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『ワンダー 君は太陽』観客の心をつかむには?監督が明かす哲学

『ワンダー 君は太陽』日本でも公開中!
『ワンダー 君は太陽』日本でも公開中! - Motion Picture Artwork (C) 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 日本でも高評価で話題になっている映画『ワンダー 君は太陽』で、監督・脚本を務めたスティーヴン・チョボスキーが取材に応じ、映画づくりにおいて観客の心をつかむために心掛けていることなどを語った。

天才子役の演技に涙『ワンダー 君は太陽』特報映像

画像テキスト
日本公開に先駆け来日していたジェイコブくん&監督

 ベストセラー児童小説「ワンダー」を映画化した本作は、遺伝子の疾患で生まれつき顔立ちが人と違う少年オギーの新たな日々を描いた感動作。原作と同じように、映画版も世界各国で高い評価を受け、今月ついに公開された日本でも評価は上々だ。その理由には、オギーを演じた天才子役ジェイコブ・トレンブレイくんの名演はもちろんのこと、主人公オギーだけでなく、姉やクラスメイトなど、彼を取り囲む人々の視点も交えて描いた脚本の妙などがあげられている。

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 その群像劇のような構成は、原作に従ったものである。原作ではチャプターごとにその中で中心に取り上げられる人物の名前が、チャプターのタイトル名になっている。原作の大ファンだったという監督は、原作におけるその構成について次のように語る。「例えば、原作を読んでいて81ページ目にさしかかったときの気持ちを覚えている。オギーの物語を読んでいたと思ったら、ページをめくると、“第2章、ヴィア”と書かれていて、物語の視点が変わるという合図になっていた。読者としてそれにものすごくスリルを感じたんだ」。

 その感覚を忘れられず、映画でも視点が変わるときに同じようなスリルを感じてほしいと思い、あえてタイトルカードをわかりやすく入れたそうだ。「この映画で特に心掛けていたのは、8歳にも80歳にもわかりやすく物語を伝えるということだった。子どもたちが理解しやすいようにシンプルにしながらも、彼らの母親や父親が興味を失わないように複雑さも保たなくてはいけなかった。その点に関して、原作はとてもよくできていた。僕なりのルールでは、原作のテクニックを使おうかどうか迷ったときには、使うことにしているんだ。映画的な方法で改良できる場合は、もちろん改良を加える。でもそうでない場合は、原作のやり方が常に勝るね」。

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 泣ける映画でありながらも、ユーモアにもあふれている本作。そのあたりのバランスのとり方も、監督なりの哲学を反映したものであるという。「僕なりに、映画づくりにおける哲学があって、観客に対する敬意というか、礼儀のようなものとして僕は捉えているんだけど。観客を泣かせる演出をするときには、その分、思いっきり笑ってもらえるシーンを入れることにしているんだ。キャラクターたちに共感してほしいと思うからには、エンターテインメントでもあるべきだと思っているから。そうじゃなければ、ただの自己満足的な作品になってしまうと思って。それが僕なりのやり方だね。方程式ではないんだ。3回笑いが起きて、1回泣かせれば、カタルシスが得られるというような、そういうことではない。僕自身がいろんなトーンで遊ぶのが好きというのもあるけど」。

 そういった監督なりの流儀のほかにも、撮影現場での気遣いが作品全体のハートウォーミングなトーンに影響していそうだ。「僕から、製作チームのみんなに早い段階でこう伝えていたんだ。優しさについての映画をつくるのに、僕たち自身が優しさを持ってこの映画づくりに向き合うことが大事だと。だからセットではくれぐれも怒鳴ったりしないようにしてほしいって。みんながそれに応えてくれたので、とてもポジティブな雰囲気だった」。

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 完成した作品は、全世界興行収入およそ3億159万ドル(約331億円)を稼ぎ出すヒットを記録(数字はBox Office Mojo調べ・1ドル110円計算)。監督は「ヒットはとても喜ばしいことだし、ありがたく思っているよ。興収の面だけでなく、それだけ多くの人がこの映画を受け入れてくれたんだと思うとね。この映画には、スーパーヒーローがでてくるわけでもないし、大きなコンセプトがあるわけでもない。それでもこれだけ世界のいろんなところで上映されたということ、人々が喜んで観てくれたということに僕は感動したよ」と喜びをにじませ、この映画を観る人たちに向けて「年齢に関係なくこの映画を楽しんでもらいたい。子どもたちでも楽しめるように映画をつくったので。そしていじめを受けている子たちには、ひとりじゃないということを知ってほしい。この映画を通して、強さみたいなものを受け取ってもらえたらと思っている。君はひとりじゃないっていうメッセージを」と呼びかけていた。(編集部・石神恵美子)

映画『ワンダー 君は太陽』は公開中

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