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アントン・イェルチンさん遺作、「彼は作品の原動力だった」共演女優が語る

左からアニヤ・テイラー=ジョイ、オリヴィア・クック、コリー・フィンリー監督
左からアニヤ・テイラー=ジョイ、オリヴィア・クック、コリー・フィンリー監督

 昨年のサンダンス映画祭で話題になった新作『サラブレッド(原題)/ Thoroughbreds』について、アニヤ・テイラー=ジョイオリヴィア・クックコリー・フィンリー監督が、3月5日(現地時間)ニューヨークのリンカーンセンターのウォルターリード・シアターで開催された特別上映後のQ&Aで語った。

【写真】『スタトレ』でのアントン・イェルチンさん

 本作は、27歳という若さでこの世を去った、映画『スター・トレック』シリーズなどのアントン・イェルチンさんの出演作。コネティカットの上流階級の娘リリー(アニヤ)は、長年疎遠だった幼なじみアマンダ(オリヴィア)の家庭教師をすることになる。ある日、横柄な態度でリリーに接する義父を見たアマンダは、彼を殺す計画をリリーに提案し、地元のドラッグディーラー・ティム(アントン)と組むが……。

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 当初、舞台劇を想定して脚本を書いていたそうだが、執筆段階でこの話は映画で描くべきだと考えを改めたというフィンリー監督は、「舞台劇は、舞台で何が描けるかを念頭に置いて執筆するが、今作は書いている時点でクローズアップ、ワイドショット、トラッキングショットが想像できたんだ。もし舞台で今作を描いていたら、リリーとアマンダはずっとソファで(義父を殺すアイデアを)語り合っていただけだったかもしれないね」と話す。そんな過程を経て完成した本作は、リリーとアマンダの会話による舞台的な要素と、それ以外のシーンでの映画的な要素がうまく共存する作品に仕上がっている。

 これまで感情の豊かな役を演じることが多かったというオリヴィアは、感情的な表現をしない、少し不気味で、謎めいた少女アマンダを演じることにとても惹かれたという。「もっとも、演じる上ではチャレンジが必要だったわ。無表情の中で、感情のピークを表現したり、その瞬間瞬間でいかにだますような演技を含めたりするかが課題だったわね」と振り返った。

 アントンさんとのタッグについてアニヤは、「彼のことを語るのは困難だわ。彼は友人だったし、失ったことをとても寂しく思っているの……。でも、スクリーンでの演技者としては、完全に今作の原動力になっているわ。エネルギーと輝きに満ちあふれ、知識も持っていて、全ての演技に心がこもっているし、脚本にもとても熱中している感じだったの。だから、彼と共演できたことはとても嬉しかったし、そんな映画を観客と共有できるのは素晴らしいことだわ」と締めた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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