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ヒュー・ジャックマン、皆に愛されたいという思いは捨てた!不倫スキャンダルで消された政治家役を語る

来日して主演作を熱く語ったヒュー・ジャックマン
来日して主演作を熱く語ったヒュー・ジャックマン

 ヒュー・ジャックマンが来日時にインタビューに応じ、優れた政策とカリスマ性で次期アメリカ大統領の最有力候補だったものの、不倫スキャンダルによって政治生命を絶たれたゲイリー・ハートを演じた映画『フロントランナー』(公開中)について語った。

【画像】不倫現場を直撃されたシーン

 本作が描くのは、ゲイリーと周囲の人生と、政治報道のあり方を一変させた“3週間”。ゲイリー以前は候補者の不倫といった私生活が大々的な問題となることはなかったが、この一件でゴシップ的な報道が一気に過熱することになった。彼が消されたのは正しいことだったのか……?

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 信望が厚かったゲイリーだが自身のキャンペーンスタッフにもプライベートなことは明かさなかったといい、ヒューにとって、こうした魅力的だが“壁がある”人物を演じるのは非常に困難だったという。たくさんのリサーチでゲイリーの背景を理解し、彼と仕事をした全ての人と話し、本人とも時間を過ごしたが、彼を演じるのは「真っ暗な部屋にいるような感じだった」とヒュー。「だから監督のジェイソン・ライトマンを信頼してやった。僕を導いてくれる、外から判断してくれる目が必要だったんだ」

 『JUNO/ジュノ』『マイレージ、マイライフ』など欠点のあるキャラクターを描き続けてきたライトマン監督は、ゲイリーを裁くことも肩入れすることもせず、家族、選挙キャンペーンスタッフ、新聞社の記者、それぞれを対等に扱っている点が興味深い。演技する上でも同じアプローチだったというヒューは「人々が『彼が好き!』と簡単に判断できるような人物描写にはしなかった。本当の人生は複雑で、白黒つかないもので、完全に善という人など存在しない。それに完全な悪というのもないよね(笑)。観客にそのキャラクターが何を感じているのかを伝えるのではなく、ただそのキャラクターとして存在することにしたんだ。他の人に愛されたいと思うのは普通のことだけど、ジェイソンが僕たちに、人々がそのキャラクターを愛するかどうかは心配しなくてもいいと思わせてくれた。『心配しないで。ただその瞬間を誠実に演じるんだ』とね」と振り返る。

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 それがよく表れているのが、ゲイリーの不倫相手として攻撃されていたドナ・ライスに配慮を求めるよう、メディアに声明を出すべきと頼む若手キャンペーンスタッフ、アイリーン・ケリーの声を、ゲイリーが無視するシーンだ。ゲイリーに同情しそうになっても、このシーンで一気に突き放される。「アイリーン・ケリーはお気に入りのキャラクターだ。ドナ・ライス、そしてアイリーンは本作で最もパワフルなキャラクターといえるだろう。ドナはこれまで“あのブロンドの女の子”とほとんどジョークのように扱われ、ちゃんとした人間として理解されることはほとんどなかった。彼女の人生はあれでめちゃくちゃになってしまったのにね。ジェイソンは、この映画をいろんな視点で見せようとしたんだ。そう、ゲイリーは彼女を無視する、公にね。ただ放っておいたんだ。あれは僕のお気に入りのシーンでもあるよ」

 本作はわかりやすい答えを提示することはしない。こうした映画を今作る意義について、ヒューは「僕たちはメディアの世界に住んでいる。皆が答えを持っていて、『それは間違っている!』『そっちが間違っている!』と叫んでいる。『僕が教えてやる』『いや、わたしが教えてやる!』ってね。この映画は『ちょっと質問させてください。答えは提示しませんけど』という感じなんだ。ただいろいろな見方を全て提示して、そこからどんな討論が生まれるか見てみようって。ジェイソンがこの映画を作ったのは、現在起きていることに疑問を感じているからだ。僕は、彼が観客に答えを出してほしいと言わないまでも、会話が始まるきっかけになればと願っているんだと思う」と語った。(編集部・市川遥)

映画『フロントランナー』は公開中

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