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ビックリ!人間の縮小化アイデア、生命倫理学者がすでに論文化していた

左から生命倫理学者のS・マシュー・リャオ氏と脚本家のジム・テイラー
左から生命倫理学者のS・マシュー・リャオ氏と脚本家のジム・テイラー

 マット・デイモン主演、アレクサンダー・ペイン監督の新作『ダウンサイズ』(2018年3月2日 日本公開)が、12月20日(現地時間)米映像博物館(Museum of the Moving Image)で開催されたイベント「Science on Screen」の一環として上映され、脚本を執筆したジム・テイラーと、生命倫理学者S・マシュー・リャオ氏が、同作について語った。

【動画】13センチの世界って!?『ダウンサイズ』特報

 地球の人口過多問題の解決策として、人間をわずか5インチ(約13センチ)の体に縮小する技術が発見された近未来。ポール(マット)はより豊かな人生を送るべく、妻とこの画期的手術を受けることを決意するも、手術を受ける寸前で妻は翻意し、ポールだけが小さくなってしまう。失意の彼は、ベトナムの政治難民ゴック・ラン(ホン・チャウ)と出会ったことで、運命が変わり始める。『サイドウェイ』『ファミリー・ツリー』などのペイン監督がメガホンを取った。

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 ペイン監督と脚本を共同執筆した本作について、脚本家のジムは「(近未来の)政治情勢、世界環境、気候変動の中で起きている出来事ではあるけれど、それらを描くことが一番の目的ではないんだ」と語る。「僕らは個人や人間のストーリー、今作を通して人々に何かを考えさせることに興味があったんだ。だから、何か完全な答えを提示しているわけではないけれど、これ以上人々が地面の穴(この世の終わり)に落ちることはできない、ということは明確にしているよ。マット演じるポールが初めてその方向(この世の終わり)に向かったのは、(ダウンサイズするために)レジャーランドに向かった時で、それから彼はそれまで自分を愛してくれた人たちと連絡を取らなくなる。でも映画内では、孤立することが答えではないことにも触れているんだ」と説明した。

 現在、ゴールデン・グローブ賞で助演女優賞にノミネートされているホン・チャウだが、マット演じるポールと彼女が演じたゴック・ランの組み合わせについては、「彼女の演技は本当に素晴らしかったね。彼らの組み合わせを考えたのはアレクサンダーだ。ポールは、それまでの人生では大した目的を持たずに、自分自身さえもよく理解していなかった。それとは対照的にゴック・ランは、自分自身のことをすごくよく理解し、さらにポールという人物がどんな人物なのかもちゃんと把握しているんだ」と語った。

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 2012年に書いた「人間工学と気候変動」の論文で、人間工学こそが気候変動の問題解決になると提案した生命倫理学者のS・マシュー・リャオ氏。そのアイデアの一つとして人間のダウンサイズ(縮小化)を挙げていたという。「気候変動は(近年)大きな問題です。この論文は2007年から書き始めたものですが、その時の科学者たちは、地球はもう後戻りできない状態にあると語っていて、ジオエンジニアリング(地球の温暖化を防ぐため二酸化炭素 の排出を減らそうという試み)の提案までされていました。でも、そのアイデアは、一つしかない地球では実際にはとても危険でした。僕は哲学者であり、生命倫理学者でもあります。僕の周りの多くの生命倫理学者は、人間強化(人間の認識および肉体的能力の現在の限界を超えようとする試み)をしたらどうかという提案をしており、その方法を検討する中で、人間を小さくするアイデアが実際にありました」と驚きの事実を明かした。だが、それは今作のように5インチにするアイデアはなかったのだそう。その理由は、猫のような動物に食べられてしまうからなのだとか。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

マット・デイモンが13cmの手のひらサイズに『ダウンサイズ』特報 » 動画の詳細
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