中川大志＆清原果耶、朝ドラに続く共演で見えたストイックな素顔

　連続テレビ小説「なつぞら」に続き、アニメーション映画『ジョゼと虎と魚たち』（12月25日公開）で声優としては初めての共演を果たした中川大志と清原果耶。二人がアフレコを振り返って作品の魅力やお互いの印象について語った。

中川大志＆清原果耶が声を吹き込む！ 『ジョゼと虎と魚たち』本予告【動画】

　昨年6月に逝去した芥川賞作家・田辺聖子の短編小説をアニメーション映画化する『ジョゼと虎と魚たち』。2003年に妻夫木聡と池脇千鶴の共演で実写映画化されており、およそ17年ぶりの映像化となる。中川はメキシコに生息する魚に魅せられて海洋生物学を専攻し、卒業後の留学を目指していくつものバイトを掛け持ちしている大学4年生の恒夫に、そして清原は愛読書にちなんで自ら“ジョゼ”と名乗る、車いすの生活を送るヒロインに声を吹き込んだ。

　原作も実写映画も今なお多くのファンを持つが、今回、設定もストーリーも新たに、アニメーションとしての表現を追求した『ジョゼ虎』が誕生した。吹き替えやアニメでの声優も経験している中川だが、本作について「監督からは、僕らが（本職の）声優ではないことに意味があるんだと言われました。それぞれのキャラクターを作りすぎず、ナチュラルな部分を大事にしてほしいということで、声の演技のラインを探っていました」と振り返る。

　そんな本作の収録は、およそ2日間にわたって朝から晩まで行われた。物語でも恒夫とジョゼだけのシーンが多く、アフレコも二人だけで臨むことに。中川は清原について「ジョゼの声は難しかったと思います。いわゆるキャラクターっぽく表現したほうがわかりやすくインパクトもあると思いますが、そこを絶妙に演じているのがすごいと思いました。僕のほうが年齢も上なんですが、共演させていただくなかで清原さんはストイックだな、とにかく負けず嫌いなんだろうな……と（笑）。僕も妥協しないタイプなので、すごく共感していました」。

　中川の言葉に、清原は「中川さんこそストイックなんです！　別の現場で一緒になったときから思っていたんですが、本当に周りをよく見ている方で、何かあると、大丈夫ですか？　と声をかけてくださって。また、柔軟な思考を持っている方だなと。その姿を見ながら私もこうなれたらいいな、と思いました」と称賛の言葉を送る。

　その中川は今回の役どころについて「恒夫は突出したものがあるというよりは、天然で鈍感なところがありつつ、自分の世界観を持っている。ジョゼという存在が強いので、彼女に引っ張られていくような、受身で常識的なキャラクターにしようと考えていたんです。でも彼には彼の世界観を持ってほしいということを言われ、ジョゼのペースに引っ張られすぎない、どこか噛み合っていない感じを出すようにしました。好きなことになると周りが見えなくなってしまうような熱量も大事にしました」という。

　一方の清原は「ジョゼは関西弁でキツい言葉で話す子なのですが、言葉の中に愛らしさがあって、ヤキモチを焼く普通の女の子らしい一面もあります。でも達観したように自分の人生を感じている部分もあって、魅力が詰まっている。ジョゼは24歳ですが、監督からは小学生ぐらいの幼い子どもに声をあてるような気持ちで、とアドバイスをいただいて、試行錯誤しながら演じました」。

　原作や実写映画のことは意識せず取り組んだという二人。中川は「ジョゼの視点で見た世界が描かれていて、そこはアニメーションにしかできない独創的な表現だな、と思います。障害を持つ女の子の話ではあるのですが、本当に丁寧に、だけど重くなく描かれていることが僕は好きです。二人の若さやピュアさが色鮮やかにカラフルに描かれている作品です」と本作の魅力について語る。

　清原も「初めて脚本を読んだときに、ジョゼと恒夫が仲良くなっていき、二人三脚のように成長していく過程がすごく優しくて暖かくて、ほっこりする気持ちが生まれました。そして、そこに切なさを感じるところもあって、アニメならではの世界観が美しい光の入り方や色彩で表現されているな、と思います。二人以外のどのキャラクターの視点から見ても応援したくなるような、その人の弱さと強さが見えるのも魅力です」と思いを明かす。

　今回は2日間という短いスケジュールの中で集中し、収録を終えた二人。話題作での共演が続くが、中川も清原について「まだまだ見せていない一面もあるはず」と語るだけに、今後の活躍にも注目していきたいところだ。（編集部・大内啓輔）