな感情を感じるように、泣いて、愛して、ショックを受け、本作に完全にのめり込む瞬間を持ってもらいたい」と語った。オゾン監督が巧みに引き出した主役二人の名演が光り、先の読めないストーリー展開に引き込まれる本作は、まさにそういう感動作になっている。(取材・文:吉川優子)

映画『彼は秘密の女ともだち』はシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国順次公開中

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