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デジタル鑑賞料を映画館と分配「仮設の映画館」で想田和弘監督『精神0』上映

「仮設の映画館」ロゴ 試みに賛同した、ミニシアター系映画の宣伝美術を数多く手がけるデザイナー・成瀬慧氏から贈られた
「仮設の映画館」ロゴ 試みに賛同した、ミニシアター系映画の宣伝美術を数多く手がけるデザイナー・成瀬慧氏から贈られた

 8日、映像作家の想田和弘監督と映画配給会社の東風は、新作ドキュメンタリー『精神0』について、劇場公開予定だった5月2日から、現在の状況を鑑みて開設した「仮設の映画館」にて、劇場公開と並行して有料デジタル配信すると発表した。

 サイトでは『精神0』の公開を予定している全国各地の劇場一覧を掲載。観客はそこから観に行きたい映画館を選択して作品を鑑賞し、支払った料金は、選択した映画館に分配される仕組みだ。鑑賞料金は一律1,800円。鑑賞期限はレンタル購入から24時間以内を予定している(ストリーミングのみ)。料金はプラットフォームの使用量(約10%)を差し引いた後、一般的な興行収入と同じく5:5で分配。さらに配給会社と製作者とで分配する。

 「仮設の映画館」の開設にあたり、東風は「新型コロナウイルスの脅威によって停滞している『映画の経済』を回復させるための試みの一つ」と説明。「この認識と方法とを全国の劇場、配給会社、製作者、そして映画ファンのみなさんと広く共有することによってはじめて『仮設の映画館』は、持続可能な施策となり、ともにこの非常事態を乗り切ることができる。そのように考えています」としている。

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 「仮設の映画館」における上映期間は、全国一斉で5月2日から5月22日までの3週間を予定。同社では、利用の呼びかけと共に「もちろん状況が改善したら、ぜひ『本物の映画館』に足をお運びください。ここはあくまで『仮設の映画館』です」としている。なお、上映を予定していた劇場が事情により休映、休館した場合も「仮設の映画館」では続映し、収益分配の対象となる。

 『精神0』は、想田監督が2008年に発表した映画『精神』で取り上げた精神科医・山本昌知さんの引退と、その後を追ったドキュメンタリー。82歳で引退した山本さんと、長年連れ添ってきた妻との日々を映し出した作品で、第70回ベルリン国際映画祭フォーラム部門エキュメニカル審査員賞を受賞した。

 「仮設の映画館」では想田監督の声明を掲載。新型コロナウイルスの感染拡大、そして緊急事態宣言の発令により休業を余儀なくされ、全国の映画館、なかでもミニシアターが過去にないほどの苦境に立たされるなか、想田監督は「これは劇場、配給、製作、そして観客という『映画のエコシステム』を守るための苦肉の策です。ぜひとも趣旨をご理解いただき、積極的にご参加・拡散いただけると幸いです」と呼びかけている。(編集部・入倉功一)

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