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綾野剛・杉咲花・佐藤浩市で吉田修一の「犯罪小説集」映画化

佐藤浩市、綾野剛、杉咲花
佐藤浩市、綾野剛、杉咲花

 作家・吉田修一の短編集「犯罪小説集」(2016年、KADOKAWA刊)が、綾野剛杉咲花佐藤浩市の共演で映画化されることが21日、明らかになった。映画のタイトルは『楽園』。監督は『64-ロクヨン-』(前後編)の瀬々敬久で、2019年に全国公開される。

瀬々監督作『友罪』での佐藤浩市【写真】

 『悪人』や『怒り』などこれまで数多くの著書が映像化されてきた吉田自身、「こんなにも物語をコントロールできず、彼らの感情に呑み込まれそうになったのは初めて」と語る「犯罪小説集」は、犯罪とそれを取り巻く人々の業と哀しみを描いた五つの短編からなるクライムドラマ。映画ではうち二つの短編を原作として組み合わせて、脚色している。瀬々監督による脚本は、吉田と頻繁に意見交換を行い、作り上げられた。

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犯罪小説集
原作の書影

 物語の原点は、青田に囲まれたY字路で起きた幼女誘拐事件。犯人は見つからず、事件直前まで被害者と一緒にいた紡(つむぎ)は心に深い傷を負うことになる。それから12年後、同じY字路で再び少女が行方不明となり、町営住宅で暮らす豪士(たけし)が犯人だと疑われる。追い詰められ、街へと逃げるが、そこで豪士は驚愕の行動に出るのだった。それから1年後、Y字路に続く限界集落で愛犬と暮らす養蜂家の善次郎(ぜんじろう)は村おこしの事業を進めていたが、話のこじれから村中の非難を受ける。善次郎は狂気に陥り、恐るべき事件へと発展していく。被害者の親友だった少女、容疑者の青年、限界集落で暮らす男、それぞれの人生が交差するとき、物語は衝撃のラストへと導かれる。

 綾野は母親と共にリサイクル品を販売する孤独な主人公・豪士、杉咲は心に傷を負い苦しみながら生きる少女・紡、佐藤は父親の介護のために村へと戻ったが狂気へと転落していく養蜂家・善次郎を演じる。9月10日にクランクインし、10月中旬までの撮影が予定されている。綾野をはじめ、杉咲、佐藤、原作者の吉田、瀬々監督、プロデューサーのコメントは下記の通り。(編集部・小松芙未)

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■綾野剛
ただただ、そこに存在する事。映るのではなく、居る。それだけです。
杉咲さん、浩市さん、お二人との大切な時間を、愛おしく抱きしめながら過ごしたいと思います。

■杉咲花
綾野さんとは、これまで何度か映画の授賞式などでお会いする機会があり、その度に「いつか一緒にやろうね」と声を掛けてくださっていたので、今回ついにご一緒させていただけることをとても嬉しく思います。そして4年前、映画の世界にほぼ初めて足を踏み入れたあの頃の私に、格好良くて優しいお人柄で、その背中で、色々なことを教えてくださった尊敬する佐藤さんとまたご一緒させていただけること、心から幸せに思います。
紡は難しい役ですが、どうか彼女がこの映画の中の一筋の光になりますように。
初めての瀬々組、心して臨みたいと思います!

■佐藤浩市
人種、宗教、個人で心の折れ方バランスの崩れ方は多様です、人の数だけある。他人がそれを解りたいと思うのは日常の生活に余計な不安を取り除きたい、安心に暮らしていきたいという当然の思いです。しかし最後のスイッチが何処に在るのか? それは壊れていくその人自身にも分からない。
作者の吉田さんも監督の瀬々さんも、そして僕自身も、最後に背中を押されるその瞬間の人間の脆さ、怖さに目を向けていきたい。『楽園』はそれを体現する作品です。

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■吉田修一(原作者)
私が描いた「犯罪」と、瀬々監督が思い描く「楽園」が、スクリーンの中でどのように響き合い、どのような「人間」のドラマを見せてくれるのか、今から楽しみでなりません。原作となる二つの短編から飛躍した大きな物語が、そこに生まれることを信じております。

■瀬々敬久監督
人はどこかに楽園を探して生きているような気がする。一方で、日常は犯罪事件で覆われ、人々はそれを見聞きし、生活している。罪を犯す人も、それをワイドショーで追う自分らも、実はどこかで楽園を探しているのではないか。吉田さんの「犯罪小説集」を初めて読んだ時、そんな印象を与えられた。長年のファンである吉田さんの小説は、今回も犯罪を通して、生きる意味を問うていたのだ。何とか映画にしたいと思った。短編集を一本の長編映画の脚本にするには様々な格闘があったが、何とか形に出来たと思う。さらに俳優たちの参加。綾野剛さんの持つ繊細さと危うさ、杉咲花さんの凛とした純粋さ、映画に生々しい力を与えてくれると思う。そして今回は佐藤浩市さんに静謐な狂気を。そんな震える魂を共に描き、今までにない犯罪と人生の映画になることを目指し、現場に臨もうと思っています。

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■二宮直彦プロデューサー(KADOKAWA)
今から2年前「犯罪小説集」刊行間もない時に瀬々監督から映画化したいという強いご意志を聞き、是非とオファーさせていただきました。
独立した短編集という構成故に映画はどのように作り上げるか試行錯誤の日々が続きました。ただ、監督の脚本は改訂を重ねるごとに深みを増しながら磨かれていき作品の核心を捉えていきました。吉田さんとも意見交換を頻繁に行い、脚本はさらなるステージに昇華され形が出来上がりました。瀬々監督と吉田さんが作り上げたこの強い磁場に共鳴するようにキャスティングは綾野剛さん、杉咲花さん、そして佐藤浩市さんと日本を代表する豪華俳優陣にご参加いただく事になり全てのピースが揃いました。
原作タイトル通りクライムサスペンスであると共に、本作は日常から遠い向こう側の話ではなく、数ミリの違いで裏側に人をひっくり返す、どうしようもない生きていく事の業を描く人間ドラマです。平成最後、燃えるように暑い今年の夏に負けない熱量を持った作品になると確信しています。

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